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National Battle Online  作者: あいく
4/30

3

 訓練所に着き入り口をくぐると周りが真っ白な空間に移動し、目の前にパネルが一枚現れる。そこには訓練の種類が記載しており、その中から的当てを選ぶ。

 すると景色が変わり、全体的に暗い空間に人の形をした的と一緒に、その場から移動しないためのホログラムの机が現れる。

 左ももにあるガンホルダーからGLOCK17を抜き、安全装置を外しスライドを引き初弾を装填して両手で構えトリガーに指をかけ、銃口を的に向けると目の前に射撃線を示す赤い線が的に向けて出現する。ふむ、こんな感じで射撃線を示してくれるのか。

 意識を的の頭に集中させると線がより細くなり、トリガーにかけた指を引くと一発の弾丸が銃口から放たれ、見事に頭の中心を撃ち抜く。

 なるほど、こんな感じで発砲時のブレをなくしていくのね。そのまま残りの弾丸を的に向けて撃ち続け感覚をつかんでいく。


「とりあえず、こんなもんかな」


 5マガジンほど撃って満足し、安全装置をかけた銃はホルダーに仕舞い、自身の横にあるパネルから終了を選択し訓練所の外に出る。


 マップを開き道具屋をマークしてナビに従いながら移動し目的に着く。


「えっと、とりあえず回復アイテムと弾を所持金尽きるまで買えばいいかな」


 小声でそうつぶやくと発言通りゲーム開始時点の所持金が尽きるほど買い込む。どうやらこの少女はとてもゲーム開始してすぐの行動とは思えない、ぶっ飛んだ思考をしているようだ。


 買い物を終えるとまたマップを開き、いくつか存在するワープゲートから近くのものを指定し移動する。しばらく歩いていると、たくさんのプレイヤーたちがゲートがある広場に集まっているのが目に入る。

 メニューを開き悩んでいる者や会話を楽しんでいる者、パーティメンバーを募集している者などさまざまな人がいる。

 このゲームのパーティ上限数は3人となっており、ボスなどに挑む際はレイドを組むことができ、その上限数は3人×10パーティの30人までとなっている。また、ボスのHPは挑戦する人数によって変化し、人数が多いほどHPは多くなる。

 そんな光景を横目にゲートの前まで行くと移動先を選ぶ画面が現れ、画面には『始まりの草原』のみ選べるようになっているため、それを選択しゲートをくぐりワープする。


 ワープ描写が止むと先ほどまでいた近未来都市とはいって変わった、辺り一面の草原を眩い日差しが照らす昼寝でもしたくなるような景色が広がり、そこら中にさまざまなプレイヤーがモンスターとの戦闘を繰り広げている。私も戦闘をするためモンスターを探し草原を歩きだす。

 にしても、気温や匂いを感じるなんてこのゲームは本当にすごいや。VRMMO含むゲームは年々進化してきており、今では気温や匂いはもちろん、痛覚や味覚などまで再現出来ている。


 しばらく歩いていると体長100センチメートルほどの白い毛並みの狼が目の前にいるのを見つけると、敵もこちらを認識したのかこちらに向かって突っ込んできた。

 首を嚙み千切ろうとこちらに鋭い歯が並ぶ口を開け飛び上がりながら突進してくるが、飛びかかってきたことで空いた下の空間をダイブして回避する。

 その勢いのまま前転し、ホルダーから銃を抜き素早い動作でセーフティ解除から反転し銃口を向けると一瞬で予測線を敵の頭に合わせ、引き金を引くとGLOCK17の銃口から放たれた9mmパラベラム弾はこちらに向かってくる狼の頭に18発すべて命中し、弱点部位命中時のクリティカルボーナスによる威力増加でその耐久をワンマガジンで削りきる。


「グルルゥ……」


 HPのなくなった狼は唸り声をあげ、地面に倒れ伏せポリゴンとなって消える。


「ふぅ」


 短く息を吐きホルダーに銃を仕舞っていると周りのプレイヤーたちから視線を感じ、そちらを見ると何かざわついている。


「何か用?」


 プレイヤーたちに向けそう聞くと、集団の中から身長180センチメートルほどの赤い髪をした男性が質問をしてきた。


「あんた今白い狼を一人で倒したよな。マナー違反だけど、良かったらレベルを教えてくれないか」


「初めてダイブして最初の戦闘だったからレベルは1だったけど、今の戦闘で経験値が入ってレベルが5になってるね」


 質問してきたプレイヤーにそう答えるとさらにざわつく。


「れ、レベル1であの白い狼を倒したのか!? プレイヤーの戦闘センスであそこまで圧倒出来ちゃうのか……。質問に答えてくれてありがとう」


「どういたしまして」


 会話が終わると集団はその場を離れていく。

 なんか驚いていたけど特殊な敵だったのかな。確かにそこらへんに湧いてる狼の色とは違うけど。後で調べてみるとして、見つけたら優先して倒そうかな。

 敵を見つけては余裕そうに倒す姿はサービス初日としてはなかなかに注目を浴びる光景であった。

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