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14 変わらない物 #2

 



 兄上の言葉にガーネットも「まあ!」と言って手を叩く。


 「自立をしようと頑張るセラもアドも偉いですわ!ねえサーシャ」



 「え、ええ………?」



 「ちょ、………」




 母上とサーシャまで何を言っているんだ!?そ、そんなこと言ったら………

 セオドアは恐る恐る父親陣を見る。父親陣は___真剣な顔をしていた。




 「セオ、子供達が頑張ると言っているのだから親はそれに答えなくては」



 「セシルの言う通りだ。帰ったらすぐに子供達の部屋を用意しよう。


 アミィール、これは命令だ。励め」



 「…………」



 「…………」



 ギラギラと目を光らせてそういう2人に、セオドアとアミィールは顔を真っ赤にする。


 アルティアは満面の笑みで2人の肩をぽん、と叩いた。




 「頑張るのよ、セオくん、アミィール♪」



 「………」


 「………」



 ………これは逃げ場のない奴だ………

 セオドアは茹でダコよりも赤い顔で下を向いた。





 * * *



 「………」


 「………」




 セオドアとアミィールはベッドの上で向かい合って正座をしていた。子供達は兄夫婦と泊まると言っていた。



 つまり………これはそういうことである。



 って!頭が追いつかない!


 セオドアは心の中でツッコミをいれる。

 セラフィールが妹欲しい!と言い出すのは分かっていた。ずっとターシャと居るし!けど!その為に自立するまで言うか!?そ、それに、セラフィールとアドラオテルを孕むまで2年かかったんだぞ!?



 それだけじゃなく、龍神の血を増やさない為にアルティア皇妃様とラフェエル皇帝様はアミィールしか産まなかった、それを俺達の代で___「セオ様」………?



 重い沈黙の中、アミィールが俺を呼んだ。見ると……真っ赤な顔。泣きそうにも見える美しい女。もう10年共にいるのにそれでも心臓が五月蝿くなる。



 「その、………セオ様は御子が欲しいですか?」



 「え、っと………それは………」


 「わたくしは………………欲しい、です」



 「………!」



 アミィールは静かに、彼女に似合わないもごもごと言い淀む。



 「わたくしは穢れていて、身体もあまり強くなく……龍神の血を残したくありません。


 けれど………セラやアドを産んで、育てて………わたくしは、我儘になってしまいました。もっと、……セオ様の御子が欲しい、のです」



 「アミィ…………」



 アミィールから子供が欲しいと言われたのは初めてで戸惑った。セラフィールとアドラオテルの時は『任務』という殺戮を辞めさせたい気持ちが強くてだったから……けれど、こう言っている妻が可愛いし、愛おしい。



 愛おしい御方にこう言われて___拒否できる男がいたら、見てみたい。




 「アミィ」



 セオドアはそこまで考えて、アミィールを抱き寄せた。不安そうに眉を下げても、美しい黄金色の瞳が光を失うことはない。………大好きな瞳。



 この愛らしい御方の為ならなんでもしたいと思う気持ちも、変わらないな。



 「アミィ、………俺も、アミィとの子供、欲しい。


 だから___俺の子種を、受け止めてくれるかい?」



 「勿論です。セオ様………いいえ、セオ。


 わたくしの子袋に、新しい命をくださいまし___」




 セオドアとアミィールは唇を重ねた。

 …………こうしてこの日から、セオドアとアミィールは本格的に子作りを始めたのだった。




 * * *






 帰郷四日目。最後の日



 楽しい時間はいつだってすぐ過ぎ去る。そりゃあ勝手に寂しくなったり、セラフィールの爆弾発言もあったりとリラックスできることはなかったけれど、それでも楽しかった。



 となると、こうなるわけで。



 「俺帰らない~じーと一緒に居る~!」



 「わたくしもターシャ様と居たいです~!」



 「じじ様、離せ!アド、セラちゃん!帰るのやだ~!!!」



 「ふぇぇぇん!」




 「………」



 「………」


 「………」



 「………」




 「孫達~、じーもじじ様も離れたくないんだ~!」





 号泣しているセシル以外、親一同は苦笑いしていた。………このとおり、子供達は絶賛駄々こね中です。

















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