08 『異世界転生者の会』の真の目的
そう思ったセオドアはすすす、とさり気なく離れながら笑みを浮かべる。
「その、サクリファイス大帝国の国家転覆を目論んでいるという………」
「国家転覆………中々の情報通だな。
そうだ、我々は国家転覆を目論んでいる」
「…………何故だ?」
タナカの言葉に、アルティアはとても低い声を出した。巫山戯ていない。それはそうだ。今、サクリファイス大帝国が転覆したら世界は無法地帯と化すだろう。ふざけていられないのだ。
「国家転覆を目指しているのは、………」
「…………ッ」
胸がドキドキする。どんな理由であれ、看過する気は無いが、こんな高技術を持つ日本人達の集まりなんだ。高い志があるかもしれない、もしくはこの国の政治に不満を___「開発費用を沢山欲しいからだ!」
「…………はい?」
セオドアは思わず地の声を出してしまう。しかし、タナカはそれに突っ込むことなく声を荒らげた。
「国の援助が欲しいのだ!研究!実験!場所とお金を援助してもらいたい!
もう個人で稼ぐのはキツいんだ!だからといって貴族に援助してもらうのは好きなことをさせて貰えないかもしれない!
だが!あの『最上の一族』で在らせられるサクリファイス皇族であればのびのびと自由にやらせてくれるかもしれないじゃないか!」
「……………」
「……………」
「……………」
信号機トリオは真顔を作る。しかしタナカは止まらない。
「ラフェエル皇帝様は先見の明が在らせられる!俺がこのユートピアで生きて63年!無能な前皇帝とは違い古臭い考えを持っていない!
アルティア皇妃様は全知全能たる『龍神』の末裔!噂では雷魔法を使えるという!是非メカニズムを教えて欲しいしもっと言うなら電力を生み出して欲しい!
アミィール皇女様は斬新な思考の持ち主!お父上であるラフェエル皇帝様ほどの技量は未だ無いとはいえとても頭の切れる政策を提案していると聞く!ラフェエル皇帝様の代からパイプを作っておけば万事安泰だ!
セオドア様はまるで異世界転生者のような娯楽やファッションを提案なさる!もしお力添え頂ければ、魔法を応用した遊園地や動物園、水族館などのテーマパークを作ってくださるだろう!そのお力になりたい!」
タナカはとても熱弁している。
な、なんか思っていたのと違うぞ?なんというか、もっと血なまぐさい理由とか、高い志とか…………
既に混乱しているセアことセオドア。同じくそれを聞いていたルッティ、ルティーことアルティアは1度手を挙げた。
「し、質問、その、皇族が気に入らないとか、そういうのじゃないんすか?」
「ん?そんなわけないだろう。貴族達は前世の日本社会のような息苦しさがある上、身分と広い庭付きの家を守りたい志の無い者たちだろう?しかし、こんなにも国民達の生活水準は高い。それは紛れもなく『最上の一族』のお力あってこそだと思う」
「じ、じゃあなんで国家転覆……?」
「国家転覆とは権力を覆すことを指すだろう?しかし、『異世界転生者の会』のコッカテンプクは合言葉で、『国家転覆する勢いで皇族と交渉する材料を集めよう!』ということなのだ」
「…………」
「…………」
「……………」
「?それよりも、私達の技術を見てくれ!今はさっき話したとおり乗り物を中心に作っているんだ!それは向こうにいるヨシダが、それと俺は魔法で動くテレビやレンジなどの家電を…………」
『異世界転生者の会』は全員様々な話をし始めた。至る場所でオタク特有の早口と熱弁をしている。そんな中、潜入した3人は大きく溜息をついた。
そこには、反乱因子や戦争を起こそうという意思はなく。
…………オタクしかいない空間だ………
3人の心は合致した。




