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紅神  作者:
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第五話 二重人格

「久しぶり!みんな心配してたんだぜ?まぁ、学校にきてくれて安心したよ」


声をかけてきたのは同じクラスの人だ。

久しぶりの学校だったからクラスメイトが心配して話しかけてくれたのだ。


しばらく話をしていると担任の先生が、お葬式に行くとみんなに言った。


 ◆お葬式


ごめんな。必ずお前を殺した犯人捕まえてやるからな。

!?


あれは…………川上零?

どうしてあいつがここに?

みんなにばれないように行ってみるか。


「おい、零。なんでお前がここにいるんだ?」


すると零は気の弱い声でしゃべり始めた。


「僕のせいで殺してしまったから。

僕がこの人を殺してしまったから。

君は紅神耕助君だよね?

君には言っておかなきゃいけないな。

僕は二重人格なんだ。

僕のもう一つの人格は冷酷で卑劣で人を殺すことをなんとも思わないやつなんだ。

君にお願いがある。明日、川上探偵事務所に来てくれないか?

春日くんも連れてきていいからさ。

話はそこでする。

あ、これ地図ね。一応渡しておくよ」


そう言うと零はしずかにどこかへ向かっていった。


耕助は零が二重人格だと聞いて、どうしようか迷っていた。


表の人格はごく普通の人間だが裏の人格は冷酷で卑劣で人を殺すことをなんとも思わない人間。

どうにか、あいつの人格を取り除くことはできないだろうか?

 ◆翌日


「なぁ春日、どうしたら二重人格は治せるんだ?」


「俺に聞いたってわからないぞ?

医者に聞けばなにかわかるんじゃないのか?」


「そうだよな、まずは零に詳しい話を聞いてからだな」


二人は不安を抱きながらも零に渡された地図を見ながら川上探偵事務所に着いた。


「ここだな、入るぞ春日」


「あぁ、行こう」


二人は中へ入っていった。

「耕助くん、春日くん待ってたよ。

あいてる席に座って少しだけ待ってて」


そう言うと零は部屋から出ていった。

そして、二人は隣通しの席に座った。

二人は話をしながら待っていた。


三十分くらい待っていたら零が部屋に戻ってきた。


「ごめんね。遅くなっちゃって、ちょっと書類を整理してたんだ。

じゃあいきなり本題に入ろうか。

担任の先生に手紙を送ったのは僕なんだ。

耕助くんと春日くんに油断させないために。油断さえしなければ、僕を捕まえることができると思ったから。

いつ人格が変わるかわからないから君たちを挑発するような手紙を送ったんだ。

そして、殺人ゲームをやると言えば油断するはずがないと思った。

そして、お願いとは僕を殺してほしいんだ」


「そんなことできるわけないだろ?

医者に聞けばなにかわかるかもしれないじゃないか。春日もそう思うだろ?」

「合法的に殺すためには正当防衛しか考えられないな」


「うん。僕もそう思ったんだ。

だから、僕が警察に脅迫の電話をして、耕助君か春日くんをひとじちにして、警察が見えるようにひとじちにされていない方が僕を殺す。

殺す道具として拳銃を用意した。

殺す場所も用意した。

殺す時間は早いほうがいい。

裏の人格になったらこの計画は終わりだから。

明日の朝でどうかな?」


「どうしてそんなことを言う?裏の人格は手術で取り除けるかもしれないのに。

どうして自分の死を簡単に受け入れることができるんだ?

そうは思わないか?春日」


「死ぬしか無いということ、俺には痛いほどよくわかる。

かつて俺の兄貴がそうだったように」


「なに!?春日、兄貴がいたのか?」


「あぁ、兄貴は殺してくれと俺に言ってきた。

兄貴は人が変わったように次々に人を殺していった。

兄貴も二重人格だったんだ。

兄貴は裏の人格を必死に押さえながら、苦しそうな声で俺に殺してくれとなんども言った。

俺はこの手で兄貴を殺してしまった。

兄貴が指名手配されていたから、俺が罪にとわれる事はなかった。


兄貴が人を殺し始めてから医者の人に人格を取り除いてくれと言っても指名手配犯だったからという理由で兄貴を治してはくれなかった。

俺は悔しかった。

できることなら兄貴を救いたかった」


「春日…………」

春日が泣きながら話していたので耕助は心配した。


「なんか、辛気臭い雰囲気になっちまったな」


ドン ドン ドン


部屋に銃声が鳴り響いた。


「………………っ」


春日を見ると心臓付近から血が大量に流れ出ていた。


「おい、春日!

返事をしろ!春日!

今、医者を呼んでやるからな」


「悪いけど、この部屋は妨害電波があるから電話は使えないよ。

そして春日が死ぬまでこの部屋から外には出さない。耕助、お前達は俺を消そうと考えていたな?甘いんじゃないのか?」


「ふざけるな!俺は春日を助ける!

もちろんお前の表の人格もな!」


「もうすぐ、春日は死ぬ。確か、人間の血は四リットルあって、二リットルなくなれば死ぬんじゃなかったっけ?」


「うるせぇ!」


耕助は零に殴りかかったが、零は持っていた拳銃で耕助の右肩を撃った。


「…………くそっ」

耕助は床に倒れこんだ。


「もう春日は死んだ。

念のため一発撃っておくか」


「やめろ!」


耕助は左手をのばして零の足をつかんだが、零に蹴られて吹っ飛ばされた。


零は春日の心臓に銃口を向けて撃った。


「春日ぁぁぁぁぁぁ!」


「悔しければ俺と勝負しろ、場所はここだ。

地図を渡してやろう。

言っておくが警察を呼んでも無駄だよ。

警察はここへは入ってこれない。

勝負はどちらかが死ぬまで行う。

お前に拳銃を渡してやろう。

弾数は15発、これをもって地図に書いてあるところに来い」


「待て!」


零は煙幕と共に姿を消した。


「ごめんな、春日…」


耕助はその場で死んだように眠った…

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