表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/230

05 夜

 



 PM 8:00




 「えっとー!これ!……やった、ペア~!」



 「また、ビリ……ぐずっ」



 「セラ、泣かないでくださいまし」



 「そうだよ、パパも沢山負けたから一緒だね」



 ………この時間は家族の時間です。家族で集まれるのは夜だけで、それもアミィールが仕事を終え、お風呂に入ってからなので少し遅めです。今日は家族でトランプをしています。



 アドラオテルは泣いてるセラフィールを小馬鹿にするように言う。



 「父ちゃんもセラもわかりやすいんだよな~、どこにババがあるのかわかっちゃう。ねえ、母ちゃん」



 「ふふっ、そこが可愛いのではないですか」



 「あ、アミィとアドが強すぎるんだよ。ねえセラ?」



 「お母様もアドも隠し事が上手いです………次は!神経衰弱をやりましょう!」



 「セラが勝つからやだ~。大富豪がいい~」



 「ふふっ、ドボンでもいいですわね」





 ………3人が言っているトランプゲームはこの世界にはない遊びですが、父親は前世で日本人だったのでこういう遊びを子供たちに教えた結果、みんなが楽しく遊べるようになりました。



 広めたセオドアはにこやかに言う。



 「アドのやりたいって言ってたババ抜きはしたんだから、次はセラのしたい神経衰弱だ。アミィのドボンもやろうね」



 ………まあ、全部俺は1位になったことがないんだが………




 セオドアは少しだけ凹む。頭を使うゲームは圧倒的にアミィールが勝つし、記憶力系はセラフィールが断トツだし、アドラオテルは運に恵まれているから……あれ、俺父親で夫なんだよな……?実は違ったりするのか………?




 セオドアはそんなことを思いながら神経衰弱の準備をしたのだった。





 * * *




 PM 10:00



 「アド、セラ、寝るよー」



 「はーい」



 「えー」




 「アドも寝るのです、絵本を読んであげますよ」



 「寝る!」




 絵本、という言葉に食いついたアドラオテルは父親と母親のいる寝室のベッドに飛び乗る。柔らかいベッドはアドラオテルのお気に入りです。



 今日はアミィールがアドラオテルに、セオドアがセラフィールに絵本を読んであげるようです。勿論日によって違います。今日の絵本はやっぱり異世界転生したセオドアとアルティアが子供達のために特注した『桃太郎』です。


 サクリファイス大帝国にも色々な絵本がありますが、アドラオテルは2人が作った絵本の方が大好きなのです。




 「むかーしむかし、おじいさんとおばあさんが………」



 優しい声の音読に、アドラオテルは落ち着く。………この時間、嫌いじゃない。



 そんなことを思いながら、うとうとするアドラオテル。アミィールは優しくその群青色の髪を撫でる。その優しい手に、アドラオテルは目を閉じてそれを感じながら意識を手放した。






 ___アドラオテル・リヴ・レドルド・サクリファイス。

 奇天烈で滅茶苦茶で意地が悪い。



 でも、それ以外は普通の愛されて育つ男の子なのでした。
















 Fin .


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ