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4.阿部智将さん視点①
~阿部智将さん視点~
車の中で紫姫を待っている。彼女は無事に来れるだろうか?
やきもきしていると、紫姫の軽自動車がこの裏駐車場に入ってくるのが見えてホッとする。
紫姫が車から降りて歩き出す。不安のせいか速足だ。
こちらに近づいてくるが、車に乗っている僕に気付く様子はない……ってそりゃそうだ。僕が乗っているのは南山田君から借りた車なんだし。
紫姫が車の側まできたとき、彼女を驚かさないよう、ゆっくり車のドアを開けて小さめの声で呼びかける。
「紫姫」
「智将さん……」
知らない車から出てきた僕に一瞬驚いたようだが、僕だと確認できると走ってこちらに向かってきた。
どうやら間に合ったようだ。僕は軽く安堵の溜息を洩らした。