3度目の人生、魔王に愛を誓う(1)
初めまして、黒豆と申します。物語を創るのが大好きで、私の創った物語を皆様にも読んで共に楽しんでいただきたく投稿を始めました。これからご贔屓にしていただけると幸いです。
「どうして!?一体俺たちが何をしたって言うんだ!!」
ナイフを手に持ち、飛び散る血と高揚感で頬を赤く染めた殺人鬼に俺は問いかけた。
「何もしてないよ?ただそこに居たから殺しただけ」
ニヒルな笑顔でそう耳元で囁いた奴は俺の腹をナイフで刺した。この世の理不尽を痛感した日。俺たち家族は通り魔殺人に遭い、家族全員殺された。
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「いつまで寝てるの、早く起きなさい」
「わかってる、今行く」
暖かな陽気に包まれ、気持ちよく眠っていた俺は生返事をしてもう一度眠りに就くことにした。
「ドンドンドンドンドン」
下から何か来る音がした。危険に気づき、いち早く布団から出ようとしたその時にはもう手遅れであった。
「やっぱりまだ寝てる!早く起きなさい!!今日は朝から農家の収穫手伝ってもらうんだから!」
「わかってるよ…」
朝から元気な母親に強制的に起こされた俺は渋々食卓に向かった。
「おう、クリス。今日はまたよく寝てたな」
食卓に着くとからかうような声で父親に迎えられた。
「兄ちゃんのネボスケ!ネボスケ!」
1個下の妹から可愛い罵声も浴びた俺は朝の挨拶をして席についた。
「「「「いただきます」」」」
家族全員でご飯を食べている。いつも通りの光景であってかけがえのない光景だ。もう2度と大切な人を失いたくない…。
日本で通り魔殺人に遭い死んだ後、この異世界に転生し第2の人生を歩むことになった俺は家族との温かなスローライフを過ごしていた。