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殲滅のデモンズイーター   作者: 彩峰舞人
第一章 悪魔を喰らうもの
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episode25 聖光宮①

 人と金。これら両方を惜しむことなく投入して建立された聖光宮は、主に三つの塔から成り立っている。

 執政を司る左塔には多くの官吏が日々の政務に勤しんでおり、右塔は悪魔狩りを使命とする神聖騎士団を筆頭に、町の治安維持や害獣退治を担う衛士などが詰めている。

 そして、ひときわ大きな主塔の最上階には三大聖女のサリアーナ・レダ・セイレーンが居を構えており、正しく星都ペンタリアの中心であった。

 

 星都到着から一夜明け……。


「なぜ吾輩を置いていくのだっ!」


 リアムといえば、朝っぱらから屋敷の前で太郎丸に抱き着かれ辟易していた。


「だから聖光宮に動物は入れないって何度も言ったよね?」

「太郎丸、しつこ……い」

「そこをなんとかするのがネゴシエーターの腕の見せどころではないのかっ!」

「意味がわからないよ……」

「いいから一緒に連れて行くのだっ!」


 太郎丸に絡まれ続けるリアムに助けの手を伸ばしたのは、アリア付きのメイド筆頭であるステファニーだった。


「太郎丸様、後ほど星都でも有名な菓子店で饅頭を買ってきます。聖光宮に行くよりも屋敷で美味しい美味しい饅頭をゆっくり食べたほうがよろしくはありませんか?」


 赤縁眼鏡をクイッと上げたステファニーが太郎丸の耳元で囁くように言うと、太郎丸の動きがピタリと止まった。


「ステファニー殿、それは真の話か? 吾輩をたばかっているのであれば容赦はせぬぞ?」

「太郎丸様をたばかるなど及びもつきません」

「……もちろん茶もつくのであろうな」

「高級茶葉を各種取り揃えております」

「──クククッ。お主も悪よのう」

「いえいえ。太郎丸様ほどでは」

 

 リアムの両肩から前足を下ろした太郎丸は、ステファニーと邪悪な笑みを浮かべている。


(驚いた。太郎丸の好物を知ってることもそうだけど、いつの間にか仲良くなっている。……さすがメイド筆頭だけのことはある。プロ中のプロだな。そう言えば初対面のときもステファニーさんだけはあまり僕らに動じていなかったように見えた)


 ステファニーの横顔をまじまじ見つめていると、太郎丸が満面の笑みを向けてきた。

 

「吾輩がついていないと何かと不安だが、ルールである以上は仕方がない。気を付けていってくるのだぞ」


 弾んだ声の太郎丸にリアムは釈然としない思いを抱きながら、


「……じゃあ行ってくる」

「では馬車にお乗りください」


 リアムは用意された豪華な馬車を一瞥し、 

 

「聖光宮へは歩いていきます」


 ベルトラインの返答を待つことなくリアムはアリアを伴って歩き始める。

 それから徒歩で行くこと約一時間。リアムたちは聖光宮の門前に到着した。

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