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36話 決着と新たなナイショ

一気に行きます、どうぞ。



私が魔力を全開で解き放つと、黒い空間はバリバリと音を立てて砕け散りました。急に重力を感じた私はバランスを取りつつなんとか着地しました。


まわりを見ると、ここは農園の畑の中のようです。どうやら王都の大分外壁に近いところまで移動していたみたいです。近くにベルン団長、アーサー兄、ダン兄が転がっていてうめいています。大丈夫みたいです。


「グラナート王子!」


グラナート王子は私たちとは少し離れたところにいました。上半身を起き上がらせて頭をさすっています。

「シオン君か、ここは?」

「よくわかりませんが、あそこのアイロネの塔の位置からしてかなり移動したみたいです。あっ、あれ?」

「むっ?」


私たちから10メトルほど離れた位置で、あの魔族が頭から畑の土に突っ込んでもがいています。


「くはあっ!」


頭をようやく引っこ抜いた魔族がこちらに気が付いて振り向きました。フードがはだけて顔が見えるようになりました。顔つきは人間と変わりません、しかし頭に角が生えています。そいつは慌てて


「き、貴様ら!おのれ、あの術を破るとは!」


怖い形相でこちらを睨めつける魔族に、剣先を向けてグラナート王子が叫びます。


「魔族よ!貴様を切ることが、我が王家の使命!覚悟せよ!」

「ふっ、出来るかなっ!」


剣を振りかざしてせまる王子を前にして、魔族は身体を黒い霧のように霧散して姿をくらまします。


(シークレットガール!"魔力委譲(フリーパス)!"、見つけて!)

魔力委譲とは魔力をシークレットガールに自由に使わせることを言います。自分で魔法を行使するより5倍以上の魔力を使いますが発動までの時間や自由度がはるかに良いのです。私の体から発する青い光があたり一帯を照らし、宙の一点に影を浮かび上がらせました。


「くっ、ザコがしゃらくさい!」


精霊干渉の波動が生み出され私のところに迫ります。それを私達は気合を入れて迎え撃ちます。


「"私"達には効かない!」

(ナイショダケド、ザコ、チガウモン!)


そう二人で叫ぶと、波動は今回はほとんどそよ風のような感覚しか残しませんでした。


(ナイショダケド、ビックリスルヨ♪)

「ばっ、ばかなっ!」


青い光が消えなかったことで効果がなかったことに気が付いたのか、魔族は驚愕の声をあげました。その隙をついてグラナート王子が地面を蹴り宙を舞います。


「聖剣よ!その力を我に示せ!セントスラッシューっ!」

「がああああ!」


ガキーン!ババーーーン!!


魔族が手に生み出した剣と王子の聖剣とがぶつかりあい、物凄い爆発が起こりました。その勢いで両者が吹き飛びます。爆煙がおさまった頃、立ち上がったのは魔族。その姿が人外のものに変わっています。


「ふ、封印状態で、ぜいっ、この威力。やはり、ぜいっ、有ってはならぬ。」


異形の魔族が迫る中、私は倒れている王子の前で魔族に向けて両手を広げました。


「うっ、くっ、シオン、逃げて!」

「私が守ります。必ず!」


魔族は醜い顔を歪ませて私を笑います。


「貴様ごときが俺にかなうとでも思っているのかぁ。精霊干渉は効かないようだが勝てる見込みは皆無だぞ小僧!ああん?命乞いでもしたらどうだ。ザコ精霊ごときの力を借りてあべしっ!」


ヒュ〜ン、ベシ。


魔族は私の前からずいぶんと遠いところへ弧を描いて吹き飛びました。

私の前には、黒い仮面に黒いコスチュームの少女がいます。蹴り上げた脚をそのまま180度開脚でポーズを決めています。


「だ、だれだ!ぐぼべっ!」


地面に叩き付けられてから起き上がろうとしていた魔族は、お決まりの文句を吐きます。しかし仮面の少女が脚を勢いよく振り下ろすと、途中から地面に熱烈キスをし始めました。よく見ると、仮面の少女の足先がグリグリと動いています。どういう力かは分かりませんが空間を超えて踏みつけているようです。


「奪われし精霊の力、返してもらうわ!」

「やめ、れ、え、ぇ、ぇ。」


何かの力が魔族から吹き出し、綺麗に輝いて消えていきます。そして後に残った魔族の残骸、黒い粉のようなものは太陽の光を浴びて消えていきました。


ええと、私が生み出しといてなんですが、強いです!


「な、なんと強く、美しい。私の理想。」


私の後ろから王子の感嘆の声が聞こえました。仮面少女に惚れてしまったのかな?まあ、強さに性別はお構いなしのこの世界。貴族には少ないのですが女戦士もたくさんいます。強い女性にあこがれる男子も決して少なくはないのです。


謎の仮面少女を飛ばして太陽の中で消して(笑)、透明になって戻ってきたシークレットガールをこっそり回収した後、私は後ろを振り向きました。聖剣を腰に戻し片膝をついた状態のグラナート王子に近づきます。


「ご無事ですか?」

「ああ、大丈夫だ、礼を言う、いや、違うな。シオン君、守ろうとしてくれて、ありがとう。」


10人中9人の女性が惚れるであろうロイヤルスマイルを私に見せてくれました。王族は直接礼を言わないものです。ですが、わざわざありがとうと言ってくれたのは感謝の気持ちを最大限あらわしたものでしょう。改めて姿を見ると服がボロボロです、あちこちに血が見えました。


「どこか血が出ています、お怪我されているのでしょう。治癒術をかけましょうか?」

「いや!いい!平気だ!」


私、子供に見えますが治癒術はちゃんと使えますよ。そんなに不安かな?などと、そんなことを思っているうちに王子の顔が苦しそうになりました。


「うっ?まずい!」


王子は苦しそうに両手を地面についてうずくまります。


ん?え?あれ?


ええと、ここは冬メロンの畑です。周りにメロンがたくさんあります。だからかな?王子の胸のあたりにメロンが詰め込まれているように見えます。うん、あれは果物です。それ以外に見えるのは目の錯覚でしょう。


「グラーン!大丈夫かー?」


ようやく目が覚めたのでしょう。後ろの方からみんなが駆け寄ってきます。私はなぜか王子から物凄く離れたい衝動に駆られていたのでみんなの方にいこうとしぐぇ!

グラナート王子にイキナリ思い切り羽交い絞めにされてしまいました、苦しい!

王子は私の耳元でごにょごにょと。


(話を合わせて!胸を隠すのを手伝って!)


「無事か~!よかった~。」

「グラン、魔族はどうなったんだ。」

「ああ、死んだと思う。」

「あれー、シオンは?」

「私をかばって怪我をしているんだ!このまま王城に連れて行く。」

「え?」

「アーサー!ダン!近くの家から服と食料と水を調達しろ。じきに王城から兵が来るはずだ。行け!」

ベルン団長が素早く指示を出します。

「はっ!行くぞダン。」

「うん、シオンー、大丈夫か?」


私は手だけでOKのサインを出しました。


「そうか、あとで、勇者ごっこしようぜ!」


ダン兄がいつもの口調でそう言いました。2年半前と変わらない口調で。


そして二人が近くの民家に行くのを見届けると王子は私を羽交い絞めの力を緩めてくれました。ぜーぜー、危うく意識を失いかけました。ベルン団長が上着を脱いで王子に掛けます。


「はは、さっきシオンが魔破の魔法をかけてたっけな~。」

「そうか、それでいつもよりも。ベルン兄様、どうしましょう?」

「大丈夫だよ~。シオンは俺の親友だから~。」


二人だけ訳知り顏で話をしています。私は聞きたくなかったので耳を塞ぎたかったのですが態勢が悪く出来ません。とっ、取り敢えず離して欲しいのですが。


「さっきも言ったけどシオン君、このまま王城へ来てもらうよ。」


なぜでしょう?まったく嬉しくありません。


(オウジノヒミツ、ナイショノヒミツ、タノシソウ)


シークレットガールは私とは違い、とても嬉しそうでした。



リアルのヒロイン初登場です!

ここでヒロインはまだ、助けてくれた仮面少女がシオンが出したシークレットガールだと気がついていません。

なのでまだ、シオンのことは頑張った子くらいにしか思っていません。そのうちに、内面的に惹かれるように話を進めることができたらいいなと思っています。そうしたら仮面少女がライバルになるのかも(笑)


しかし、仮面少女は名前がないので書きづらい(笑)予定ではちまたの噂話から”なになに”と呼ばれるようになった、とする予定なのですが。何にしようかな?ミスティ、シークレットガール、以外で神秘的な響きの名前を考え中です。


続きをご期待ください、また少し時間くださいね。




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