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紅神  作者:
6/6

最終話 紅神〜永久不滅の名探偵〜

目が覚めると春日はいなかった。

そして、俺は病院にいた。

「目が覚めたようですね」


「あ、看護婦さん。もう一人病院に運ばれてきませんでしたか?」


「はい、中谷春日という人が重傷で運ばれてきました。

奇跡的に一命を取り留めましたが、まだ眠っています」


「そうですか、ありがとうございます。

それと、俺の退院っていつですか?」

「退院?まだ無理ですよ。右肩を撃たれたのですから一週間は安静にしてないとダメですよ?」


「一週間ですか、わかりました」


携帯電話の時計を確認した。

撃たれてから八時間も経ったのか。

もうすぐ、日付が変わっちまう。

まぁ、春日は助かるんだから喜ばないとな。


 ◆翌日


耕助はこっそりと病室から抜け出した。

部屋から出ると看護婦さんに見つかる危険性があったので、窓から直接外に出た。病室は一階だったので簡単に外に出ることができた。

そして、零に渡された地図と拳銃を持って零のところへ向かった。


しばらく歩いていき、地図が示してある場所に辿り着いた。

古い館だ。


「よく来たな、紅神耕助。

さぁ、中に入ってこい。

俺はここで待っているぞ」


館の奥から零の声がする。

俺は指示どおり館の奥へと進んだ。

進んでいると大きな広場みたいなところに着いた。


「紅神耕助、今から俺と勝負だな。

ルールを説明しよう。

この広場内でのサバイバルゲームだ。

広場から外には出られない仕組みになっている。

しかし、外からこの広場には入ってこれる。

ただし、一人までだ。

死んだ春日のために枠を用意してやったんだ。

魂だけでも通れるようにな!

ふははははははは

では、始めようか。

サバイバルゲームを」


その後、零は俺目がけて弾を撃った。俺はなんとかそれをかわし、物陰に隠れた。


零が走ってくる音が聞こえたので、即座に次の物陰に向かって走りながら弾を二発撃った。

一発目は零の腕をかすめ、二発目は零の足に直撃した。

俺は続けて三発撃った。

三発の弾丸はすべて零に命中した。


「勝負あったな、零」


「お前ごときに俺が負けると思うのか?」


そう言うと零は十四発続けて撃った。

その内の九発が俺の両腕と両足と腹と両耳と両肩に当たった。俺はその場に倒れた。

立つことができない。

すると、零が俺の方に歩いてきた。


「どうやら俺の勝ちのようだな。

今のお前は動くことはおろか、引き金を引く力さえ残ってない。

たとえ引き金を引くことができても俺のほうが早い」


「そのようだな、確かに引き金を引くことはできないけどお前を説得することはできる」


「笑わせるな、耕助。

お前がいくら説得しようが俺の気持ちは変わらない」


「零、一つ聞きたいことがある。

なんでお前はこんな勝負をするんだ?

前みたいに証拠を残さず完全犯罪で俺を殺せば良いのに、どうしてだ?」


「それはな、時間がないからだ。

お前も知ってると思うが俺にはもう一つの人格がある。

そいつは俺と共に死ぬ覚悟だ。

お前を殺せば邪魔者がいなくなる。

邪魔者さえいなければ、もう一つの人格を取りのぞくことができる。

だから、早めにお前を殺したいんだ。

完全犯罪をやるためにはトリックを考える時間が必要だからな」


「そういうことか、納得したぜ。

最後に一言、さよなら…零」


ダァァァン!


広場に銃声が鳴り響いた。

零の心臓付近から血が流れ出ていた。


そして、いつのまにか広場の入り口に春日がいた。


「なん…だと?

春日…生きていたのか!

説得とは…時間…稼ぎだった…のか?」


「サンキュ、春日。

ちょっと、来るのが遅いんじゃないのか?」


「無茶言うなよ、重傷だったんだぜ?

生きてるだけでもすごいくらいだぜ?」


「零、ごめんな。

助けてあげられなかった。

裏の人格、生まれ変わったらいいやつになれよ?」


「くそ………ったれ……」

そう言い残して零は息を引き取った。



「おい、耕助!

さっさと病院に戻ろうぜ?」


「あぁ、このままじゃ俺も死んじまうからな」


二人は広場を出て、病院へと向かった。

俺と春日は病院に戻るとすぐ看護婦さんに怒られた。

そして俺は病院内で、ある人に手紙を書いていた。


春日はのんきに携帯電話のゲームをやっていた。

不気味なくらい不死身なやつだ。

しかし、春日は零を殺したことを少し後悔しているようだ。

兄貴を救えなかったから、零だけは助けたかったんだろうな。

春日は俺を守るために零を殺した。


しかし俺は、病院に着いた日の夜、救急治療室へと運ばれた。



 ◆翌日


「入るぞ、耕助。


あれ?耕助がいないぞ?」


「あの、すいません。

この部屋にいた、紅神耕助くんはどこに行きましたか?」


「……………………誠に申し訳ないんですが、昨日…………息を引き取りました………」



「うそ………だろ?」


春日の顔が一気に青ざめた。



「それで………耕助様が………これを渡してくれと言っておりました」



看護婦さんが渡したのは一通の手紙だった。

 ◆手紙の内容


『春日へ


春日が助かったのは心から喜ぶぜ。

重傷の春日に無理させちまって、本当にごめんな。

この手紙は病院に着いたときに春日宛てに書いたものだ。

どうやら、俺は死んじまうらしい。

血を流しすぎたみたいだな。

春日は俺よりも血を流したのに助かるんだから、やっぱりすごいよ。

元気出せよ?零を殺しちまったことで元気無いみたいだけど。

過ぎたことを悔やんでもしょうがないじゃん。これからのことを考えろ、前向きにな。

最後にお願いがある。

紅神の名を受け継いでくれないか?

俺の代わりに春日が事件を解くんだ。

頼んだぜ、名探偵。

今までありがとな



       耕助より』



手紙を読み終えると春日は手紙を握り締めて、泣いていた。

いつまでも…泣き続けた…涙が完全に渇ききるまで泣き続けた…




 ◆一年後


耕助、お前がいなくなってから今日が一年目だな。元気か?

こっちは元気だぜ!

学校のみんなも元気でやってる!

それで、これから事件なんだ。

俺は反応がある場所を徹底的に見張って、事件を防ぐのが仕事なんだ。

今日は依頼があったから、行かなきゃいけないんだ。

また明日来るからな。



 ◆事件現場


「犯人はあなたですよね?社長。

証拠はあなたの靴下についた血です」


「逮捕だ!」



「あの、新聞記者の田中と申します。あなたの活躍を一面に載せたいので、お名前と何か一言お願いします。」


すると、男がしゃべり始めた。



「いいですよ、自己紹介しましょう。

俺の名前は紅神春日…

永久不滅の名探偵さ」




         THE END

ここまで読んでくださった皆様、心から感謝します。ありがとうございます。改善点でもいいので評価を書いてくださるとありがたいです。書いてくださった評価は今後の作品の参考にします。最後にもう一度…ここまで読んでくださってありがとうございました。

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