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05 寂しさと不変な兄

 



 「………つまり、その称号に伴い、女王陛下が自ら指揮してこの家の改築を行ってくれたのです」



 「そうなのか………」



 セオドアはほんの少し眉を下げる。……自分の家が大好きだったから、いくら誉高くても寂しいな。でも、仕方ないことか。



 人が成長し変わっていくように、環境も変わっていく。それは俺も一緒で、16歳だった俺だって少しずつ変わったのだからそれに異を唱えるのは野暮だな。



 「………セオ様、嬉しくは……ありませんか?」



 そんなことを思っているとアミィールが話しかけてきた。眉が下がっている。……いけない、せっかく実家に来たのだから笑顔でいなくては。



 「ううん、そんなことないよ。実感が湧いてないだけ。……心配してくれて、ありがとう」


 「…………はい」




 アミィールは優しく撫でられても悲しそうな顔をした。

 わたくしが行ったことでセオ様を傷つけてしまったのか、怖いです。わたくしはどうしてこう、余計なことしか出来ないのでしょうか………



 すっかり悲しい気持ちになってしまったアミィールに気づいたレオナルドは再び口を開いた。




 「でも、改築した理由はそれだけじゃないのです」



 「え?他にも理由があるのですか?」



 「ええ。むしろ"アース"という称号よりも重大な事がありまして」



 「重大なこと………?」



 「はい。それは___「セオ~!」



 レオナルドの話を遮るように、名前を呼ばれた。前を見ると___群青色の髪を一つ結びし、タレ目気味の緑色の瞳、右目の下に涙ホクロのある兄__セフィア・ライド・アース・オーファンが満面の笑みで手を振って近づいてきた。



 「兄う____え?」




 声をかける前にピタ、と動きが止まる。兄の腕の中には___ちょん、と生えた銀髪の髪、緑瞳の赤ん坊が居たから。その子供を抱きながらセオドアの肩を抱いた。






 「セオ、アミィール様、久しぶり。よく来たなあ」



 「お久しぶりです、お兄様………?」



 アミィールも同じ疑問を持ったのか赤ん坊を見ている。知らない子供なんだけど、眉の下がった目元には見覚えがあった。


 も、もしかして…………



 セオドアは震えた声で聞いた。




 「あ、兄上…………そ、その子供は………」



 「ん?おお、私の娘だ!ターシャと言う!」



 「…………」




 「…………」




 2人は言葉を無くした。

 兄上の娘…………娘?なにを言っているんだこの人?そんなの聞いてないんだが??




 「あ、兄上………手紙、いつも私にくれてましたよね?」



 「ああ。私達は仲良しだから毎月しているだろう?」



 そう、毎月手紙を送ってるし貰ってる。なのに、なのに…………




 「なのになんで教えてくれないんですかッ!」



 「ひうっ!」



 セオドアの大きな声にターシャはびく、と肩を揺らしたのだった。





 * * *




 「アド!じじ様怪人を倒そうぜ!」


 「おう!俺のスーパー剣が唸るぜ!」


 「赤ちゃん…………」


 「ひっく………」



 「ああ…………私は幸せだ………孫に囲まれて………幸せだ…………」



 「…………」




 やっと広い家の中に入って、応接の間に来た。父上は上座でアドラオテルと群青色の髪、緑色の瞳のタレ目の美少年__兄上の子供でアドラオテルと同い年のセフィロトに攻撃され、その隣でターシャを見つめているセラフィールの頭を撫でながらターシャを抱いて幸せそうに笑っている。



 それを横目にセオドアは不機嫌を極めていた。理由は___勿論、この適当な兄だ。


 セオドアの目の前に座るセフィアを睨みつけた。セフィアは楽しげに笑っている。



 「そんなに怒るなよ、セオ」



 「………なんで教えてくれなかったんですか」



 「そっちの方が面白いからだろ?」



 「…………」




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