01 写真大好き皇配
セオドア・リヴ・ライド・サクリファイス。
10年前、隣国のヴァリアース大国の公爵家でありながらサクリファイス大帝国の皇女、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスに見初められ、迎え入れられた皇配である。
優しい群青色の短髪、エメラルドのような緑色の瞳の美しい青年で、その見た目に恥じないほど優しく、誰に対しても礼儀正しい。だからといって女々しいわけでもなく、武術の大会では剣技や魔法を披露し武人としても有名だ。
このとおり皇配としても優れているが、他にも国民や貴族に勧められ、お菓子やファッション、アクセサリーを扱う『ANGEL』を設立、サクリファイス大帝国のみならずユートピアの流行を牽引している。
そんな彼、最近とてもハマっていることがある。
それは_____………
* * *
「セラ、アド、そのまま動かないで」
「はーい!」
「バター!」
セオドアの言葉に双子のセラフィールとアドラオテルはピースする。すると、カシャ、と音が響いた。
それを聞いた子供達はセオドアに駆け寄る。
「撮れたー?」
「うん!バッチリ撮れているよ!」
そう言ってセオドアは1枚の紙を見せる。そこには___自分達の姿が写っている。それを見てセラフィールは目をきらきらさせる。
「しゃしん、凄いです!」
「俺かっこいい~!」
はしゃぐ子供達。しかし、一番はしゃいでたのは___ほかの誰でもないセオドアだった。
「二人の写真可愛いなぁ、可愛いなぁ………アミィ!見ておくれ!」
そう言ってセオドアはソファの元に向かう。ソファには妻であるアミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスが優しい笑顔で大きなお腹に手を置いていた。
「ふふ、セオ様、楽しそうです。
にしても………かめら、というのは凄いですね」
そう、これはカメラだ。
本来このユートピアには無い代物であるのだが、先日の『異世界転生者の会』の一件で、ボスのタナカがセオドアへのお礼の為に作ったのだ。
高性能のインスタントカメラで、持つ者の魔力を使ってその場で中にはめ込んだフィルムに現像するという優れもの。
…………しかし、実はこのインスタントカメラ、とても高性能故に扱いづらい。魔力がないと使えないし、使えたとしても魔力を繊細にコントロールしなければブレるのだ。これはカメラの試作品である。
それを喜んで使いこなしているのがセオドアである。
「そうだよ、私の前世ではこれを使って思い出を残すんだ」
セオドアは嬉嬉としてそう言う。前世の記憶があることをもう話してあるため口が軽い。アミィールもそれを知っているから驚かないで聞いてくれる。
それより、ずっと昔からカメラが欲しいと思っていたから凄く嬉しい。勿論アミィールの写真も撮った。胸ポケットにいつもいれてるし、アミィールも執務室の机に俺と子供たちの写真を飾っている。
俺はこのカメラで沢山の思い出を撮るんだ!
「アミィ、アド、セラ!お腹の子供と撮るから並んで!」
「父ちゃんも写ってよ!」
「うん、勿論!じゃあ、撮るよ」
3人が並んでいる前でセオドアも入って片手で撮ったのだった。
____こうしてセオドアの写真生活が始まった。
* * *
「セラー!パース!」
「きゃあっ!こっちにボール投げないでよー!」
サクリファイス皇城の名物・大型プールで子供たちが水着で遊んでいる。それを陸からカメラを構えるセオドア。
「セラー!アドー!こっち向いてー!」
「う………」
「げ…………」




