04 チーム・『選ばれし者』
「ね、ねえアドくん、アドくんはおゆうぎかいやるの………?」
「んー?」
同じくグループ作り中、狸の獣人であるターがアドラオテルの服を引っ張った。アドラオテルはそれを受けて、ターの耳をもふもふしながら言う。
「俺はどうしよっかなー、面倒臭そうだし」
「だよね、………僕も沢山の人間に見られるの、怖いや」
「僕……も」
「サイスくん」
アドラオテルを膝に乗せた大きな体のサイスは泣きそうな顔でそう言う。それを聞いていたチョウは優しくサイスの背を撫ぜた。
「無理、すること、ない」
「そうだよ。無理に出ることなんてない」
「あ、ヨウちゃん」
そんな話をしていると、黒髪のヨウが腕を組みながら口をとがらせ、言う。
「………僕達は孤児なんだ。孤児の催し物なんて………惨めになるだけだ」
「そんなことないわッ!」
「わっ!」
そんなヨウの後ろから大きな声がした。見ると___ナナとセラフィールが。2人で手を繋いで睨みつけている。
「孤児だってやれば出来るのよ!こぉんなチャンスを逃すなんてお馬鹿がすることよ!
と、言うことで、あんた達はナナとグループを組んでもらうわよ」
「「「は?」」」
男子達は声を揃える。しかしナナはにこにこして言う。
「みんなでおゆうぎかいをやろうね!」
「いっ、いやいやいや!何言ってるのナナちゃん!?僕達は……「うだうだ言わないで馬鹿狸ッ!」ひっ……!」
ターは突然の大声にアドラオテルの後ろに隠れる。アドラオテルは耳をほじりながらつまんなそうに言う。
「俺はやらな~い。ナナちゃんが勝手にやれば~?」
「アドちゃん、一緒にやってくれたら保母さんのおパンツの色1週間教えてあげる」
「やります」
「アド………」
アドラオテルのチョロさにセラフィールは頭を抱える。劣勢の中、ヨウが声を上げた。
「ちょっとナナちゃん!それは横暴だよ!急に勝手に決められても僕達は困る!
ナナちゃんだって知ってるだろ!
…………僕達は…………」
ヨウはそこまで言って吃る。
その続きを、ナナは言った。
「………忌み子とか、獣人とか、身体が大きいとか、身体が小さいとか、皇族とか………私とか。それが理由で人目につきたくないなんて、聞かないわよ。
私達は人とちょっと違うだけだもの!なんでそれだけで劣等感を抱かなきゃならないの?」
「………っ」
「………ナナちゃん」
泣きそうなセラフィールを優しく撫でて、ナナは口を開く。
「____ナナは、あんた達と劇をやりたいの。だから付き合って」
「…………はぁ~、ナナちゃんは強引ですなあ」
アドラオテルはやれやれ、とポーズを取ってからヨウの肩を抱いた。
「こうなったら、とことんやろうぜ!皆……ヨウちゃん」
「…………僕はウイッグ、被るからな」
「ええ。いいわよ。
チーム・『選ばれし者』、おゆうぎかい参加しまーーーーす!」
ナナは一際大きな声で、そう宣誓した。
* * *
「俺達は昔アルおばちゃんが読んでくれた『英雄物語』をやるよ。沢山戦うストーリーだ!」
「私達はセオお兄ちゃんが教えてくれた『シンデレラ』よ」
「俺達はアルおばさんが教えてくれた『ロミオとジュリエット』だ。悲恋ものだけど、セラちゃん出ない?もちろんジュリエットで」
「私達はセオお兄ちゃんが紙芝居で教えてくださった『白雪姫』なの。アドくん王子で出ない?」
「わ、わたくしは、その……」
「フッ、俺は20歳以下の女の子は流石に手を出せないさ……」
「2人はナナ達とおゆうぎかいなんでごめんなさ~い!」
ナナは2人を引っぱりながらその場から逃げる。そして、グループに戻ってきて口を開く。
「………だめね、王道ストーリーは年長組が一通りやるみたいよ」
「ううっ、やっぱり僕達じゃ出来ないよぅ………」
「ター、涙………」
「何か、いい物はない、かな………」
「これを辞めればいいんじゃないの?」




