表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

事故物件クリーナー6

事故物件クリーナーは楽な仕事だ。

契約で決められた期間、部屋に居座ってるだけで報酬がもらえる。


契約満了の期限が迫り始めたある日、俺はユウさんの分の缶ビールをローテーブルに手向け、紙皿にツマミをあけて酒盛りしていた。

「越したくねえな……」

色んな部屋を転々としていたが、こんなに頻繁に霊現象がおこるのも、おこした相手に情が移っちまうのも初めてだ。

今じゃすっかり二人で動画を観るのが習慣になった。

ユウさんが大好きな動物の赤ちゃん動画、中でもパンダの画像は俺のブクマを侵略している。


俺の仕事は事故物件クリーナー、一か所に長居する訳にはいかない。

まだまだ俺を必要とする曰く付きの部屋が待っているのだ。

この部屋を出るのは即ちユウさんとの別れを意味する。


膝を抱えて落ち込んでいれば、ふいに腕が引き攣る感覚がし、俺の手は何故か自分を抱き締めていた。

「え…………」

俺の手が俺の手じゃないみたいな違和感。

まるで誰かに操られてるみたいな……

「ユウさん?」

困惑げに呼ぶ。

腕を掴む手とそこから伝わるぬくもりを別人のもののように感じる。

ユウさんに抱き締められるのは嫌じゃない。

照れと安らぎが綯い交ぜになったぬくもりに包まれ、思考を手放した俺はあっさり眠りに落ちた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ