第83部
第28章 イフニ神の居場所
「さて、すぐに戻って来れたわけだが、イフニ神という神は、いったいどこにいるんだ?戻ってきて一週間、どこを探しても、見当たらない」
神々の化身たちは何やらずっとニヤついていた。
「神よ、どうしてそのような表情になっているのですか?」
"それは、そなたの心の中に聞くが良い"
'その答えこそ、イフニ神の居場所'
`しかしながら、不純なる心ならば、見つからぬ`
エクセウン神は、イフニ兄妹を指差した。
「私達?でも、どうして…」
先に気づいたのは、スタディンだった。
「…そうか!そうだったんだ!」
何かに気づき、船を太陽系第3惑星に向け、そのまま進んでいった。
「ちょっと、どうしたのお兄ちゃん。そんなに焦って」
「分かったんだ。でも、今一確証がない、それでも、やってみないと!」
「だから、それは答えになっていないよ」
「自分達が、イフニ神なんだ」
一同は静かになった。ただ、神々だけが、ニヤついていた。
"さすがだ。さすがに神の子孫だけはある。しかし、どのようにして、神の宝玉を取り出すのか?そこに鍵がある"
「…かぎ、しかし、そのかぎはどこにある。それも探す事にしよう」
船は、1日後に、太陽系/第3惑星に到着した。そして、今は亡き両親の家に行った。
「今でも、自分達のものにしておいてよかった。たしか、この家のどこかに、地下室があるはずだ」
「でも、ここは、宇宙ステーション、そんな事は出来ないはずだけど…」
「だから、今まで気づかなかったんだ。そこに、鍵があるとしたら?一番の盲点じゃないか」
神々は、部屋の隅でこちらを見ながら何か相談をしていた。そして、
「見つけた!」
アテネが、叫んだ。すぐに全員がそのばに駆け寄った。そこは、ちょうど廊下の突き当たりの右側の、10畳の部屋のちょうど真ん中だった。
「なるほど、見つからなかったはずだ。畳の下にあるんじゃな」
人が何人も入れそうな大きい口が開いていた。下は、どこまででも続いていそうな、闇が広がっていた。
「ね、誰から入る?」
「それよりも、まずこれを落としてみよう」
アダムが取り出したのは、ライターだった。
「どこから持ってきたんだ?」
「それは、企業秘密と言う事で」
ソレッという、掛け声と共に、ライターは、勢いよく落ちて行った。しかし、いつまで経っても到達した音は聞こえてこなかった。そして、数分間待った後に、
「底無し穴…かな?」
そういう結論に達した。そして、この穴には、なぜかはしごがついていた。
「ここを降りるんだね」
どうやらその通りである。神々も心配そうにのぞきこんでいた。
"真実に、この下にイフニ神の宝玉がある時、イフニ兄妹以外、触れまい"
「神々でさえ触れれないのですか?」
"そうだ。神の力を持つもの、即ち、そなたらは選ばれし人、そなたらは唯一イフニ神の宝玉に触れれる者達"
`しかし、イフニ神の宝玉は、我々のそれとは異質なる物`
[それ故、我らとて、触れる事は叶わぬ]
{さあ、ゆくのだ。イフニ神の子孫らよ。そなたらが、最後の望み…}
そして、イフニ兄妹は、この穴の下を目指して通って行った。
「これってどこまで続いているんだろう」
最初に降りた、クシャトルが言った。
「さあ、とりあえずは、命綱を付けているけど、どうなるかな?」
スタディンが言った。そのとき、横から風を感じた。
「ねえ、ちょっと待って」
クシャトルが呼びかけた。
「どうしたの」
「ここ、横から風が来てる」
魔法によって火を起こした。火は、一定の向きに傾いたままだった。
「間違いないね。ここは、風が吹いている。しかも、真ん中に向かって」
スタディンたちは、その穴に向かって、降りて行った。
上では、命綱を伸ばし続けていた。
「これって、どれだけ伸ばすのかな?」
一郎が言った。
「さあ、ただ、宝玉に到達すれば、そこでおしまいと言うのは分かるけどな」
アダムが返した。
「それよりも、良くこんな方法で綱が出来るね」
「ああ、魔力でかい?それは当然だよ。何せ私らは、最強の魔法軍団にもなりうるもの」
綱が突然、たわみはじめた。
"どうやら、到着したようだな"
みんな、穴の中をのぞきこんでいた。しかし、風しか来なかった。
スタディンとクシャトルは、横穴の真ん中辺り、ちょうど、この宇宙ステーションの中心部に来ていた。
「なんだろう。とても眩しい」
スタディンが言った。
「ちょっと、真ん中を見て!あそこに何かある!」
クシャトルが、言い、二人で、その場所を目指し走り出した。
突然、声が聞こえてきた。
/何者だ。我の眠りを妨げるものよ/
「私達は、あなたの宝玉を取りに来た。イフニ・スタディンとクシャトルだ」
/そうか。時が満ち足りたか。私は、あなた達を導くもの…神の社へ行く者達は、お前らの行かせたい数だけ…/
「まずは、上で他の神々が待っています。その場所へつれて行きましょう」
/いや、その必要はない/
すぐに目の前が虹色に輝き始めた。
二人は、一瞬で家の中に戻っていた。
「ああ、お帰り」
"イフニ神は?"
/ここにいますよ/
床には、7つの宝玉があった。
「数は揃った。この板にも…神々は再び揃った。さて、これからはどうするかな?」
/ここにいる者達でいくのか?/
"そうだ。何か不都合でも?"
/いや…/
"ならば行くぞ"
みんな、意識が一瞬とんだ。