扉の向こう
この扉の向こうには一体なにがあるんだ…
まさか違う世界に繋がるとか…
めちゃめちゃ気になった俺は、おもむろに扉を開けた。
ただの押し入れだった。
これは…なんだろう…
そこにあったのは、3つの金属で出来た箱のような物が入っているケースみたいな物と、ケースの上にはレコードプレーヤー、そしてスピーカーがあった。
レコードプレーヤーとスピーカーは見たことあったから分かったが、ケースの中に入ってる物はまだ分からない。
よく見ると3つの箱の中の1つはカセットテープを入れるところがある。
俺はとりあえず全部の機材を取り出してみた。重かった。
いつもだらしない生活を送っていた俺は筋力も体力も落ちていた。
それを眺めながら、どう使うものなのか考えていると、急に部屋のドアが開いた。
「夜ご飯できたよー」
そう、お袋だ。
いつもお袋は、ご飯を部屋に持ってくる。ありがたい。
「あらっ、どうしたのそれ?」
「押し入れから出てきたんだよ」
「押し入れ?そんなとこに押し入れがあるなんて知らなかったわよ、てかそれコンポじゃない?」
「これってコンポって言うのか」
「そうよ。懐かしいわぁ」
どうやらこれはコンポと言うらしい。
お袋に色々説明してもらった後に、とりあえず夜ご飯を食べた。
お袋の説明によると、ケースの中に入ってたのはラジオのチューナーとカセットデッキ、アンプと言うらしい。
それに加えてレコードプレーヤー、スピーカーなどをまとめた総称をコンポと言うらしい。
今すぐにでも使いたくなった俺は、ケーブルを繋いでスイッチを入れた。パチッと音が鳴った。
使うと言っても、レコードもカセットも持ってないので、ラジオくらいしか聴けない。ラジオなんて古臭いものだと思って今まで敬遠していたが、聴いてみると楽しくなった。
スピーカーのせいなのか、音が生きているような気がした。
俺は夜通しラジオを聴き続けた。