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35話 さよなら、僕

たくさんのお気に入り登録、評価、感想ありがとうございます。


それでは続きをどうぞ。

「シオンを中心に円陣!」


ベルン団長が素早く指示をだし、それに呼応したアーサー兄、ダン兄が移動しながら模擬剣を構えます。グラナート王子は模擬剣を捨て、腰の剣を鞘から引き抜きました。すると剣の刃が輝きだしました、どうやら魔法の剣のようです。


しーん


全ての開口部が閉まった武術場は、異様な静けさの中にあります。


「氷の剣よ。」


どこからか大人の男性の声がしました。そしてベルン団長の前方5メトル程のところに氷で出来た剣が作り出されます。それは音もなくすすすっと左右に分裂していって、瞬く間に私たちのまわりが氷の剣だらけになりました。


(シークレットガール、力を貸して!)


活性化をして魔力を作り出します。しかし、いつもほど魔力が集まりません。炎の壁を作って焼き尽くそうと思っていたのを中止し、大気の障壁を作り出します。


「"障壁(バリヤー)"!」


まるで出来上がるのを待っていたかのように氷の剣が一気に襲いかかってきます。障壁に次々と突きたち、このままではすぐに壊れてしまいます。


「防御を上だけに集中します!まわりはお願い!"水傘(ウォーター・アンブレー)"!」


障壁を解除し、水の防御魔法を上方に展開します。


「ふんっ!」

「せいっ!」

「やああ!」

「うりゃうりゃうりゃ!」


4人の戦士たちは、次々と襲いかかる氷の剣を打ち砕いていきます。しかし私のほうは失敗、魔法のチョイスミスです!防御力が高いからと水傘にしたのに、突き刺さった氷の剣に凍らされて、お、重い!


「任せろ!」


ベルン団長が身体を赤く光らせて私の水の傘ごと上の氷を一気に切り刻み破壊ました。強力なスキルを放ってくれたようです、本当に助かりました。


ふう、ふう、痛て!気を抜いたところに氷の破片が頭にこつんと落ちてきました。


(ナイショダケド、キヲヌカナイ)


どうやらシークレットガールが氷の破片を誘導したようです。


(どうしたの!力を貸してくれないなんて?何か怒ってる?)

(ナイショ、プン!)


「ふっ。ザコ精霊と契約した4流の魔法使いとはな、警戒する必要もなかったか。」


私を思いっきり見下したセリフを吐きながら、フードを被った男が前方に姿を現しました。


「何者だ?」


剣先をその男に向けながらベルン団長が問いかけます。


「ふっ。気が付いてないわけでもあるまい。それよりもグラナート王子!私と一緒に来て頂こう!」


(シタ!)


シークレットガールの警告に従って足元を見ると、いつの間にか暗ーい闇が広がっています。まずいです!


「"魔破(ブレイク)"!」

「小賢しい!」

(キャア!)


魔法を打ち消す魔法を放ったのですが、男から発せられた波動のような何かが私の頭の中をかき乱すような不快な感覚を残して通り過ぎた途端にシークレットガールの助力が切れました。こっこれは!魔族のスキル!"魔法使いの天敵"といわれる最大の理由!


精霊干渉(エレメンタル・ジャミング)!」


私の足元の床の感覚がなくなり暗闇の中へと落ちていきました。



・・・・・・・・



どこまでも落ちていく感覚のなかで私はシークレットガールに問いかけます。


(シークレットガール!大丈夫?)

(ナイショダケド、ダイジョウブ)

(よかった。あれは痛いの?)

(セイレイノチカラヲ、ココロヲ、スベテヲ、ウチケスチカラ)

(そう、教えてもらってはいたけど。やっぱり辛いんだ。)

(ケイヤクシャガ、ヨワイト、コタエル)

(ごめんね、僕の力が足りないばっかりに。)


魔族の精霊干渉を防ぐ手段は見つかっていません。ですが高位の魔法使いは精霊干渉を受け付けないと言われています。今の私には到底無理なことです。


さっきシークレットガールを怒らせたのも、たぶん私が動揺して彼女の声を聴くだけの力量がなかったからでしょう。私のせいでシークレットガールはザコ扱いされて、私のせいでみんなを、みんなを守れなかった。


(シオン、アナタハコドモ、ヨワイ、アイツニカテナイ、これは隠せない真実)

(?)

(でも、強くなる方法が今一つだけある。それはシオンが隠していた真実)

(いったい何を?)

("僕"を捨てなさい)

(!)

(心の中では"私"、でも外に出す自分は"僕"。過去の記憶が強い"私"を肯定すると自分という存在ががいなくなってしまう様な気がして、貴方は、子供の貴方は"僕"に縋り付いたのよね。"僕"は子供の貴方の証。)

(ちがっ、ちがっ!僕は!)

("僕"でも"私"でも、シオンはシオン。他の何者でもないわ。)

(シークレットガール、ぼっ、僕が"私"だと思えば強くなれるの?)

(信じて、自分を。そして(シークレットガール)を。貴方は強くなれるわ。)


そうだ、忘れていました。

小さい頃、前世の記憶を思い出して、急に"私"といい始めたときまわりのみんなにびっくりされたんだっけ。

あのとき奇妙なものを見るような目でみんなが私を見たのです。それが怖くてすぐ"僕"に直したんでした。


僕はまだ9歳。僕でも誰にも文句は言われません。


でも、今、強くなるために捨てる必要があるならば捨ててしまいましょう。弱い(ぼく)とともに。


さよなら、"僕"


(シークレットガール!"私"に力を貸して!一緒にこの闇の空間を吹き飛ばそう!)

(ナイショダケド、ソノコトバ、マッテイタ!)


全身から強い、今までと比べ物にならないくらい強い青い光が溢れ出し、私はその光を闇に解き放ちました。




次回こそ!決着つけます。

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