03 子供達はすぐ目的を忘れる
アドラオテルはそう言って胸を張る。……子供達が側近や侍女連れずにこの部屋に来た理由はカメラの破壊だ。
お父様はカメラばっかりになってしまった。お写真よりも、一緒に遊んで欲しいのに………それはアドラオテルも一緒なのです。
けれども、壊したらお父様が悲しまれるかもしれません。やはり止めた方がいい。
「アド、やはりだめです!元の場所に戻して!」
「やだよ!壊す!」
「アドが戻さないのであればわたくしが戻します!貸して!」
「やーだー!」
アドラオテルとセラフィールはギャーギャーと騒ぎながら1台のカメラを取り合う。
そんなことをしていると、パシャ!とボタンが押ささる。びく、と2人は動くのを辞めて固まる。そんな双子の足元に、1枚の写真が落ちた。
「おお………?」
アドラオテルはカメラを手放し、写真を見る。父親の部屋のソファが綺麗に撮られてた。それを見て目をきらきらさせる。
「セラ!俺達お写真撮れたぞ!」
「まあ!凄い!わたくし達でも写真が撮れるのですね!」
初めてシャッターを切った2人は大はしゃぎする。シャッターボタンを押した感覚が指に残ってる。もっとやりたい!
そう思ったアドラオテルはカメラを構えてセラフィールを撮った。反射的にポーズを撮ったセラフィールが写っててアドラオテルは調子に乗る。
「楽しー!もっと撮るー!」
「アド!わたくしにも貸してくださいまし!」
双子は本来の目的を忘れて部屋中の物を撮った。自分のぬいぐるみや剣を様々なかっこいい構え方で撮る。アドラオテルに至ってはでんぐり返しをした直後にパシャ!とシャッターを押していた。
「楽しー!」
「楽しー!」
上機嫌になった2人は沢山の写真を床に散りばめて暴れ回る。そして、くるくると踊っていたら父親のベッドの前に来た。セラフィールは明るい声で言う。
「お父様を撮ります!いつも撮ってくださってるので!はい、チーズ!」
セラフィールはそう言って寝ているセオドアを撮った。落ちた写真には熟睡しているセオドアが写っている。アドラオテルはそれを拾って『う~ん』と唸った。
「イマイチですなぁ。地味なお写真だぞ」
「お父様の寝顔は地味じゃありません!格好いいです!」
そうムキになる父親大好きセラフィールの言葉を聞いて、アドラオテルは笑う。無邪気な笑みとはかけ離れたゲス顔である。
「………じゃあもっと格好よくした方がいいと思うんだよね~折角のお写真だし」
「?何を言って………アド!?」
セラフィールは少し大きな声を上げる。アドラオテルの手には___最近よく城に来るタナカがくれたマジックが。勿論これを作ったのも『異世界転生者の会』だ。
「まずこうして~、で、写真を撮る」
アドラオテルはマジックを持ち寝ているセオドアの顔に走らせ、セラフィールから奪ったカメラでカシャリと撮る。でも「なんか違うな~」と言ってまたマジックを動かす。セラフィールは顔を青ざめさせた。
「あ、アド、や、やめて………」
「セラ、確かセラはピンクのマジック持ってたよね、貸して」
「だっ、ダメよ!貸さない!」
「ふーん?じゃあ勝手に借りる」
「あっ!」
アドラオテルは目にも止まらぬ早業でセラフィールが肌身離さず持っていたピンク色のマジックを奪った。そして、鼻歌混じりに手を動かした。
セラフィールはその様子を見て、涙目になって震えたのだった。




