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殲滅のデモンズイーター   作者: 彩峰舞人
第一章 悪魔を喰らうもの
53/85

episode53 違和感②

(まだ大丈夫そうだな)


 夕方までには到着できると判断したリアムは満足そうなアリアと太郎丸を伴って次なる村に足を伸ばすも、アリアが先の村と同様な反応を示した以外は、やはりこれといった手掛かりを得るには至らなかった。


「……なあリアム。本当にこの件には悪魔が関わっておるのか? 聖女の勘違いではないのか?」

「うーん……でもアリアはなにかを感じているのは間違いないし……」


 仁王立ちでうんうんと頷くアリアを太郎丸は胡散臭そうな目で見つめ、


「しかし悪魔が少しでも関わっておるなら、そもそも吾輩の鼻に引っかからないわけがない」


 アリアはすかさず胸の前に両手を組み、


「主はおっしゃいました。太郎丸の鼻は存外当てにはならないと」

「わけのわからんアリアの勘と一緒にするでないわっ!」


 睨み合うアリアと太郎丸にリアムは肩を落とした。


(もう日が落ちるな……)


 朱色に染まっていた山の稜線が、目を離した次の瞬間にはシミのような影を広げていく。

 調査開始から早くも二回目の夜を迎えようとしていた。


(結局今日もこれといった収穫はなし。アリアの違和感の正体も依然として不明。八方塞がりだな……)


 そもそもが雲を掴むような依頼である。簡単にいくとは考えていなかったが、三つの村を探索してひとつの手がかりも得られないとも思っていなかった。


(さてどうするか……)


 西に見える山を越えれば次なる村だが、無尽蔵な体力を有するアリアは別として、リアムの体力は並みのそれ。さすがに今から山を越える元気などあるはずもなかった。

 仮に体力が万全だったとしても、視界が限られる中で山を歩き回るのはリスク以外の何物でもない。


(どのみち村に留まるしか選択肢はなさそうだ)


 リアムは鞄から魔晶石を取り出しながらアリアと太郎丸に告げた。

 

「今日はここに泊まるよ」

「わかっ、た」

「じゃあアリアは太郎丸と一緒によさげな家を見繕ってきて。僕は感知結界を張る準備をするから」


 リアムの言葉に、しかし、アリアは動こうとはしなかった。


「前の村でも思ったけど悪魔が近づけばアリアはわか……る」

「無論吾輩もわかるぞ」

「太郎丸よりも私のほうがわか……る」

「吾輩のほうがわかるに決まっておるだろう!」


 再び言い争いを始めそうな様子を見て、リアムが呆れながら口を挟んだ。


「つまりアリアは貴重な魔晶石を使う必要はないと言いたいの?」

「そうとも、いう」

「アリアと太郎丸の力をもちろん僕は信頼しているけれど、寝ているときにもそれなりに神経を張っていないといけないだろう?」


 魔晶石は確かに貴重なもの。だが、翌日に疲れを残さないためにも睡眠はしっかりとってもらわないといけない。その点に関してはアリアや太郎丸が問題ないと言ったところで、譲るつもりなどさらさらなかった。

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