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その46「ご近所トラブルは穏便に」パート1



……


…………


「フグッァ!? なっ……なーご……」


「あはは、ママー、猫さんがびくぅって起きたよ! びくぅって!」


「ふふ、猫も夢を見るのかしらね、マル、落ちていく夢とか見てた? ビクッってなるよね」


 あづきたち、いつの間に帰って来てたのかしら。油断したー。まったく気が付かなかったから、つい何ごと!?って口から出そうになっちゃった。いつもの座布団の上に寝ていた私を笑いながら見ている二人。


 ここまでガッツリ寝入るのはすごく久しぶりかもしれない。猫の眠りって浅いからね。普段ならちょっとした物音でも目が覚めるのに。なんだか夢を見ていたみたいだけど内容はこれっぽっちも覚えていない。夢ってそういうもんよね。どうでもいいことなのよ、きっと。もしもあづきの言う通り、屋根から落ちる夢とかだったら覚えていなくてよし。


 いつの間にか、雨は止んでいた。


 心地いい雨の音を聞きながら寝ていたから熟睡しちゃったのね。ふぐあとか言いながら目覚めた事なんて忘れましょう。座布団から降りてあづきにお帰りのスリスリ。娘ちゃんにもスリスリ。もういっちょうスリスリ。そちらから撫でてもいいのよ? さあ、撫でるのよ。撫でなさい。


「なんだか今日は甘えてくるわね、マル」


「もちもちー、もちもちまーるー、焼かれてぷくー」


 その歌やめて。


 娘ちゃん自作の脳みそ破壊ソングを聞きながら二人に撫でられまくる。ふぁー。お腹すいた。





 あづきったら、また懐かしい物を引っ張り出してきた。ホットプレート式の小さなタコ焼き機、前に見たのは何年前? そう、今日の彼女たちの晩御飯はたこ焼き。タコパ。タコ、いいよね。タコおいしい。


 市販のタコ焼き専用の粉なんてものがあるのね。はー、便利な世の中。その粉と水と卵で生地を作って、タコをぶつ切りにして、キャベツを刻んで、ネギを刻んで、紅ショウガを刻んで、天かす入れて、食材の準備が完了。簡単。


 テーブルの上のタコ焼き機で焼いていく。娘ちゃんも楽しそうにしている。うっかり触ってやけどしないかとドキドキする。けど、そこまで粗忽者ではないようで安心する。私ならつい触ってしまいそうだもの。ま、後に残るような酷いケガじゃなければ、痛い思いも勉強になるって話。


 あづきも、多分何年振りかのタコ焼き作成。二本の串を使って頑張っているが、当然のようにグチャグチャになる。それでも時間をかけると形になってきた。丸い形でくるくる回る。ポットプレートは偉大。


「あっ、お醤油入れるの忘れた! これは……冷凍しておこう……」


 そうそう、そう言えば前にご主人が作っていたタコ焼きも醤油味だった。生地の上から流し込むタイプの。王道タコ焼きなら甘ダレとか青のりとかもいるものね。ブーブーと文句を言う娘ちゃんを宥めて二回目に挑戦するあづき。


 最初の生地を流し込んで、タコを入れて、混ぜた野菜を入れて、生地を上から、今回こそ忘れずに醤油を……かけすぎ……。どばーっと入れるから! 焦らないで、かけすぎた部分は少しだけ、被害は少ない。その後は慎重に少しづつ垂らすあづき。早くしないと固まっちゃうから急いでって。ああ、私もやりたい。猫の手で良ければ手伝いたい!


 やきもきと見ているだけなのつらい。わちゃわちゃしているけど、時間をかけると形になるものね。なんだかんだで綺麗な焼き色のついた丸いタコ焼きの完成。焦げたお醤油と生地のダシの匂い、ああ、食べたい。


 炊き立てご飯を、おちょこに足が生えたような小さな器によそって仏前にお供え。前から思っていたんだけど、丸眼鏡を掛けた生前のご主人の写真の笑顔、ちょっと不真面目すぎない? 口を大きく開けてだらしないのよ。見る度に笑えて来ちゃうでしょう。


 私のごはんはいつものカリカリ……。いつものカリカリをいつもどうりにカリカリと食べる。不満はない、不満はないのよ、けど、だけど、ねぇ。


 湯島家のタコ焼きの食卓にはご飯とお味噌汁ときゅうりとなすの漬物がついているらしい。タコ焼きをおかずにしてご飯かー。あり? なし?


 出来上がったタコ焼きをぱくつくあづきと娘ちゃん、おいしそうに食べるなぁ。もう我慢できない。


 タコ焼き機からお皿の上に乗せられたタコ焼きをあづきの隙をついて1つ拝借。ひょい、パクり。


 !? ほぁっつぃ!! 熱っ! 熱っぅ!! 口の中が地獄。


「あっ! ドロボー!」というあづきの声を聴きながら急いで食べる。泥棒? ハンターと呼んで欲しいのよ。熱い。地獄。醤油と出汁の風味をともなうトロっとした食感が舌に絡みつく。タコは噛むたびに塩気とうま味を生み出す、あいもかわらず安心安定のうまさ職人。キャベツやアクセントの紅ショウガもいい仕事。うみゃい。うみゃあ。


 ……お水ください。


 さすがにちょっと熱くてカラかったのよ。けど幸せ。カリカリごはんだけでは味わえぬこの満足感よ。


 もーもーと言うだけの牛と化したあづきにお水をねだる。カラい。のどかわく。


 お水、はよ。





『マル姉さん、マル姉さん、起きて、外に出てきてください』


 なんか聞こえるけど無視。


 あづき達が寝て、さぁ私も寝るぞとなった段。座布団の上に丸まって寝る。おやすみなさい。この座布団とも結構長い付き合いよね。今は天気が悪くてジメジメしちゃう季節だけど、晴れの日を見繕って天日干ししないと。


『マル姉さん、聞こえますか? 聞こえているなら返事をして』


 はっきりと聞こえているけど無視。


『マル姉さん、チャトラの兄ぃが大変なんです、マル姉さん、出てきて』


 うん。興味ない。無視で。




タイトルの話数をこっそり修正。一話まるごとボツにしたの忘れてたです……

現在プロットごと再構築中……

パソコンも不安定のまま。どうすべ。

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