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25話 和解の承諾

見ていただいて本当にありがとうございます!


感謝・感謝・感謝です。

「これで良しとしましょう、最上階へ戻るわ。」


やっとこさ終わりました、ふうっ。

ミスティ教官の指導の元、午前中一杯魔玉の練習に励みました。

途中でケルピーにもみくちゃにされて蹄のあとだらけになったりして大変でした。


「短時間でここまで良くやったと褒めたいところだけど、一発勝負だから絶対に気を抜かないようにね。

長老たちの前で披露することになったらとにかく出力を絞りなさい。さもないと魔玉が脈動して爆ぜる確率が高いわ。」

「はい!」


河原の池から塔に戻り、最上階のアイロネ様の部屋の前までくると、ミスティ教官は用事は済んだからと言って何処かに行ってしまいました。


部屋にはいるとセバスが着替えと濡れタオルを用意してくれていました。

全身汗だくになったので、ローブを脱いで体を吹き、別のローブを着ました。

セバスが用意してくれていた着替えのローブは濃い青色でした。


「シオンは濃い目も似合うわね~。アクセントは何にしましょうかしら?」


リボンとかはやめてくださいね!

でも、お祖母様はニコニコしています。笑うと母上に似ていると感じるときがあってやはり親子なのだと思いました。


それからみんなで昼食を取りました。

朝と違って、お祖母様は優しい顔に戻っています。


「どうかしら?魔法の用意は?」

「うん、頑張ったよ。玉をベースにあんなことできるんだね。」


「そう、頑張ったのね。こっちも長老会の方はできるだけの根回しをしておいたから。多分だけどシオンに負担はかけないわ。大丈夫よ。」


お祖母様は笑顔でそう言い切りました。そう言えるだけのことをしてくれたのでしょう。

私のために、ありがとうございます。


昼食後、長老会の開催される部屋までお祖母様、ではなかったアイロネ様と一緒に行きました。


そこで私は係りの人に、その部屋の横にある小部屋に連れていかれました。

呼ばれるまでここで待っているようにと言われたので、今はこの部屋に1人で待っています。

こんなところで一人で待つのは寂しいものですね。


コンコン。


扉を叩く音がして、係りの人が顔を覗かせました。


「こちらへ。」


ようやく出番のようです。私は係りの人の後をついていきました。


係りの人に連れられて長老会が行われている部屋の中に入りました。

長老会に使われている部屋は大きく黒を基調にした趣のある部屋でした。

中央に円卓があり、5人の人物が座っています、もちろん長老様達でしょう。


おお!円卓が分裂して形を変え、長方形の机になりました。

アイロネ様と、テレサ長老、他3人がこちら向きになりました。

ちなみに中央にアイロネ様がいます。


「シオン・ブロッサム前へ。」


アイロネ様が抑揚のない声で私を呼びました。

言われたとおりに前に進み、長老たちに近づきます。


「そこでよい。

…さて皆さん、次の議題を始めましょう。

シオン・ブロッサムよ、貴方を私は引き取りました。

武を重んじるこの国では成人していない貴族の男子が魔法使いになることはまずあり得ません。

パルス家は今回のことで、他の貴族から失笑を買うでしょう。

それでも、跡継ぎのいない私に男子を引き渡した…これを我々はパルス家の謝罪とみなします。

たとえ謝罪をしても過去に起こったことが変わることはありません。

しかし、パルス家が歩み寄る努力をしたことを我々は決して軽んじません。

したがって、貴方がアイロネの魔法使いとしてここにあることを我々は認めることにします。

そのかわり、貴方はもやはパルス家の者でないことをここで宣言しなさい。」


「はい、私は、シオン・ブロッサムです。これから一生この名を名乗ることを宣言します。」


ここまでは、お祖母様に説明されて用意したとおり、想定内です。

噛まずに最後まで言い切ることができました。


長老達は鷹揚に頷く者、にこやかに笑顔で頷く者、それぞれです。

ただ、お祖母様の右側に座っているお爺さんだけが首を縦に降ってくれません。


「一ついいかな。」


そのお爺さんがお祖母様に声をかけました。


「ヘルメス長老、どうぞ。」


「パルス家の件は認めよう。これ以上パルス家との確執があれば、王家も黙ってはおるまい。

しかし君にどの程度の魔法使いとしての素養があるか、気がかりでね。

一つ魔法を見せてくれないか?。」


やはり来ましたね、魔法のお披露目。


「玉の魔法は使えるとミスティ君の報告にはあるぞ。まあそれでいいのでは?」


他の長老がやんわりと、不要論を唱えましたがヘルメス長老は私の目を見つめたままでした。


判断にこまりましたが、アイロネ様は細かい判断は私に任せると言っていたので”はい”と答えました。


「報告書には玉の魔法だけしか扱えないとあるが、魔玉は創れるかね?」


「魔玉はミスティ教官に教えてもらいました。出来ます。」


そのお爺さん、ヘルメス長老はアイロネ様の方を見て、


「アイロネ様、貴方に許可なく話を進めて申し訳ないが、よろしいかな?」


ヘルメス長老は少し強い口調でアイロネ様に許可を求めました。

アイロネ様は無表情のまま、”お気の済むように”と了解を出しました。


「では、頼むよ。」


ヘルメス長老は席をたって私の前まで来て片膝をつき、そう言いました。


「では魔玉を作ります。清き水玉よ。回れ!集え!」


ヘルメス長老の目の前に輝く水玉、水の魔玉を創り出しました。

玉と魔玉では全然違います。何が違うかといえば魔力量がケタ違いに必要になることと、制御が難しいところでしょうか。一つ作るだけで結構疲れます。

これを見てこの人はどう判断するのでしょう?


「なかなかの制御力だ。まだ、出力のコントロールが甘いようだがね。

放出の前、つまり凝縮のプロセスから出力量のコントロールを心掛ければもっと上手くいくだろう。

ふむ、君はセンスがあると思う。」


う〜ん、ミスティ教官にダメ出しされたところ丸わかりなんですね、さすが長老様。

お世辞でも褒められてちょっと嬉しいです、この人はいい人なんですね。


「いきなりこんなことをさせて申し訳なかったね。」

「そんなことありません、こちらこそご指導ありがとうございました。」


ヘルメス長老はニヤリと笑いながら、ちょっと顔を近づけて声をかけてきました。


「君は礼儀正しいのだね。てっきりアイロネ様の孫だから、もっと粗暴だと思っていたよ。」

「えっ?」

「彼女は昔非常に好戦的でね。”紫電の魔女”などと呼ばれていたのだ。

だから私は、孫である君には角の一本や二本生えているかと思っていたのだよ、はっはっはっ!」


へ〜そうだったんですね。

私としては角は言い過ぎなんじゃないって思わなくもないのですが、思わず釣られて笑みを浮かべてしまいました。


「もう十分ではないですか、ヘルメス長老。」


テレサ長老がやんわり、そろそろ終わりにしたほうがとヘルメス長老に声をかけくれました。


失礼失礼、と言いながらヘルメス長老は席に戻りました。


「ではみなさん、よろしいか?

よいようなので、これでシオンの発言を終わりにする。

シオン、退出しなさい。」


「はい。」


私は礼をして下がりました。

部屋を出る前にチラリとアイロネ様を見ました。

アイロネ様の顔が少しこわばっていたような気がしたのは気のせいでしょうか?


帰りは1人でしたが、円盤エレベータはもう慣れたので問題なく最上階に戻れました。


部屋に戻るとセバスが”お疲れでした”と声をかけてくれました。

テーブルにはお茶とおやつの用意をしてくれていました、本当に気が利きます。


私は用意してくれていた甘いおやつを食べたら急に眠くなりました。

そういえば、今朝から魔法の特訓をして疲れが溜まっていたのでしょう。


そのあと自分の部屋でベッドに身を投げ出して、すぐ……zzz。



……はっ!今何時でしょうか?

夏の日差しが傾いています。もうすぐ晩御飯の時間ではないでしょうか、寝過ぎです。


自分の部屋を出てると廊下に良い香り漂っていました。

キッチンでターラさんが夕飯を作ってくれているようです。


ん?微かに香茶の香りが?この前セバスがお祖母様にいれていたお茶のです。

リビングに入るとお祖母様とセバスがお茶をしていました。


「シオン、起きたんだね。」


私に気がついたお祖母様はすぐに、私のところに来てくれてムギュッとしてくれました。


「お祖母様、長老会は終わったのですか?

パルス家との和解は大丈夫だったの?」


そう口にした私の目の前に、お祖母様の笑顔があります。


「よく頑張ったねシオン、あのままパルス家との和解は成立したよ。本当に頑張ったね。」


ああ、よかった……、本当によかった。


「あらあら。」


目頭の熱くなった私を、お祖母様はもう一度ムギュッとしてくれました。

しばらく、そのまま、お祖母様の暖かい抱擁が嬉しくて動けませんでした。

私の心の中の何かが溶けて、幸せな気持ちになりました。




このエピソードはここまでです。


また、少し時間を下さいm(_ _)m


次のエピソードでようやくタイトルに追い付く予定です(^-^)/

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