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04 『兄弟の証』

 




 ハイセは泣きながらも5人のムカつくけど可愛い弟達に芋を手渡す。そして、ヨウに手渡すときだけ、言葉を添えた。




 「俺は忌み子のお前なんかよりいっぱい稼いでやる!お金に困ったら………ちょっとくらい貸してやるからな!」



 「!…………ふふ、それは、僕のセリフです。


 ハイセ………兄さん」



 ヨウはそう言って、今日1番の笑顔を見せた。全員はもう暗い顔をしていない。強いて言うなら、アドラオテルだけが膨れっ面だ。………アドラオテルは、嬉しい時とか照れている時にこういう顔をする。




 それを遠目から見ていたアルティアは小さく笑った。



 「…………アドには沢山の兄弟がいるわね。素敵だわ。


 だから、泣かないでよ。セオくん」



 「ぐずっ、………みんなが、小さかったみんながこんなに立派になって………ッ」




 「はいはい。でも当たり前でしょう?


 ___私達が頑張って育ててきたんだから」



 「…………ッ………」



 アルティアの言葉に更に泣くセオドア。正直子供達よりも泣いている。そんな父親の隣にいたセラフィールも涙目だ。




 「みんな、兄弟………わたくしも入っているかしら?」



 「当たり前でしょう。ハイセお兄ちゃんの言う通り、ナナたちは兄弟よ。………男って、なんでも勝負したがるけどそんなことせずに普通に言えないのかしら」



 そう言って呆れるナナ。その顔にも__ちゃんと笑顔があった。







 * * *




 おまけ




 「まあ、こんな大きなおいも………」



 「ふふん、俺が取ったんだぞ!」



 「違うわよ、みんなで、でしょう?」




 とても大きなパイを持ったアドラオテルは満面の笑みで抱き締めている。……本当は食べ応えのありそうなこの芋は孤児院に渡すべきだと思ったのだが、アドラオテルが駄々を捏ねたのだ。



 幸い、沢山収穫出来たからと年長組が保母にお願いしてこの大きなパイは皇族に献上、という形で貰った。



 それはいい。いいのだが…………


 セオドアはそこまで考えて、先程から言っている言葉を繰り返した。


 「アド、そのお芋を頂戴___「やだ!」………」



 アドラオテルはそう言ってパイをさらに強く抱き締めて睨む。



 「これは!きょーだいの証なんだぞ!」



 「でも、腐っちゃ「やだ!」……はあ」




 …………このとおり、『兄弟の証』と言ってアドラオテルは触らせてもくれない。そのうち飽きたら貰おう………アミィールにスイートポテトを作りたいし………




 ____このあともアドラオテルはパイを渡さず、それどころか祖父であるラフェエルの前で盛大に駄々を捏ねて、大きな冷蔵所の1部を貰い、ずっと大事にしてそうな。











 Fin .









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