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04 大人の意見を聞いてみよう! #3

 





 アドラオテルの無茶苦茶な言い方にレイは溜息をつく。



 セオドアの息子・アドラオテルは本当に滅茶苦茶である。小さいとはいえ皇族。敬わないことは無理である。しかしこのまま敬語を使ったらまじでアドラオテルはピーマンを食べないだろう。



 そう思ったレイは静かに口を開いた。



 「アドラオテル坊っちゃまが思ったものをあげればいいのでは?」



 「う~ん、俺的には母ちゃんを裸にしてリボンを巻き付けてあげればいいと思うんだけど~………」



 「………どこでそんなことを覚えてくるのですか……それは『アミィール様のプレゼント』であってアドラオテル坊っちゃまのプレゼントとは言えないと思います」



 「え~じゃあ父ちゃん何が好き~?お花は安っぽいからやだ、絵もつまんな~い」




 「…………」


 レイは思考を巡らす。

 どっちもあげればセオドアは泣いて喜ぶだろうし、大事に飾るだろうがアドラオテル様がつまんないんだろうな。このままでは本当にアミィール様に頼み込んでリボンを巻き付けるだろう。



 それはそれで楽しそうだろうがセオドアは真っ赤になって怒るだろうな。なら、残るは………そうだ。


 そこまで考えたレイはぽん、と手を叩いて言う。


 「………お菓子を作れば宜しいのでは?」


 「お菓子?」



 「ええ。クッキーなら簡単ですし、なにより………アドラオテル坊っちゃまが好きな型抜きがありますよ」



 「!」



 アドラオテルはその言葉を聞いて目をキラキラさせた。……いつもセオドアがお菓子を作るのを邪魔するしかしないけど、昔からアドラオテルは型抜きだけは好きなのだ。



 案の定アドラオテルはすくりと立ち上がってぴょんぴょん跳ねた。



 「お菓子!いいな!クッキー!


 決めた!レイ!俺、セラの所行ってくる!」



 「あっ、アドラオテル坊っちゃま!」




 アドラオテルはぴゅーっと行ってしまった。………ああいう所はセオドアそっくりだな。




 「アド、こっちにダンゴムシが………あれ?アドは?」



 そんなことを思ってると泥だらけのセオドアがこっちを向いた。レイはすぐにポーカーフェイスを作って畏まった。



 「セラフィール様の所に行くと言っていたので執務室だと」



 「そうなのか……まったく、アイツは………レイ、悪いがアドを連れてきてくれ」



 「は」




 レイはそう短く言って執務室に向かった。






 * * *



 執務室



 「お母様」



 「どうなさいました?セラ」




 紅銀の長髪、黄金色の瞳の美女で母親、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスに声を掛けた。


 お母様の手は止まることがございません。お仕事中に声を掛けてはならないと分かっているけれど、もう藁にも縋る思いだった。



 「お母様、お母様はお父様のお誕生日にいつも何を渡すのですか………?」



 「パパの好きなものを渡しますわ。今年は庭園に青い薔薇のツリーロードを設置します」



 「…………ッ」



 お母様はちゃんと前もってプレゼントを用意していた。わたくし達ではそんな高価なものをプレゼントするお金も時間もありません。



 そう思うと涙が出てきた。




 「………?セラ?」




 ふるふると震えながら涙を流す娘に気づいてアミィールは手を止め、立ち上がった。そして、近づいて目線を合わせる。



 「どうしたのですか?セラ。どこか痛いのですか?」



 「そ、ではなく……わたくしも、お父様に誕生日プレゼント、したくて………」



 「セラ…………」



 娘が初めて自ら父親にプレゼントをしたいと言って状況も忘れてアミィールは感動する。



 ………本当にセオドア様は子供たちに愛されてますね。わたくしも嬉しい。………この気持ちを無下にしてはならないわ。




 「セラ」



 「………?」




 アミィールはぎゅ、とセラフィールを抱き締めた。そして、優しく言う。



 「わたくしも、一緒に考えます。なので、泣かないで下さいまし」



 「お母様、でも、プレゼントをもう準備なさってるじゃないですか………」



 「ふふ、大丈夫です。わたくしはセラのお父様が大好きなので、沢山プレゼントをしたいのです」



 「……本当ですか?」



 「ええ。2人で考えま___「セラ!」………アド?」












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