想い焦がれた恋人の、端っこ .03
[BL] 想い焦がれた恋人の、端っこ
.
..
.
第三部:葛藤の始まり
.
..
.
その日以来、テオの心はまるで荒波が押し寄せる海のように、一層乱れ始めた。献身的なドルセへの彼の複雑な感情は、もはや単純な友情や確固たる依存心という言葉で片付けられるような軽いものではなかった。テオは毎朝昇る赤い太陽のように切にドルセとの大切な時間を心待ちにし、彼がそばにいるたびに説明し難い妙な緊張感と安堵感を同時に感じ、混乱していた。しかし、愛するセヒとの幸せな婚礼が絶えず近づくにつれ、テオの心の奥底にはますます激しい嵐が吹き荒れ、彼のすべてを飲み込もうとするかのように混乱はさらに深まっていった。
名声高い家門は、テオが婚約者である賢明なセヒとの美しい婚礼準備に、すべての情熱を注ぎ、専念することを固く期待していた。美しい顔に温かく穏やかな性格を持つセヒは、テオの名門家に確固たる名誉をもたらしてくれる、立派な家の大切な娘だった。村の人々誰もが羨むほど、立派で完璧な縁談だった。彼の家族は、テオが幸せな婚礼を通じて家門の確固たる名誉を高め、さらに繁栄させると固く信じて疑わなかった。
しかし、テオの本当の心は、セヒではなく献身的なドルセへと、手に負えないほど向かっていた。ドルセはいつも変わらず彼のそばを固く守り、黙々と立派なお坊ちゃまとしてのテオに献身的に仕えた。幼い頃から険しい世の中を共に乗り越え、固い友情を築いてきた二人は、どんな言葉でも簡単に説明できない、強く深い絆を共有していた。しかし、その純粋だった絆が、今では複雑で微妙な感情へと徐々に変わっていったという不快な事実を、テオはもはや認めざるを得なかった。
愛するセヒとの幸せな婚礼を着々と準備している間も、テオの複雑な心の中には、ひたすら献身的なドルセへの切ない思いだけが満ちていた。彼は絶えず自分に言い聞かせた。
「俺は名門家の立派なお坊ちゃまだ。家門のために、俺に与えられた重い責任を必ず果たさなければならない。」
しかし、彼の複雑な頭の中では、ドルセと過ごした大切な時間がパノラマのように絶えず思い起こされた。ドルセの温かく献身的な手つき、重厚で頼もしい声、そしていつも彼のそばで黙々と自分を固く守ってくれる彼の貴重な存在が、テオにとっては世の中の何物にも代えがたいほど大切で切ないものだった。
幸せな婚礼の日が絶えず近づくにつれ、テオはますます抜け出すことのできない深い葛藤に陥っていった。婚礼の準備は、彼の名声高い家門の確固たる意志通りに着々と順調に進められ、美しいセヒもまた、その複雑な過程で大きな不満もなく従順で献身的に従った。賢明なセヒは、テオに温かく優しい微笑みを絶えず見せ、いつも心から彼を温かく配慮し、献身的に接した。しかし、テオは彼女の美しい姿でさえ、自分に大きな響きを与えないという不快な事実に、さらに混乱した。どんなにセヒが美しく優しくても、彼が本当に感じる複雑な感情は、彼女には向かっていなかった。
ドルセとの危険な出会いは、混乱した状況の中でも手に負えないほどに続いた。テオは献身的なドルセと一緒にいるたびに、世の中で一番安らかで幸せな気持ちになった。彼らはまるで純粋だった幼い頃のように、一緒に森の道を歩きながら時間を過ごし、木の下で素直な話を和やかに交わし、暗い夜になると小さな東屋に並んで座って、のんびりと美しい月を眺めたりもした。しかし、彼らの危うい関係は、もはや単純な仲間や強い兄弟の友情を超えた危険な感情だった。テオは献身的なドルセから、説明し難い妙な惹かれ合いを、手に負えないほど強烈に感じ、その危険な感情は日を追うごとにさらに激しく強くなっていった。
ある日の夕方、テオは複雑な胸の中に抑えつけられた危険な感情を、もはや到底耐えることができなくなった。
愛するセヒとの幸せな婚礼準備で、目まぐるしく忙しい最中でも、彼の複雑な頭の中には、ひたすら献身的なドルセの温かい顔ばかりが絶えず浮かんでいた。テオはその夜、なかなか眠りにつけず、勢いよく席を蹴って起き上がり、献身的なドルセが滞在している小さく粗末な部屋へと迷うことなく向かった。ドルセはいつものように、テオが静かに近づいてくる音を聞き、心配そうな顔で戸を慎重に開け、彼を温かく迎えた。
「お坊ちゃま、何かご心配ごとでもあって、こんな夜遅くに私をお訪ねくださったのでございますか…」
ドルセが心配そうに慎重に尋ねた。彼の静かな声には、心からテオを案じる深い気持ちがそのまま込められていた。
テオは何も言わず、静かに部屋の中へと足を踏み入れた。そして、黙々とドルセと向かい合って固く立っていた。しばらくの間、二人の間には重くぎこちない沈黙がのしかかった。テオは自分の複雑な心の中で、手に負えないほど激しく沸き上がる危険な感情を必死に抑えつけようと努めたが、その一瞬だけは到底我慢できなかった。彼は突然震える手で、ドルセの温かい手を固く掴み、力なく静かにつぶやいた。
「ドルセ…俺は本当に一体どうすればいいのか、さっぱり分からない…」
ドルセはしばらく不安そうに、彼の震える手を温かく包み込み、優しい眼差しでテオの青ざめた顔をゆっくりと覗き込んだ。彼の深く青い瞳の中には、相変わらず変わらない深い憐憫と温かい愛が満ちていた。テオの複雑で混乱した心をまるで鏡のように見透かしたドルセは、ただ静かに彼の震える手をさらに温かく包み込んだ。彼の広くて頼もしい手は、相変わらず温かく、重厚で、彼の不安な心を落ち着かせるようだった。
「お坊ちゃま、どうかあまり苦しんで悩まないでください。すべては、運命のように定められた時があるものでございます。」
ドルセの声は、いつも通り落ち着いて淡々としていたが、その落ち着きの中でテオは奇妙にも、より大きな不安と混乱を感じた。
ドルセの温かい言葉は、いつも彼の複雑な心を穏やかに鎮めたりしたが、今回は全く違った。彼の心は、ドルセと一緒にいると手に負えないほど満ちてくる危険な感情で満ちていた。そして、その複雑な感情は、もはや単純な尊敬と愛情の範囲をはるかに超えていることを、テオ自身も骨の髄までよく知っていた。
テオは不安そうに、一瞬ドルセの温かい手をさらに強く握りしめ、彼の悲しい目を切に見つめた。
「ドルセ…俺は…」
しかし、テオは結局、その危険な言葉の続きを結ぶことができなかった。複雑な心の中で激しく沸き立つ激情的な感情を、あえて口に出すには、彼の唇はあまりにも重く、恐ろしかった。ドルセはただ固く沈黙を守り、二人はそうして暗い部屋の中で黙々と互いの温かい手を固く握り、不安そうに立っていた。
まさにその一瞬、固く閉ざされた戸の外から、見慣れない気配がかすかに聞こえてきた。誰かが慎重にこの部屋へとゆっくりと近づいてくる妙な足音が聞こえ、固く閉ざされた戸が静かに開かれ、美しいセヒが心配そうな顔で部屋の中に入ってきた。彼女は愛するテオが自分の部屋ではなく、身分の低いドルセの部屋にいるという不快な事実に、手に負えないほど驚いたように目を大きく見開き、しばらく固まってしまったように立ち止まった。
「お坊ちゃま…一体、どうしてここに…」
セヒは懸命に落ち着いた声で慎重に尋ねたが、彼女の震える声には、どこか不安で不吉な気配がはっきりと感じられた。
テオは不安そうに一瞬戸惑い、慌ててドルセの温かい手を乱暴に振り払った。
「セヒ…こんな夜遅くにどうした?」
セヒは懸命に引きつった微笑みを浮かべ、心配そうに答えた。
「お坊ちゃま、他でもなく、まもなく訪れる幸せな婚礼の準備について、もっと詳しくご相談したい重要な内容がございまして、厚かましくもこのように遅い時間にお伺いしました。もしかして、私が大変遅い時間にお伺いして失礼を犯したのではないかと心配でございますが…」
彼女の不安な眼差しは、テオとドルセを交互に探った。
彼女は明らかに、何か尋常でない妙な気配をぼんやりと感じ取っていた。テオは突然で困惑した状況に、不快な顔色を必死に隠すことができなかった。
「ああ、そうだったのか。それならば…まずは、早く部屋に戻って詳しく相談することにしよう。」
テオは最大限落ち着いて答えたが、彼の声にはぎこちなさと不安が滲み出ていた。
セヒは仕方なくうなずき、静かに戸の外へ出た。テオは背を向けていく彼女の後ろ姿を見つめ、再び複雑な心境で献身的なドルセを注意深く見つめた。彼の固く閉ざされた深い瞳には、相変わらず計り知れないほど複雑な葛藤が色濃く漂っていた。ドルセは、そんな苦しむテオの複雑な心をまるで鏡のように見透かしたのか、黙々と彼の震える手を温かく包み込み、静かにつぶやいた。
「お坊ちゃま、どうか心の真実の決断をお下しになれば、私は黙ってどんな選択でも従います。」
ドルセの短いが心からの言葉は、テオの複雑な胸の奥深くに突き刺さった。彼の言葉は、まるで重い金槌のように、テオの固く閉ざされた心の壁を強く叩くようだった。ドルセの献身的な愛と黙々とした支えは、テオをさらに苦しめ、彼はもはや避けることのできない選択の岐路に立たされていることを悟った。
テオはセヒに従って自分の部屋に戻る間も、絶えずドルセの最後の言葉を心の中で繰り返していた。
「心の決断をお下しになれば、何でも従う。」
その言葉は、まるで耳元を回る呪いのようにテオを苦しめた。彼は本当に何を望んでいるのか?彼の心はどこに向かっているのか?テオは絶えず自分自身に問いかけたが、明確な答えを見つけることはできなかった。
部屋に到着すると、セヒはいつもと変わらず婚礼の準備についての話を切り出した。彼女は几帳面に準備してきた資料を広げて見せ、婚礼服の色、招待客、宴会の料理などについて意見を尋ねた。テオはぼんやりとした表情でセヒの話を聞いた。彼の耳には彼女の声がかすかに響くだけで、その内容はきちんと頭に入ってこなかった。
テオの心は、すっかりドルセに囚われていた。
セヒはそんなテオの異様な様子に気づいた。彼女はしばらく言葉を止め、心配そうな表情でテオを見つめた。
「お坊ちゃま、もしやどこかお具合でも悪いのでございますか?顔色がお悪いようでございます。」
セヒの心配そうな問いに、テオは正気を取り戻し、無理に微笑んで答えた。
「ああ、いや。ただ少し疲れただけだ。婚礼の準備で気を遣うことが多いからだろう。」
テオのぎこちない答えに、セヒは疑わしげな眼差しを隠せなかった。彼女はテオとドルセの間の微妙な雰囲気を察知していた。しかし、セヒは懸命に不安な気持ちを抑え、婚礼の準備についての話を続けた。彼女は、テオが婚礼を通じて家門の名誉を高めるという期待を捨てなかった。
しかし、テオの心はすでに手に負えないほど揺らいでいた。彼はセヒの献身的な姿に罪悪感を感じながらも、ドルセへの強烈な感情を抑えることができなかった。テオはドルセとの関係を整理しなければならないと分かっていながらも、彼を諦める自信がなかった。
その夜、テオは深い悩みの中で眠りにつけなかった。彼は冷たいベッドに横たわり、苦しそうに寝返りを打った。彼の頭の中には、セヒの顔とドルセの顔が交互に浮かんだ。テオは二人とも傷つけたくなかったが、同時に自分の本当の心を無視することもできなかった。
結局、テオはベッドから起き上がり、服を着て外へ出た。彼は真っ暗な夜、誰もいない庭園へ向かった。東屋に座り、夜空を眺めながら、テオは深いため息をついた。彼の心の中には、ドルセへの感情と家門の責任の間で葛藤する苦しさが満ちていた。
その時、テオの背後から静かな足音が聞こえてきた。テオは驚いて後ろを振り返った。闇の中から、ドルセがゆっくりと歩いてきていた。
「お坊ちゃま、どうしてこんな時間に外にいらっしゃるのですか?風邪でもお引きになられるかと心配でございます。」
ドルセは心配そうな眼差しでテオに近づいてきた。
彼の顔には、テオへの心からの心配が満ちていた。
テオはドルセの姿を見ると、胸の中に抑えつけられていた感情が溢れ出しそうになるのを感じた。彼はもはや自分の感情を隠すことができなかった。テオは震える声でドルセに真実を告白した。
「ドルセ…俺は…俺はお前がいないとだめなんだ。」
ドルセは予想外のテオの告白に、一瞬固まった。彼は驚いたように目を大きく見開き、テオを見つめた。彼の顔には、戸惑いとともに、何か分からない複雑な感情がかすめていった。ドルセは、到底想像すらできなかったテオの心に混乱した。
「お坊ちゃま、それは一体どういうことでございますか?」
ドルセは震える声で尋ねた。彼の声には、不安とともに、かすかな期待感が混じっていた。彼は、テオの告白が自分への特別な感情であることをぼんやりと察していた。
テオはドルセの目をまっすぐ見つめ、自分の心を率直に打ち明けた。彼の声は震えていたが、彼の眼差しは真実で満ちていた。
「俺は、お前を単なる下男だと思ったことはない。お前は俺にとって家族のような存在であり、いつも俺のそばを守ってくれる力強い支えだった。だが、時が経つにつれて、お前に感じる感情がますます大きくなった。俺は、お前を…恋慕している。」
テオの告白は、夜空の静けさを破って響き渡った。彼の言葉は、まるで重い荷物を下ろしたかのように晴れやかだったが、同時に、これから訪れる破局を予感させた。ドルセはテオの心からの告白に、衝撃と感動を同時に感じた。彼は長い間、テオをそばで見守り、彼の温かさと優しさに魅了されてきたが、自分の心を明かす勇気さえ持てなかった。彼はテオへの自分の感情を隠したまま、黙々と彼のそばを守ることで満足しなければならなかった。
「お坊ちゃま…私は、到底お坊ちゃまの心を受け入れる資格などございません。私は身分の低い下男に過ぎず、お坊ちゃまはまもなくセヒお嬢様と婚礼を挙げなければならない方でございます。」
ドルセは苦しそうにうつむいて言った。
彼は自分の身分とテオの立場を考えれば、彼の感情を受け入れることはできなかった。それは、まもなくテオの人生を破滅へと導く危険な選択になるからだ。
テオはドルセの手を握り、彼の目をまっすぐ見つめて言った。
「ドルセ、俺は身分や体面など関係ない。俺にとって大切なのは、ただお前だけだ。お前と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。」
テオの断固とした言葉に、ドルセはさらに混乱した。彼はテオの本心を信じたかったが、現実の壁はあまりにも高く、強固だった。彼はテオの幸せを心から願っており、彼の選択が後悔として残らないことを切に願っていた。
「お坊ちゃま、どうか、どうかお気を確かにしてください。お坊ちゃまの感情は、ただの一時のものでございます。時が経てば、すべてが元に戻るでしょう。」
ドルセは懇願する声で言った。彼はテオが理性的な判断を下すことを切に願っていた。
テオはドルセの言葉を聞いて、しばらく考えにふけった。彼の心の中では、ドルセへの強烈な感情と家門の責任の間で絶えず葛藤した。彼はドルセを選ぶべきか、それとも家門の意志に従ってセヒと婚礼を挙げるべきか、決断を下すことができなかった。
テオは苦しそうに頭を抱え、言った。
「俺は…俺はどうすればいいか分からない。あまりにも混乱している…」
ドルセはそんなテオを痛ましい眼差しで見つめた。彼はテオの苦痛を和らげてあげたかったが、何もしてあげられないという事実に無力感を感じた。
「お坊ちゃま、少し時間を置いてください。ゆっくり考えれば、答えが見つかるでしょう。」
ドルセはテオの肩を優しく包み、慰めた。彼はテオが自ら正しい選択を下せるように待つことを決心した。
テオはドルセの肩に寄りかかり、深いため息をついた。彼は依然として葛藤から抜け出せずにいたが、ドルセの温かい慰めに、しばし安らぎを得た。
彼らはそうして、真っ暗な夜、東屋に座って互いの心を分かち合った。
しかし、彼らの行く手には、巨大な嵐が吹き荒れるであろうことを、誰も予想していなかった。
.
.
.
読んでくれてありがとう。
月、水、金 連載予定。




