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部屋に戻るとポッドからデータインストールを終えたランプがついているため、近づき設定を終えてポッドのドアを開き中に入る。ポッドの中は両腕を広げられるほどのスペースがあり、中央にベッドが置いてあり、そこで寝て起動する形になっている。
私はベッドに仰向けで寝て起動セリフを言う。
「ダイブスタート」
その言葉と同時にワープ描写が流れ意識が電脳世界へと飛んだ。
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「VRゲーム『National Battle Online』へようこそ。このゲームは各陣営に所属し、定期的に開催する陣営間バトルを売りにしております。まずあなたにはプレイヤー設定を行っていただきます。なお、性別の変更や外見の大きな変更は行うことはできないのでご了承ください」
機械音声のセリフが終わると目の前にパネルが現れる。
「まずはプレイヤーネームの設定をお願いいたします。公序良俗に反したり他プレイヤー使用中のネームは使用できません」
パネルに現れた入力欄に自分がいろんなゲームで使用し使い慣れた名前を入力する。
「プレイヤーネーム、『ソフィア』。ネームチェック、問題ありません。続いて所属陣営の選択をお願いします。所属陣営によって選べる種族や獲得できるスキルが異なります。また、今後のアップデートにより使用できる種族や武器、スキル等増えることがありますが、そのたびにスキルリセット券や種族変更チケットを安く購入できるキャンペーンも開催するのでお願いします」
パネルに陣営の名前と説明が現れたので確認するとこう書かれている。
レグナント:科学の発展した国家。現実にある武器や近未来的武器の使用が可能。種族としては、ヒューマンもしくはロボットからの選択となります。選べる種族が少ない代わりに武器種が豊富となっております。
ユグドラシル:魔法の発展した国家。魔法はもちろん召喚獣の使役などもできる。種族としてはヒューマン、エルフ、ビースト、デーモンからの選択となります。ヒューマン以外はメリットもありますがデメリットもそれなりにある種族となります。
説明を流し見し、すでに決めていた陣営、種族を選択する。
「所属陣営レグナント。種族ヒューマンで登録させていただきます。続いてアバター設定に移ります。尚、先ほど説明した通り性別の変更及び外見の大きな変更はできないのでご了承ください。それではVRポッドでスキャンしたデータを参照しアバターを生成します」
しばらくすると目の前に自分の外見をしたアバターが現れパネルにパラメーター設定が表示される。
・・・30分後
「よし。これで完成かな」
そこにはひざ下まで伸びた白髪のツインテールにつり目がちの赤と青のオッドアイ、黒いシャツと短パンを身に包んだ少し生意気そうな感じのする少女のアバターが出来上がっていた。
「アバター作成お疲れ様です。完成したアバターを反映しますね」
その言葉が終わると同時に目の前が一瞬真っ白になり自分の姿が先ほど制作したアバターの姿に切り替わる。
軽く動くと左右の髪がひらりと舞う。うん。我ながらいい出来だ。
「問題ないようなので次で最後の設定となります。スキルや動作のアシストの設定をしていただきます。アシスト無しにするとシステム外の動きができますが、基本的にはアシスト有りをおすすめしています。いかがなさいますか」
「アシストは無しでお願い」
「かしこまりました。なお、各種設定は後程変更可能なのでご安心ください。では、これにて終了となります。運営より制限はありますが武器を一つ選べるチケットをインベントリに配布しましたので後程お使いください。あなたの冒険が楽しくなることをお祈りしています。では、いってらっしゃいませ」
ワープ描写が流れしばらく待っていると描写が止み、目の前にさまざまな高層タワーが立ち並び、その周りには広告のホログラムが浮いているSF世界のような景色が広がる。
「ついに来た、NBOの世界に」
さて、まずは特典で武器を交換しよう。周りには同じ考えなのかウィンドウを見て悩んでいる人がかなりいる。
近くの建物の壁に寄りかかり、右手の人差し指を空中で2回タップする動作をしてメニューを開き、アイテム欄から特典のチケットを選択する。画面に武器のカテゴリが表示され、その中からハンドガンのカテゴリを選び目当ての銃を探す。
目当ての銃を見つけ装備画面で装備すると、左ももに黒のGLOCK17(9x19mmパラベラム弾。装弾数が複列弾倉による17+1発の自動拳銃)がガンホルダーと共に現れる。
とりあえず射撃訓練所にいって感覚をつかもう。
マップを開き訓練所にマークをつけると、うきうきとしながら髪を揺らし移動する。