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その42「商店街で買い物を」パート4



「結局、あの凄い音はなんだったんだろう? 蛍光灯が破裂したんだと思ったけど何も壊れていなかったし……」


「人化が解け……心臓が止まるかと思ったっす……」


 先ほどの電気屋さんでの出来事に首をひねる北原と、ずいぶんと大人しい後輩ちゃん。


「あれじゃないの? ほら、えっと、ラップ音? ただのありふれた心霊現象ってやつ」


「心霊現象がありふれていてたまるか! 急なオカルトやめて。それに、もしあれが心霊現象だったら、どれだけ主義主張が激しいのかって」


 ちなみに、さりげなく買った炊飯器を持ってくれている北原。本当はすぐにでも固有空間に放り込みたいんだけど、それはさすがに不自然だからね。北原と別れてからにするのよ。


 炊飯器をひとつ買うのにえらい体力を使ったの。


 思わぬ知り合いとの遭遇で驚いたけど無事に買い物完了。念願の炊飯器を手に入れたぞー。むふふん。これでおいしい炊き立てご飯を作るのよ。


「なんだかすごい店員さんだったな。撮影の要請、しつこかった……」


 そうね。にゃん吉さん、色々とマイペースで他を巻き込む猫だけど、なんだかんだと頑張っている猫なのよね。今は昔の活気ある商店街の姿を取り戻すために行動しているんだとか。はー、えらいね。手伝わないけど。


 炊飯器ちゃんを持ってくれている北原に一応のお礼の言葉をかける。さっさと渡してくれてもいいのよ? ちゃんと重い物も私は持てるから。けど言い出せない。善意からやってくれているのがわかるからね。


「北原すまないのー。私が持つよ?」


「いいよ。丸山さんの家はどこにあるの? 湯島さんの家の近く? だったら帰る方向は一緒だし、そこまでなら持つよ」


「お? もしや、この男、先輩の家を突き止めようとしてるっすよ? これはもう恋愛弱者の称号を返して肉食へたれポエマーに称号を変更するっす」


「待て、待て、落ち着け。最初から最後までおかしい。否定する。不名誉だ。というかポエマーのとこホントやめて、一番やめて」


「とにかく! これで買い物は終了っすね。さー帰るっす!」


「え!? 意外と安く炊飯器を買えたから商品券が余っちゃたのよ。どうせなら前から欲しかった、もう一つの物、ずばり、かつお節削り器を買うのよ! 木で出来た奴! すべては美味しい猫まんまを作るために! 当然、かつお節もね! それとあとはお米でしょ、それから醤油!」


「猫まんまにどんだけ凝るんすか……」


「まだ買い物するの……!?」





「つ、つかれたー」


「先輩の買い物には二度とつきあわねーっす……」


「す、炊飯器は一番最後でよかったんじゃないか……」


 なんだかんだと、商店街にあるお店を回るだけですべての買い物を終わらせることができたー。楽しかったー! 商店街、侮りがたし。見つけたかつお節削り器は、なんと炊飯器とほとんど変わらないお値段。一生の宝物にするのよ。


 疲れた私たちは喫茶店に入って休憩。手触りのいい椅子に深く沈みこんでグデッってる後輩ちゃんに、手をぷるぷるさせている北原。つきあわせちゃってごめんなの。


「二人ともありがとう。これ。受け取って! 私からの感謝の気持ちなのよ」


 二人に渡すつもりで買った先ほどの物をプレゼント。


「これは……」


「ふふ、贈り物は自分が貰って嬉しい物っていうのが定番よね」


「先輩、かつお節て!? 丸ごとのかつお節て!? どうすりゃいいんすか!? 鈍器にでもするっすか!? せめて削り節にしろや!」


「煮干し3本からはだいぶグレードアップしたね……。けど僕の家にもかつお節削り器は無いからな。貰っても持て余す。受け取れないよ」


 私の感謝の気持ちがつき返されたーっ!? え!? 嬉しくないの!? 丸ごとのかつお節よ! カチンカチンなのよ!?


「……じゃあ余った最後の商品券を持って行って」


「さっきの店員といい、どうして商品券を押し付けようとする? 一万円の商品券なんて、それこそ受け取れないよ」


「くく、居酒屋での先輩を思い出したっす。マスターやみんなに無理やりにでも商品券を押し付けようとしてたっす。あの時の先輩、置いてけ堀の”おいてけ妖怪”ならぬ”商品券もってけ妖怪”って異名を付けられていたっす」


「それも記憶にない……」


「居酒屋って、君ら何歳なの?」


「えっと21歳? 22歳? そのくらい」「20っす」私たちの答えに唖然とする北原。


「噓でしょ……。15、6かと思っていた。僕とほとんど変わらない年代とか……怪奇現象だ」


「実際の年齢なんてどうでもいーのよ。結局は人は見た目が重要なの」


「酷いことを言っているような気がする!?」


「美少女二人に挟まれて北原は幸せ」


「自分で自分の事を美少女とかよく言える、その鋼の精神力、見習いたいよ本当に」


 そういえば北原の奴にカワイイと言わせる目的があったのを思い出した。素直に言えって言っても言わない奴ってのはもうわかっている。どうやって言わせようかと考えていると喫茶店の店員さんが、私たちのオーダーした商品を持ってきてくれる。


 ふっふっふー。ここも気になっていた場所なのよ。名古屋発祥の喫茶店。コメダ珈琲店。ここでシロノワールというものを頼んだのよ。なんでもメニュー表に写っている写真よりも大きな物が提供されるとか。逆見本詐欺なんて言われることもあるシロノワールなるシロモノ。気になる。そして実際にやって来たものは……


「おっきい……」「これは一人一個は厳しかったんじゃないか?」「くっ、ここにきて最大の戦いが待っていたっす……」


 冷や汗を流す私たち。


 デニッシュパンというのかな、土台となる円形のパンの真ん中に、グルグルと巻かれたソフトクリームがデデンと乗っている。ソフトクリームの横にはちんまりと赤いサクランボ。シロノワールのシロはソフトクリームの白って意味らしいの。とにかく圧がすごい。


 尻込みしていても始まらない。いざ、いただきます。


 土台のパンの部分は一口サイズに小さく切られている。フォークを使ってスプーンに乗せて、上のアイスごと口へ。


「甘くておいっしいっ!」


 パンは温かい、そしてソフトクリームは冷たい。この熱いのと冷たいのの組み合わせは、冷奴を乗せた猫まんまにも通じるところがある。これは意外な発見。ふんわりと香るパンのおかげで、ソフトクリームの甘味が引き立つ。これは、うみゃあ。


「先輩は甘い物が好き好き大好きって言うっすが、あっし、甘味ってよくわからないんすよね……」


「好き好き大好きって言ってた記憶もないけどね。後輩ちゃんは好き嫌いが多いのよ」


「甘味がわからないっていうのはちょっと好き嫌いという範囲じゃないんじゃないか?」


「あっしはギブアップっす……先輩、どうぞ」


 数口食べただけの後輩ちゃんがギブアップ宣言。後輩ちゃんは小食なのね。ただでさえボリュームのすごいデニッシュ&アイスクリーム、なんと二倍になったよ! やったー! って、ごめんなの。私も二つは無理そう。後輩ちゃんから回って来たお皿をそのまま北原の前に回す。


「北原、パスなの」


「僕!? 僕も厳しいんだがっ!?」


 それでも後輩ちゃんの残したシロノワールを受け取って、全部平らげる北原。立派。私も完食、ご馳走様でした。おいしかったー。しあわせ。



「……先輩、もうダメそうっす」


 大満足で椅子に深く腰掛ける私の服をクイクイと引っ張る後輩ちゃん。見ると、ただでさえ白い顔が青白くなっている。え!? 見るからにつらそう!


 どうしたの? と聞くと、北原にも聞こえないような小さな声で「変化が解けそうっす」とつぶやく。それは大変! 青白い顔でぷるぷると首を振る後輩ちゃんを北原も心配そうにしている。これは一刻を争う感じ。


「後輩ちゃん、ちょっと体調が悪いようだから、お店出よう」


 後輩ちゃんの手を引いて急いで店を出る。支払いは北原がやってくれた。ありがとうね。連れてきて良かった北原。


「もー限界っす……」


 喫茶店から出た直後、後輩ちゃんの人間の姿が溶ける様にしていく。やばっ。支払いを終えた北原が店から出て来た。


「あーっ! 北原の後ろに落ち武者の背後霊!」


「え!? え!?」


 北原が後ろを振り向いた隙をついて完全に猫に戻った後輩ちゃんを私の固有空間に放り込む。


 見られた? 北原、見られていない! 他には? 誰にも見られていない! セーフ、セーフなのよ。ふー、使えてよかった固有空間。


「あー、気のせいだった。見間違い、見間違い。落ち武者じゃなくて、北原の守護霊のひぃおばあちゃんだったー」


「どっから出て来たひぃおばあちゃん! 落ち武者に見間違いされるひぃおばあちゃんって何だよ!? というかさ、冗談でもオカルトやめてって! ……あれ? 後輩さんは?」


「あー。体調が悪いから先に帰ってもらったのよ」


「先に帰したって、あっという間にどこにもいないんだけど……」


「ダッシュで帰ってもらったから」


「後輩に対する扱いが悪いな君は!?」


 なおも後輩ちゃんを気遣う北原には悪いけど、固有空間の中の後輩ちゃんが気になるのでもうここで別れたい。どうやって切り出すか。北原に掛ける言葉を探していると「ちりん」と、よくよく聞いたことのある鈴の音、そして気配がひとつ。


「北原君?」


 北原のちょうど後ろに見知った人物。


 あづきが現れたーっ!?


 あわわ、どれだけ知り合いに会うの、この商店街!!




何年か前に食べたきりなのであやふやな記憶で書いてたりします(-"-)ゴメンネ

コメダのシロノワール美味しいよねーって人は↓で☆を5つ。

実在の店名とか商品名とか小説で出すんじゃねーよって人は↓で☆を1つ付けること。

ムフフ(-"-)

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