魔術・剣術 & 武器の解説
Ⅰ.この世界における魔法と魔術について
魔法使い
元々人の体内には"魔力"というものが流れていて、それをエネルギーとして使うことができる人のことを"魔法使い"という。その発現の仕方は様々であり、個人の特性として現れることもあれば、民族の血筋として発現する場合もある。後述する魔道具によって、魔法使いが使えるような能力を発動させることが出来るのだが、それと区別して、「天然の魔法使い」と呼ばれることがある。
この小説の例で言えば、主人公エルザの怪力は、元々強い力の上に身体強化の魔法が後押ししていると言われているし、治癒魔法使いのエイミーは、タミル族の女という血筋による能力の発現ということになります。
魔獣
体内に流れる"魔力"をエネルギーとして使うことができる獣のこと。蛇が毒を使い、スカンクが臭気をとばすように、魔獣は己の身を守るために、己の特性に合わせた魔力を使う。例えば、サラマンダーという魔獣であれば、火球を飛ばすことで相手を攻撃するし、小説冒頭に登場したブラックファングは牙や爪で引っかくことで獲物を麻痺させることができる。
魔法の限界
人体に保有する魔力量は、その体の大きさに比例する。つまり巨大魔獣ほどより大きな魔力を有し、体の小さな人間はさほど、大きな魔力は保有していない。例えば、火魔法が使えるものであっても、使えるのは数発が限度。それも、その体なりの威力しかないので、人によっては着火程度にしか使えない人も多い。
魔術師
そのような魔力自体を利用して、操作したり、効率をあげるなどして、使い道をいろいろ模索する者を"魔術師"という。効率良く、意図した魔法を発現させるための魔力回路を書いたり、魔石に魔力を溜め込んだり、魔力を増幅させる素材の研究など行っている。
魔道具師
魔術師が行っている基礎研究を元に、道具として形にするのが魔道具師である。魔石による魔力の蓄積、魔力回路を構築するアイデア、魔力を増幅させる素材の利用や、逆に魔力を阻害する素材で防具を作るなど、実用性を重視した研究を行っている。
魔力量
魔力量は、魔法が使える限度を現す。魔法を使えない一般人であれば、魔道具に蓄積された魔力量が限界値になる。それはさほど持続するものではなく、魔道具を発動させて数分程度のものが多い。
そういう意味では、天然の魔法使いの方が、魔法を持続する力が高いと言えるが、それでも体の大きさなりのものである。
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Ⅱ.剣術についての解説
エスタリオン王国では、無双流、西神流、夢幻流という3つの大きな流派があり、それ以外にも小さな道場が存在する。
戦闘において、パワーと素早さ、動体視力などは重要であるが、鍛え抜かれた高位の戦士同士の戦いになればその差はごくわずかとなり、勝敗を決する決定的な要因とはなり難い。
そこで重要なのが技術である。死角から攻撃をしかけたり、体さばき、足さばきによって体の使い方を大きく変化させたり、回避と攻撃がひとつの動きとなっていたりというように、体の動きや道具の特性に合わせた戦いの技術が生死を決すると言っていいと思う。
なので、戦闘シーンでも、何度も剣を振り下ろしたり、剣を剣で受けるといったことは行われず、たいていの場合回避する方向で動くことになる。そして、回避されるということは攻撃が来るということでもあるので、攻撃側は防御も兼ねる動作を取りながら攻撃していたり、なかなか高度な戦闘が繰り広げられることになる。
また、自分に有利な戦闘フィールドを選択して、戦いを挑むことも良く行われる。環境を味方にするということは、相手に実力を十分に発揮させないことでもある。
このようなことは、主人公も仕掛けるし、敵も仕掛けてくる。そして敵も強敵揃いだから、そう簡単にはひっかかってくれない。それに、敵も一流の戦士なので、戦闘経験の浅いエルザが簡単に見破ることができるはずがない。
剣士同士の戦いでは、このような前提で、戦闘が繰り広げられている。
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Ⅲ.武器の解説
1.剛鉄剣(エルザの剣)
王都の名工・バルデルクが打ったとされる名剣。数種類の金属を独自の調合で混ぜ合わせて作った合金製で、非常に堅牢である。刃の長さは80cmほど。柄頭の金具を外すと5cmほどの短い刃が現れる。剣を抜く間もない状態で、敵に向かって突くことができる。
2.エルザのブーツ
エルザの母・ミラが嫁入りの際に祖父が持たせたというブーツである。氷の上を歩くためのアイゼンと、氷や土などの壁を突き刺すつま先のナイフが靴底に収納されている。祖父が雪国に嫁ぐミラを思って作った靴なのだが、実際にはエルザが拘束された際の戦闘などに活用されることとなった。
このブーツは、作者が実際に見た夢の中で、女の戦闘員が踵とつま先がらナイフを引き出し、蹴り技で戦闘するシーンから着想を得たものである。それをエルザに履かせてピンチを脱する時に使用する話の展開になるのだが、物語の展開上、当初の想定以上に人を殺す、悪魔のブーツとなってしまった。
3.ジョーの斧
この物語は、作者が実際に見た夢をモデルに書いたお話なのだが、その時に登場した敵役がジョーのモデルである。真っ黒な鎧を着て、2本の斧を振り回す。時に投げることもあったり、剣を引っかけて固定させたり、とにかく力が強くて持久力があり、味方がバタバタと倒されるという夢だった。片手で振り回すので、そんなに大きなものではないが、柄が長く刃は鉞のように下に長い刃渡りの斧となっている。
4.リリスの小道具
リリスは割と飛び道具を使っている。
鉄球を投げたり、粘性爆弾、フリスビーのような円盤型爆弾などである。また、隠ぺいの魔道具などを使って一気に攻撃を仕掛けたり、その使用は多彩である。リリスは体が小さい分、窮地に追い込まれた状況からの、突破力ようなものにこだわりがあって、このような小道具を吟味しているのだろうと思われる。
5.地獄の三兄弟・ブーメラン兵器
この兵器も、作者が夢の中で見たものである。突如、刀身が柄から離れて敵を真っ二つにするという夢だったが、まさか作中でエルザを真っ二つにするわけにもいかないので、小型ブーメランを繰り出しつつエルザを苦しめるという展開にしたものである。
これは余談だが、骨折したエルザに地獄の三兄弟を当ててしまい、普通に考えたらエルザは死ぬという展開を書いてしまった時は正直、今後の展開をどうしようかなと悩んだものだった。その後、ふと、ジョーを救出に向かわせるという展開を思いついて物語は続くのだが、このブーメラン戦士がいなければ、ジョーがエルザの味方になることもないので、物語は大きく変わっていたかもしれない。




