ビデオレター
怪談 ビデオレター
この頃、クラスメイトの和美の元気がない。
目の下にクマまで作って、あまり夜によく眠れていないようだ。
「和美ぃ、どうしたの? どこか体調でも悪いの?」
「うん、ちょっと眠られない日が続いていて」
何でもないように装っているけど、よっぽどの事が有るようだった。
四日後、和美が、やっと口を開いてくれた。
ネットのサークルグループの一人が、呪われたビデオと言う物を持っており、いったん見ると、そのまま呪われてしまい、十日後に死ぬというのだ。
防ぐ方法は、十日以内に、そのビデオを違う誰かに見せる事。
誰にも見せないと、毎日夢に見て十日後には死んでしまうらしい。
噂だが、最初の何人かは原因不明の症状で、死んでしまったらしい。
その遺族が、形見分けで、そのビデオを流出させてしまったのが、今流れているこのビデオらしい。
そこで和美が、
「じゃあ、私に送ればいいよ。そんなの信じないから全然怖くないよ」
と言って、自分にビデオを送らせたのだそうだ。
そこで、和美は届いたビデオを見てしまった。
森の中にある井戸から、髪の長い女性が這出て来て、自分に近づいて来る夢を見ているのだという。
「やだ、それって映画の『ただ子』じゃないの?」
「きっと、映画をコピーした偽物よ。気にするからそんな夢を見るんだよ」
私は、やつれている和美に、そんな事を言ってしまっていた。
「本当よ、毎日、毎日、あの女が夢の中で私の方に這ってくるの」
和美は、怖くなって、それから寝れていないのだという。
寝ると、あの音が夢に出てくるからだ。
和美は、土管のようなコンクリートの井戸から、髪の長い女が這出て来る夢を思い出して震えた。胸の前に組んだ腕に鳥肌が立っている。
「じゃあさ、そのビデオを私に送ってきたらいいよ。わたしはそんなこと気にしないから」
「そんな事したら、吉江が……。」
「大丈夫よ」
私は気軽に、信じていない事も有ったけど、気軽に送ってくるように促した。
「ありがとう」
そういうことが二日前だった。
そして、昨日、今日と和美は学校を休んでいたのだが、帰宅すると彼女から郵便が届いていた。あんな話をした後に、学校に来なくなったので心配していたのだ。
(ああ、結局ビデオを送ってきたのだなぁ)
と思って、開封した。
なんと中には、黄ばんだ題名を書いたシールが貼ってあるビデをテープが入っていた。
「和美の家、まだビデオデッキが有るんだ……。」
私は、BD&DVDプレイヤーとビデオテープを交互に見比べた。




