プロローグ
昔はね、昔と言ってもすっごい昔、江戸時代だっけ? この国がそんな呼ばれ方をしていたくらい昔。
猫は10年生きるだけで猫又って呼ばれていたんだって。それくらい長生きできる猫が少なかったんでしょうね。
人の世が豊かになるにつれ、人が長生きをするにつれ、人に愛されてきた猫たちも、人に引きづられるようにして長生きをするようになった。するとどうでしょう。10年生きる猫なんて珍しくも無い、そこら辺にゴロゴロにゃあにゃあと普通にいる時代になっちゃった。
猫又が沢山。どうもそれはよくないってなっちゃったんだよね。そこら辺の事情はよくわからないのだけれども。
そうだ、猫又と呼ばれる者は試験を受けて合格した者だけにしよう。
どっかのえらーい猫又の大御所が言い出したらしい。
何故? って思う。心の底から思う。別に猫又の認定をしてくれなくても、賢い猫は人の言葉がわかるし、なんだったら妖術とかも使えちゃう。人は勝手に猫又呼ばわりをするし、自分たちの事を自分たちで猫又って呼ぶか呼ばないかに何の意味があるの? って。
それでも最初はその試験も簡単な物だったらしい。
10年生きた。人間の言葉が理解できる。人間の風習を熟知している。立って歩ける。しっぽを二つに分けられるとか、その程度。
時代が進み、賢い猫が増え、試験を受ける猫たちも増えて、内容はどんどんと難しくなっていったんだって。たとえば人の夢の中に侵入できる。体を自由に大きくできる。霊体になって人や他の動物に憑りつくことができる。変わったものでは踊りが上手、などなど、などなど。
生きた年数も最初の10年から13年になって15年になって、そして現代では最低でも20年。倍。昔の倍。20年生きないと試験を受けることも出来ないとか。もうね。
と、ここで私の事。こほん。
吾輩は猫である。名前はマル。猫又ではない只の賢いだけの猫である。
あ、この吾輩の下りはちょっと賢くなった猫が最初にかかる病気のアレでアレな挨拶なので忘れて欲しい。忘れて。後で思い出して身もだえるから。もし、そんなことを言う猫に出会ったら、どうかやさしい目で見てあげて欲しい。
こほん。
うにゃあと生まれて元気に育って21歳、三毛、眉間のあたりが縦じわの線に見えるようでいつも不機嫌そうだと言われることがちょっとしたコンプレックスの雌の猫。
20歳になってすぐ受けた猫又検定に不合格して、21歳になって受けた猫又検定も落ちた……駄目な猫である。
うにゃあ。
ゆるーく始まります。
ストック無いけど無理やり自分を追い込むために強引にスタート
見切り発車よーい(-"-)
(約:設定やキャラなどを大幅に見直す可能性がありますのでゆるして)