1.先輩からの連絡
ある日の日没直後頃、S大学1年生の僕、瀬川有希斗へ同じくS大学2年生の南山田先輩から電話が掛かってきた。
「南山田じゃ。瀬川君、今日約束していた夕食なんじゃが、急用が入っての。大変済まんのじゃが今回はキャンセルしてもらえんじゃろうか?」
「ええ、それは構いませんが。何があったんです?」
「うむ、ストーカーを被害者から引き離す囮役を引き受けることになったんじゃよ」
「アンタ馬鹿ですか!?危険すぎるでしょう!何でそんなことになってるんですか!?」
「話せば長くなるんじゃが……まあ、相手も一人じゃし、ワシが標的なわけでもないから、危険な目に合う可能性は低いと思うのじゃが……」
「そんな保証がどこにあるんですか!今どこにいるんです!?」
「北区の△△△△マンションのガレージじゃが」
「具体的な住所は!?ああ、もういいです!MAPで探して行きますから!」
「えっ?瀬川君来るの?いや君まで巻き込むつもりはないんじゃが?」
「巻き込むつもりがあるもないも知ったこっちゃありません!リスク軽減のためです!万一どっちかが危害を加えられそうになってももう一方が通報なりできるでしょう!どうせ引き受けたことを断るつもりは無いんでしょうが、せめて僕が着くまでそこで大人しくしていてください!」
「う、うむ……」
しょっちゅうおかしな頼まれごとを引き受けてる南山田先輩だが、今回は詳細を聞くまでもなく危険としか思えない。とにかく早く現地に行って話を聞かなければ。
十数分後、全力で自転車を漕いだ僕は、目的のマンションにたどり着いた。
このマンションは半地下状態になった1階が車のガレージになっており、南山田先輩の潜む真ん中のガレージの中に入る。
「ゼエッ、ゼエッ……」
「いや、結局巻き込んでしまって済まんのじゃ」
「ゼエッ……僕が勝手に首を突っ込んだんですよ。でも事情は説明してもらえますよね」
「ああ、それなんじゃが……」