08 家族達のプレゼント
その日の夜
「お誕生日おめでとーーーーーーう!」
「とーーーーう!」
パァン、と4つのクラッカーとアルティア、アドラオテルの声が皇族専用食堂に響く。セオドアは鼻にテッシュを詰めながら顔を赤らめた。
「あ、ありがとうございます………」
セオドアは目の前を見る。
甘めのカレー、海鮮ピザ、厚切りポテト、チーズハンバーグ、特大ケーキ………俺の好きな物が沢山並んでる。シェフが祝ってくれてるのは明らかだ。
これも勿論嬉しいけど………それ以上にドキドキしていた。子供達が作ってくれたクッキーも食べたい。泣きそうだけど今日は泣かない。笑顔でありがとうと言いたい…………
そんなことを思い気を引きしめるセオドアに、ラフェエルが口を開いた。
「セオ、誕生日おめでとう。これは祝いだ」
そう言うとリーブが台を押しながらセオドアの近くに来る。台には___お札の束の山。信じられるか?現金を渡すんだぞ?勿論、最初貰った時は断ったけど、その時お金を燃やされそうになったから素直に受け取ることにしてる。
「あ、ありがとうございます、ラフェエル皇帝様」
俺が頭を下げると、次はアルティア皇妃様がにこにこしながら近づいてきた。
「じゃあ次は私!はい、これ」
「…………」
アルティア皇妃様がくれたのは___『好きな服をプレゼントする券』と記された白い紙。悲しいことにこの人のプレゼントはこれなのだ。でも、好きな服を出してくれるのはありがたい。さすがに子供達の水着などは作れないから。でも、情緒はない。
「………ありがとうございます」
「ラフェーと扱い違う!酷い!」
「お母様のプレゼントではその程度でしょう。お父様も現金渡しなんて適当すぎますわ。
セオ様、わたくしのプレゼントは庭園にございます。時間がある時に見てください」
アミィールはにっこり笑う。きっと今年も大掛かりなプレゼントなのだろう。アミィールは俺の好きな物を熟知してるから、というか好きな人から貰ったものは全部嬉しいから楽しみになる。
「ありがとう、アミィ。明日見に行くね」
セオドアがふわり、そう笑う傍ら、子供達は椅子から降りて、セオドアを囲むように立った。勿論セオドアはそれに気づいてる。
きたきた、子供達初のプレゼント!平常心を保たねば………
そう改めて気を引き締めて2人を見た。
「………アド、セラ、どうしたんだい?」
「セラ、早く渡せよ」
「あ、アドが先に渡してもいいじゃない」
「へたれだなぁ。んま、いいや。
父ちゃん!誕生日おめでとう!」
アドラオテルはに、と笑いながらたくさんの星型クッキーの入った袋を前に出してきた。
「クッキーか、も、ももも、もしかして、アドが、つくったの、かい?」
うわー!!俺、下手すぎか!知らないフリ下手すぎか!口角が上がってるのが自分でもわかる!アミィールがすごく見てる!アルティア皇妃様がにやけてる!は、恥ずかしい………!
そう思うセオドアの気持ちも知らないアドラオテルはドヤ顔をしながらポッケに手を入れ1枚の紙を出す。
「これもあげる!」
「?これは………!」
セオドアはその紙を受け取り、中を見た。そこには___群青色の頭、緑の目の………俺の似顔絵。アドラオテルはにしし、と鼻を擦りながら言う。
「父ちゃんの顔!いい感じだろ!」
「アド……!」
セオドア、涙腺崩壊。子供から絵を貰うのがこんなに嬉しいとは………!
しかしそれを見たセラフィールは顔を真っ青にする。
「あ、アド!貴方絵はつまんないって………!」
「そんなこと言ってないもーん」
「ッ、サイテー!抜け駆けなんてずるいわ!わたくし、クッキーしか………っきゃ!」
「セラ!」