ゾンビが現れた!
ある日、ゾンビが現れた。
俺は引きこもり中で、朝までゲームをしていたので知らなかったが、俺が寝ている間に世間では大変なことになっていた。
中継に出た若手アナウンサーが襲われる風景が生中継されていた。
中継車に襲い掛かるゾンビの群れ、人々は歩く死体に恐怖した。
政府はすぐに緊急事態宣言を出した。
「国民の皆さん、外出は控えてください。
歩く死体を見ても、近づかないでください。
鉄の扉など、丈夫な建物の中に居てください。
大きな声を出さないでください」
スーパーの食料品売り場は、パニックになった人々に買い漁られて、商品が消えた。
俺は、ユーチューブなどに上げられている動画にくぎ付けになった。
「どうして、わざわざ撮りに行くんだよ。だから、襲われるんだよ」
俺は、親に食事を運んでくるように言った。
親はすぐにラーメンを作って持ってきた。
「やすお、いつ電気や水道が止まるかもわからないの。食べるのをちょっと控えてくれない?」
「馬鹿か! じゃあお前が買いに行けばいいだろう!」
俺は、無茶を承知で親を怒鳴りつける。
知事が災害支援要請を自衛隊に出したとネットニュースでやっていた。
翌日には、自衛隊の広報映像がネットで拡散されていた。
「頭を狙え! 体に当たっても死なんぞ!」
パンッ!
ドタ
次々に歩く死体は自衛隊隊員に撃ち殺されていった。
すでに、すべての隊員がゾンビの弱点を知っていたのだ。
「隊長! おれ、これのゲームでハイスコア―叩き出したことあるんですよ。
まさか、リアルで出来るとは思いませんでした。うひょー! 二時の方向! また現れましたよ」
俺はPCの電源を切って、布団にもぐりこんだ。
東京の街にゾンビが現れた。
発電所や変電所は大丈夫なのか?
浄水場は守られているのか?
コンビニやスーパーはいつまで食料が提供されるのか?
映画「ゾンビ」で一躍有名になった妖魔ですが、それゆえにみんながその弱点を知っている動く死体。
銃を持っている自衛隊の敵ではなかった。まあ、素手だしねぇ。