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第84部

第29章 神の社 自分達の心の中


気がつくと、顔を下にして、倒れていた。手にしていたはずの板は、なくなっていた。

「ここは…どこだ?」

なんか懐かしい感覚がするこの空間。

"我々以外でここに来たものは、初めてだな"

巨大な意識の集合体の存在を感じる。

「あなたは…カオス神ですね…」

"そうだ。周りを見てみろ、スタディン。既に他の者達も集合している"

顔をあげて、周りをはじめて見た。どうやらこの空間は、無限の距離があり、いかなる物も超越した意識によって管理されているらしい。少しはなれたところに、イブが倒れていた。

「イブ、大丈夫か?」

スタディンは、彼女の元へ行こうとしたが、体が動けなかった。どうにか、顔だけは動くようだった。

「スタディン…?」

イブも同様のようだった。顔だけをこちらに向けている。

「よかった。無事なんだな」

「うん。でも、体が動かないの…」

「ああ、大丈夫だ。安心しろ」

すぐにでも行きたかったが、目に見えないような壁が体を覆っているようだった。しかし、その圧力もすぐに消えた。

"大丈夫だ。もう動いてもかまわない"

すぐに、スタディンは、イブのもとへ走って行った。

「大丈夫か?」

イブは体を恐る恐るあげていた。

「うん。大丈夫」

「そうか」

スタディンは、さらに周りを見渡した。

「他の人達は?」

"それぞれの神の社で眠っている。君達二人は、私が選んだ。君達は客人だ。ゆっくりしてくれ。さっきのは、君達が、このままここにいても大丈夫かどうかを計っていたんだ。許して欲しい。さあ、宴の始まりだ!"

突然、豪華な大広間に、見た事もないような量の料理が出てきた。

"好きなだけ食べたらいい。お代なんか取らないから"

急にスタディンとイブは、お腹が空いているのに気づいた。そして、料理に近づき、猛然と食べはじめた。

"これが終わったら、神々の家に案内しよう。そこで君達は、他の者達と会う事になっている。それまでは、料理を楽しんでくれ"


それから何時間かが経ったとき、ようやく、満足した。

「なんか、一気に食べちゃったね」

「まあ、いいんじゃないかな?何もいらないって言っているんだから」

"もう食べたのか。じゃあ、早速行こう。ここからすぐの場所にあるから"

本当に歩いて数秒のところだった。大広間から出て目の前に、相当年季が入った家が一つ建っていた。ふとその家の前を見ると、意外な人物が立っていた。

「あれ?なんで、コンティンスタンスさんがここにいるんです?」

スタディンがその人物に聞いた。

「おお、スタディンか、久しぶりじゃな。実はな、わしと、ガイエン神は、いろいろとつながりがあってな…わしの本名は、ガイエン・コンティンスタンス・716世じゃ。これを知っておるのは、ここの神々と、お前達だけじゃ。この事は秘密にしといてくれ」

「はあ、分かりました」

ため息のような吐息を吐き、うなずいた。

"他の者達も来たようだ。向こうがを見たら良く分かる"

なるほど、確かに他の人達もここに来ていた。そして、全員揃った。

「なんで、ここにコンティンスタンスさんがいるの?」

「それは、聞かないでくれ」

扉が勝手に開き、中へと入っていった。


中は、比較的暖かめだった。椅子の代わりに座布団が円形状に敷いてあり、すでに、7つ席が埋まっていた。それぞれ先に来ていた人達は、それぞれ違った服を着ていた。

"久しぶりだな。カオス神の宝玉"

"お久しぶりです。カオス神自身"

「え?どういう事?」

「簡単にまとめると、どうやら、宝玉に込めた力の持ち主達らしいな」

「つまりは?」

"神本体と言う事だ。おぬしは、イフニ神の子孫だな?すでに、死に絶えたと言う情報を得ていたが、どうやら、虚偽だったらしいな。さて、みんな、立っているのもなんだ。座りたまえ"

みんなが、座った時点で、神々は順々に話し始めた。

"さてさて、きわめて悪化している。これ以上は恐らく無いであろうな"

'そうだ。そもそもの始まりは、1万年前、我々が、宝玉に力を込め、我々の力を制御しようとしたのが始まり'

`しかしながら、それは、無用の災害を引き起こした`


/そして、我々のうち、誰かがこの生命系を守る必要に迫られた。そして、私が守り人となり、今日まで保護して来た…/

[しかし、奢り高ぶる今日の生命系には、いかなる物をも加えても文句は言えまい]

{これまでしてきた事の償いとなる…しかし、それで果たしていいのだろうか}

「あの〜、何で私達をここに呼んだんでしょうか?」

/私から言おう。そもそもの始まりは、私達が、宝玉に力をいれた、そのときから始まる…/

{私は反対した}

[しかし、最終的には、賛同したではないか]

/そして、数々の生命系が生まれていたこの7つの宇宙空間を、混乱の極致へと変えてしまった。しかし、その中で、唯一滅びなかったのが、そなたらの種族の祖先たちだった。私は、神々の集会の場において、それぞれの宇宙空間にそれぞれの宝玉を安置する事を提案した。そして、それは実行された。しかし、宝玉が出来てから、1万年後、すなわち今年、に、再び我々の中に戻すと言う事になった。そして、そなた達が、選ばれたのだ/

「つまり、私達は、どうなるのですか?」


「新たなる神とは、何故、必要なのですか?」

"前に、それぞれの神には役割がある事を話したな。カオイン神は、怒りの力により、争いを起こさせる。ガイエン神は、落ち着きの力により、争いを鎮める。エクセウン神は、臆病の力により、回避行動を起こす。アントイン神は、誠実の力により、それぞれの善を遂行する。サイン神は、悪の力により、アントイン神と対抗する力を出す。私、カオス神は、混沌の力より、全てを調和する力を持つ。そして、イフニ神は、全ての生命系を保護する力を持つ。さらに、アントイン神は、魂を合わせ、7つの宇宙に分配する力が、サイン神は、魂を吸い取り、それらをアントイン神に引き渡す力が、特別に与えられている。しかし、この宇宙を統べると言う役割が、私ひとりでは心許無くなって来たのだ。さらに、宇宙間におけるエネルギーの流出。これは、起こってはいけない事なのに、起こしてしまった。それゆえ、私の補佐的な役割を持つ神を作る事にしたのだ"

「しかし、どのようにして作るのですか?」

'簡単だ。まず、どのような役割かを与え、その力を下地にし、色を決める。この色が、それぞれの性質を左右する。そして、同時に名前を与える。それが完成したら、神の形を作る。これが、そのまま姿になるわけだ。最後に魔力を開放し、三日三晩、恒に、注ぎ入れる。そしたら、神ができている。しかし、一般人がやってはいけない'

「何故です?」

'簡単だ。この魔力を注ぎ入れる作業には、とてつもない量の魔力を要する。つまりは、それほどまでの魔力は、人の体内には無いのだ。それをしようとするならば、スタディン100万人は必要だろう。だから、出来ないのだ'

「そうか。確かにそんなに人数は集まらないな。そして、その神の名前は決まったのか?」

"ああ、もう決まっている。そして、その名前は、またいずれ、聞く事になるだろう。それまでは、伏せたい"

'さあ、もう皆は、帰る時間だ。しかし、最後にこれを持って行くがいい'

渡されたのは、ネックレスだった。

「このネックレスは?」

"これは、この空間に自由に行き来できるための物…選ばれし者のみに与えられる特典だ。さあ、戻るがいい。下の家へ。しかし、そなたらは、ここに来る直前にいた家で無く、旅立つ前にいた家に戻るであろう"

再び、意識が消えた。今度は、長い間。

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