メッセ送るよん
メッセージを送る前にまず、テーマの確認だ。
「今日のテーマは、仕事トークです。仕事に関するメッセージを送ってください。」
なんだと……仕事だと……
詰んだ。
俺は無職だ。
仕事について俺は、話すことなんてなかったが、とりあえずスマホに文字を打った。
『DJさんこんばんは。初メッセージです。テーマの仕事トークですが、私は無職です。もう5年も働いていません。』
うむ。
こんなメッセージ送れるはずがない。
恥ずかしいのもあるが、正直なことを送るのは怖かった。
俺は他に何か書けることはないか考えた。5年以上前のエピソードなら書けなくもないが、書きたくなかった。
過去と現在がダメなら未来か…
俺は良いことを思いついたので、またとりあえず文字を打ってみた。
『DJさんこんばんは。初メッセージです。テーマの仕事トークですが、私は親がラーメン屋を経営しており、そこで修行をしています。将来は店を継ぎたいと思って頑張っているところです。』
完璧だ。
これは嘘と言えば嘘になるが、実際に親はラーメン屋を経営しており、俺はお金が欲しいと思った時に、店内を掃除してお駄賃を貰っていた。これはまあ修行と言えば修行だ。それと、将来の所は心の片隅になくもない。
俺はボタンの位置を確認し、目を瞑りながら送信した。
送信した後はずっとソワソワしていた。初めてのことでもあるし、普通の人には分からないモヤモヤもそこにはあった。
そして送った後に気づいたが、初メッセージと書いた部分は、番組に送る最初のメッセージでもあったが、人生で初めてラジオ番組に送ったメッセージでもあった。
無職の俺の人生初のメッセージが、まさかの仕事に関するメッセージとはね。印象深いというか、一生忘れないだろうなぁ。