03 大人の意見を聞いてみよう! #2
※過激な表現があります。ご注意ください。
「お父様の誕生日プレゼントを一緒に考えて欲しいのです!」
「セオの誕生日………もうそんな時期か」
「アミィール様の御子様達が…………こんなに立派に………」
「ガロ、泣くのはおよしなさい………ッ」
側近達が泣く中、次はアドラオテルが仁王立ちで言う。
「ちゃんとした誕生日プレゼントじゃないとダメなんだぞッ!」
「うん、うん、そうね。誕生日はしっかりしなきゃね。いいわ、私がいいことを教えてあげる」
「本当ですか!?おばあ様!」
同じく仁王立ちのアルティアは何度か頷きながらそういった。セラフィールは目を輝かせて顔を上げる。
アルティアは___にっこり笑っていう。
「アミィールを差し出しなさい」
「へ?」
「赤いリボンで大事なところは隠してね」
「……………」
「……………」
「………………」
その場が静まった。セラフィールは口をあんぐり開けている。
…………おばあ様は大好きだけど、そうじゃない気がする…………いえ、普通のプレゼントをわたくしが知らないというのもあるのでしょうけど、なんか違う。絶対違う。
「おばあ様、それは………」
「セラ!そうしようぜ!父ちゃんは母ちゃんが好きだから裸で渡せば喜ぶぞ!
でも、リボンは青がいいかなあ」
「ええ、青もいいわね。おばあちゃんにまっかせなさ………ぎゃぁぁぁぁ!」
言い終わる前にサクリファイス皇族名物・黒い雷がアルティアの頭上に落ちた。セラフィールは既に右目に黒い契約印を晒したラフェエルの近くに寄っている。
おしりを突き上げて倒れてるアルティアを放ってラフェエルが言う。
「アド、セラ、今のは忘れろ」
「えー?でも、いいと思うんだけど~」
「だめだ。……リーブ、ガロ、案を出せ」
「は。………お花などはどうでしょう?」
「安っぽい~」
「ではドレスなどは………」
「父ちゃんやっぱりそんな趣味?」
「……………」
セラフィールは閉口する。
…………ツッコミが追い付きません。まともな意見が出ると思ったのですが………いいえ、まだ諦めてはなりません。わたくしのおじい様ならきっと……
「お、おじい様は何がいいと思いますか………?」
「………………」
おじい様は黙ってしまいました。考えて下さってるのでしょうか………?
そう思ってると、黒焦げのおばあ様がひょっこり顔を出した。
「ラフェーはそんなことわからないわよ、私に唯一プレゼントしたのは精子だけ___っぐぅぅぅぅ!」
そう言った所でまた黒い雷が落ちました。おじい様は目を閉じながら静かに口を開く。
「…………そのようなことは自分の母親か付き人に聞け」
「せーしって、なんだ?」
「なんだろう、わたくしにはありますか?」
「…………寝るぞ」
「?」
「?」
……………結局おじい様はこの後プレゼントもせーしも教えて下さりませんでした。
* * *
誕生日まで2日
「なー、レイ」
「?なんでしょうか」
アドラオテルは父親が花の世話をしてるのを見計らって金髪茶瞳のセオドアの執事、レイに声をかけた。
本当は普通に聞きたいけど、セラフィールが『それをやったら隠してる美人の肖像画の在処をお父様に教える』と脅すからこっそり聞くんだ。
「父ちゃんのプレゼント、何がいい?」
「プレゼント?……ああ、セオドア様の誕生日ですか」
「流石父ちゃんのひつじ!わかってるぅ!」
「ひつじではなく執事です、アドラオテル様」
「普通に話してくれないと口も聞かないしピーマンも食べないぞ!」
「…………」