02 大人の意見を聞いてみよう! #1
「セラ、アド、ここに居たのか」
「お、お父様…………」
セラフィールはビクビクと体を震わせた。見つかっちゃった……作戦会議中に………どう誤魔化せば………「父ちゃんは何か欲しいものある?」………!
悩んでいるとアドラオテルがそう聞いた………って!本人に聞いてどうするの!?
パニック状態のセラフィールを放ってセオドアは首を傾げた。
「?突然どうしたんだい、アド」
「プレゼント!何が欲しいか言ってみて!」
「ちょっとアド!」
「お?」
セラフィールはアドラオテルの腕を掴んで目を見た。………この双子、実は言葉を使わずとも意思疎通が可能なのだ。
『なんでお父様に直接聞くの!?プレゼントはサプライズでしょ!』
『さぷらいずってなんだ?』
『秘密でプレゼントをあげること!』
『えー、面倒くさい。いいじゃん、本人に聞けば』
…………本当に勝手な弟…………!
わたくし達の人生初の誕生日プレゼントなんだからびっくりさせたかったのに………!
恨めしげにアドラオテルを睨むセラフィールの様子を見てセオドアは更に首を傾げる。
「どうした?セラ」
「セラはいーからッ!プレゼント何欲しいの父ちゃん!」
アドラオテルは食い気味に聞く。何もわからないセオドアは疑問を持ちつつ『そうだな』なんて言いながら続けた。
「特にないかな…………?」
「え」
「………うん、ないなぁ………?」
「……………」
『ない』と言っているお父様が1番首を傾げています。………お父様は常日頃からおじい様に『無欲すぎる』と言われていますが、どうやら本当のようです。
しかし、納得していないアドラオテルが口を開いた。
「うっそだぁ。父ちゃん我慢は良くないぞ!早く言って!」
「?我慢はしてないんだけど………それより、急にどうしたんだい?」
「それはた__「アド!」もがっ!」
セラフィールはすかさずアドラオテルの口を小さな手で塞ぐ。
「お、お父様!それよりなんの御用ですか!?」
「?えっと、お風呂の時間………」
「入ります!お父様!入りましょう!」
「???う、うん」
セラフィールはアドラオテルの口を塞ぎながらスタスタと寝室を出てお風呂場に向かった。セオドアはずっと首を傾げてた。
* * *
誕生日まであと4日
「おじい様!おばあ様!」
「おじいちゃん~おばあちゃ~ん」
次の日、2人は皇帝夫婦の側近・茶髪茶瞳のリーブと銀のベリーベリーショートヘア、赤と金色の瞳のガロに連れられて皇帝夫婦の部屋に来た。今日は運がいいことにおじいちゃんとおばあちゃんの部屋に泊まる日なのだ。
「来たか」
「永遠の30歳のおばあちゃんですよ~!」
紅銀の髪、紅い瞳のおじいちゃんというより美丈夫なイケメン、ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスと黒髪、黄金色の瞳のおばあちゃんと言うより美女、アルティア=ワールド=サクリファイスだ。
2人は大好きな祖父母に抱き着いてから、口を開いた。
「おじい様、おばあ様、ガロ、リーブ!わたくし達の悩みを聞いてください!」
「きんきゅーかいぎだぞ!」
「?」
「なになに?」
「私も、ですか?」
「どうなさいました?」
大人達が自分達を見てからセラフィールは大きな声で言う。