表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/230

06 妹よりも

 


 怖い、怖い。




 セラフィールは震えながら布団を被る。

 一人ぼっち、寂しい…………誰か、助け___「セラ」………?



 不意に、聞きなれた声がした。そして、小さな手が布団に入ってくる。誰の手かすぐに分かった。



 「…………アド?」



 セラフィールは涙に濡れた顔を布団から出す。そこには仏頂面で枕を抱えるアドラオテルがいた。アドラオテルは大きく溜息をついた。



 「やっぱり泣いてた。泣き虫セラ」



 「っ、泣いてなどないです………!こ、これは汗なのです!」



 「父ちゃんと同じようなこと言わないで、素直に怖かったって言えば?


 ほんと可愛くないなあ」



 「………ほっといてくださいまし。アドは部屋に戻るのです」



 セラフィールがぐず、と涙を拭いながらできるだけ素っ気なく言う。しかし、アドラオテルは黙ってセラフィールの手を繋いだ。



 「雷の中、おねーちゃんとはいえ1人で寝れない女を放って置くほど俺はサイテーじゃないし」



 「アド………」



 「仕方なくだけどな」



 「……ひぐっ」



 アドラオテルの言葉に、セラフィールは再び涙を零した。怖いのではなく、安心したのだ。手に馴染んだこの感触、温かさが心地いい。


 そんなセラフィールを優しく撫でながら、アドラオテルは言葉を紡いだ。



 「………セラ、セラは妹が欲しいからじりつするー!って言ってるけど、それってそんなに大事なの?


 泣いて我慢して………そうじゃないと妹が手に入らないなら、俺はいらない」



 「っぐ、しかし、わたくしは妹が……」



 「俺は、どんな顔かもわからない妹よりもセラが好きだ。父ちゃんと母ちゃんが好きだ。


 それじゃだめなの?」



 「……………」



 アドラオテルの言葉に、セラフィールは涙を拭いながら考える。

 それは、そうだけど。

 でも、妹は欲しい。わたくし達が自立しなければ出来ないのだから。



 ですが…………わたくしは。




 「わたくし……………パパとママと寝たい………」





 セラフィールはぽつり、そう呟いた。それを聞いたアドラオテルは満足気に笑って、セラフィールを引っ張る。



 「セラ、父ちゃんと母ちゃんの所、行こうよ。俺も付き合ってあげるからさ」



 「…………うん」




 アドラオテルの言葉に、セラフィールはすっかり濡れてしまった枕を抱きかかえた。





 * * *




 「……………」



 「……………」




 皇女夫婦の寝室。

 アミィールとセオドアは同じ布団に入って、抱き締めあっていた。



 ちゃんと服は着ている。………子供達が自立を頑張っているのだから自分達も頑張らねば、とは思うが、そういう気分になれなかったのだ。



 勿論、好きな人と一緒なのは嬉しい。子供達がいて、甘い雰囲気になれなくて我慢することだって沢山あった。



 …………けれど。




 「セオ様、…………ベッドが、広すぎますね」




 不意に、アミィールがそんなことを言って俺の胸に顔を押し当てた。すり、と顔を擦り付けている。俺はそんなアミィールの頭を撫でた。




 「………そうだね」



 「結婚してから使っているベッドで………あの子達がいないときからあるのに、今はとても広く感じてしまって………落ち着きません」



 「いつもアドの寝相が悪くて狭かったのにね」



 「ええ。………今日は雷です。セラは大丈夫でしょうか………迎えに行った方が……」



 「…………」




 アミィールの声がどんどんか細くなる。

 俺が喋っても、こうなってしまうだろう。だって、俺も同じことを考えているから。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ