表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/230

01 自立宣言実行!

※page2の後の話です。

 




 セラフィールは目を輝かせていた。



 「わたくしのお部屋………!」



 そういった彼女の視界に広がるのは___ピンクと白の豪華な家具が置かれたピンクの壁紙の部屋。



 「お母様!ここはわたくしのお部屋なのですね!凄いです!」




 そう興奮しながら案内をしたアミィールに抱き着く。アミィールはそれを受けながらクスクスと笑った。



 「そうですよ、大事に使ってくださいね」



 「はい!わたくし、これから生まれてくる妹に恥ずかしくない振る舞いができるように頑張ります!」



 「え、ええ…………」




 アミィールは困ったように笑みを浮かべた。

 ………そうなのです。

 セラフィールが部屋を欲しがったのは、妹が欲しいからなのです。



 わたくしも子供が大きくなっていくにつれて再び赤ちゃんが欲しくなったのは事実なのですが、わたくし以上に妹が欲しいとずっと言うのです。


 それが理由で自立すると言った時はその気遣いが嬉しかったのですが………それ以上に不安です。



 セラフィールはまだ5歳です。大丈夫でしょうか………




 にこにこするセラフィールを抱きながら、アミィールは眉を下げたのだった。





 * * *




 「うぅん……………」



 アミィールが出ていった後、セラフィールは勉強机に座ってクレヨンを片手に悩んでいた。


 机に広げられた紙には、『自立をする為にはどうすればいいのか』と書かれている。



 ………部屋を与えて下さったのだから、わたくしはしっかり自立をしなければなりません。妹ができた時にわたくしがめそめそ泣くのはダメだと思うのです。強く在らねばなりません。



 それ故にわたくしは修行をしなければなりません。侍女の手を借りず、わたくしだけの力で頑張らねば…………「セーラー!」………!



 そんなことを考えていると部屋のドアが開いた。見ると、アドラオテルの姿が。



 「アド、部屋に入る時はノックをしてください。そして部屋に入る時は失礼します、と言わなくては」



 「嫌だよ面倒臭い。ほほう~セラの部屋はピンクですか~、俺の部屋は青だぞ!」



 そう言って胸を張るアドラオテルに、再び溜め息が出た。………妹のことを考える前に、このめちゃくちゃな弟のことを矯正しなければ………



 セラフィールはクレヨンを置いて、アドラオテルの前に立つ。


 「アド、いい加減にしてくださいまし。

 アドも兄になるのですよ?妹に恥じない兄になるのです」



 「その肝心な妹がいないじゃん。っていうか、俺は別に妹なんて欲しくないし」


 「アド!冗談でもそんな事言わないで!」



 「はぁ~よく考えてみなよ」



 次はアドラオテルが大きなため息をついた。そして、部屋の真ん中でクルクル回る。



 「セラは泣き虫で~怒りっぽくて~1人でな~んにもできないじゃん。お姉ちゃんなんて無理無理」



 「っ、それは、これから自立して治すのです!」



 「自立って何するの?」



 「う………」



 セラフィールは言葉に詰まる。アドラオテルは言いたくないけど、鋭いのだ。いつだって痛いところをついてくる。




 「あ、アドは何か考えてますか……?」



 「だって俺は自立したくないもん、まだ5歳だぞ?大人の難しいことわかんないばぶばぶ~」



 「………」




 アドラオテルはくるくると回りながらわたくしのベッドに倒れ込み、赤ちゃんの真似をする。それを見るだけで頭が痛い。



 「………もういいです。わたくしがしっかりすればいいだけの話です。


 サクリファイスの第1皇太子としての教養を身につけます」



 「相変わらず石頭だなあ」



 「アドが緩すぎるのです」




 セラフィールは未だにベッドでゴロゴロしているアドラオテルを睨んでから、勉強机で再び頭を抱え始めた。





 アドラオテルはそれを見て呆れたのだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ