第二話 初授業
俺の名前は紅神耕助
探偵の端くれとでも言っておこう。
今年の春、俺はめでたく高校に入学した。
そして、入学式の次の日の学校で財布が無くなるという事件があった。
その時にこの中谷春日に出会った。
春日は探偵らしい。
「ところで春日、自己紹介の時に言ったセリフはどういう意味なんだ?」
「あぁ、そのことか。
探偵の耕助になら言えるかな?
実はな、俺は物心ついた時から不思議な力があるんだよ」
「不思議な力?」
「そう、でそれは、限られた空間にだけ反応する不思議な力。
最近になって気が付いたんだけど、どうやら反応があった空間は近々事件が起きるっていう事らしいんだ」
「つまり、春日は探偵にならざるをえないってわけだな?」
「さすが耕助!
話が早いな。でも事件が起きるって言ったけど実はその犯人もわかるんだ」
「犯人もってことは犯行手段もわかるのか?」
「犯行手段はわからないんだ。
ただ犯人と事件が起こる場所しか…」
「ははは、なら問題ないな!
犯人がわかるならアリバイを解き、証拠を見つけりゃ犯人は終わりさ」
「だな、俺と耕助が居ればどんな事件でも解ける」
二人は学校へと向かっていた。
その足取りは軽く、話をしてる間に学校に着いていた。
二人は教室へ入った。
「おっ、名探偵コンビが仲良く登校してきたぜ!」
「学校が始まってまだ三日目だと言うのに俺たちは有名だな、春日」
「そうだな、耕助。
でも、油断はするなよ?
近々このクラスで事件が起きるんだからな」
「わかってるよ、俺のことは心配しなくていいぞ」
キーンコーン
チャイムの音と同時に先生が教室に入ってきた。
「さぁ、授業開始だ。
みんな席に着きなさい」
耕助と春日は席に着き、授業を受けた。
春日の言っていたこと…
限られた空間にだけ反応する不思議な力…
どうして春日にそんな力が…?
「こら!聞いているのかね!?」
「あっ、すいません。
ぼーっとしてました」
「顔でも洗ってきたらどうなんだい?
まったく、わしの話を聞いていないとは困った生徒がいたもんだ」
耕助は不満そうに顔を洗いに行った。
耕助が顔を洗っているとチャイムが鳴った。
キーンコーン
やった、授業終了!
耕助は楽しそうに教室へ戻った。
「耕助、何やってんだよ〜。
始めての授業でいきなりぼーっとするなんて」
「いや、ちょっと考え事をな」
「インターナショナルパンチ!」
春日は耕助にとてつもない速さでパンチをした。
「痛ってぇ!何すんだよ春日!」
「耕助がぼーっとしてるから起こしてやろうと思ってな」
「それは良いが、インターナショナルパンチってなんだよ」
「文字通り、国際的なパンチだ!
しょうがない、説明しよう。
インターナショナルパンチとは、国際的なパンチであり、日本人の一般的なパンチである。
わかったかな?」
「はぁ、どうでも良いよ」
「どうでも良いとは何事だ!インターナショナルパンチはな」
俺は小一時間春日に説教され疲れて一日中寝てしまった。
◆放課後
「紅神耕助、至急職員室に来なさい。
もう一度繰り返す。
紅神耕助、至急職員室に来なさい」
放送が鳴って耕助は寝起きのからだで職員室に向かった。
「お前は今日の授業はすべて欠席扱いだ!
一時間目はぼーっとしていて、顔を洗いに行ったっきり戻ってこなかった。
二時間目以降はずっと爆睡!
やるきあるのか?
学校というものはな」
担任の先生に小一時間説教され疲れ果てた体で自分の家へ向かった。
◆帰り道
そもそも、一時間目は春日が妙なことを言ったからぼーっとしちゃったわけで、俺は悪くない。
たとえ俺が悪いにしても、二時間目以降は春日が説教したからだ!
俺は悪くない。
まぁ、いっか。
春日も悪気があって言ったわけじゃないだろうし。
今日のところは俺がすべて悪いということにしておこう。