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04 天使、初めてのお風呂 #2

 





 そう思ったセラフィールは少し距離を取ってシャワーの蛇口を捻る。シャワーは音を立てて水を吐き出した。


 シャワー………わたくしは嫌いです。けれど、自立する上で避けては通れないです………なので、頑張ります!



 セラフィールは気持ちを引き締めてシャワーで手を洗う。そして、しっかり目を両手で抑えながらそろりそろりとシャワーに近づく。



 それを見ていたセオドアとレイは真顔を作る。



 セラフィールは顔を両手で覆いおしりを突き上げながらジリジリとシャワーに近づく。しかし、シャワーに当たるとびく、と身体を跳ねさせて下がる。そしてまた近づく………はっきりいって、洗えてない。



 これには見ていたレイが吹き出した。



 「ぶふっ……せ、セラフィール様、あれは、な、何をしたいんだ……?」



 「笑うな、レイ!セラが頑張って苦手なシャワーを克服しているんだ!」


 そう言うセオドアの顔もゆるゆるだ。ビデオを撮りたい。『初めてのお風呂』として永久保存したい………



 そんな勝手な大人達を他所に、セラフィールは涙ぐんでいた。


 ………シャワー、怖いです。少し当たっただけで熱いお湯が出ていて……わたくしは臆病者です。何が1人でできる、ですか………何も出来てない………



 セラフィールはシャワーを避けながら蛇口を戻してシャワーを止める。



 ………お父様を呼ぼうかしら。けれども、それでは自立とは言わない気がする………そうだ!


 セラフィールは浴槽を見る。浴槽にはなみなみとお湯が溜まっている。この中に入れば泡は取れるのではないでしょうか!?シャワーで水を無駄にするよりも効率も水も節約できます!



 すっかり混乱状態に陥っているセラフィールはそんなことを考え、嬉嬉として湯船に触れる。しかし、5歳にしては身体の小さいセラフィールは身長が足りず、足から入ることができない。


 ですが、問題ありません!浮遊魔法を使いましょう!



 セラフィールは紅銀の光を纏う。すると身体が浮いた。………最近浮遊魔法を使っていないから、コントロールが不安だけど、だいじょ___ッ!



 そう思った時、先程のシャワーで流された僅かな泡が目に入った。痛い!



 「っ……ぶっ!」



 「セラ!?」


 精神の乱れで不安定な浮遊魔法は効果を失い、頭から浴槽に入った。それを見たセオドアは勿論動き出す。


 急いで駆け寄り溺れるセラフィールを抱き上げた。服が濡れるけどそんなのどうでもいい!



 「セラ!大丈夫か!?」



 「ゲホゲホ………ひっぐ、ふぇぇぇぇん!」



 父親の心配そうな顔を見て一気に緊張が切れたセラフィールは大声で泣いてセオドアに抱きついた。セオドアはその大声を聞いて安堵する。



 「よかった………セラ、もう大丈夫だよ。


 パパはやっぱりセラと入りたいから、一緒に入ってくれる?」



 「ひぐっ、えぐっ、うん……パパと入るぅ…………」



 セラフィールは普段のお父様という呼び方も忘れて、何度も何度も頷いた。



 セオドアはそれを聞いてから、レイにセラフィールを任せて服を脱いだ。そして、セラフィールの身体の洗い直しをしたのだった。それをしながらセオドアは『セラフィールが大きくなるまで一緒に入ろう』と誓ったのだった。




 * * *




 アドラオテルver.



 「ふんふんふ~ん」



 アドラオテルは青を基調とした自分の部屋で美女の肖像画を眺めていた。とても上機嫌だ。



 じりつなんて俺は知らないけど、自分の部屋っていいな。好きなことし放題じゃん。なにより!父ちゃんも母ちゃんもいないからお風呂入らなくてもバレない!言われても「部屋で入った~」って言えばいいし!



 つまり、俺さいきょーじゃん!



 ____このアドラオテルは、お風呂が大嫌いなのだ。濡れるのが嫌、面倒臭いという自堕落を極めた5歳児である。



 「んぉ?」



 そんなことを思っていると、コンコンとノック音がした。今は夕方、きっとお風呂のことだ!


 「入れ!」



 「失礼致します、アド、お風呂の時間ですよ」



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