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第82部

第25章 第6宇宙空間


"この宇宙空間には、生命が生まれすぎた。イフニ神自身が、過ちを犯した唯一の例だな"

「神ですら、時には間違える。まして、人間なんて…」

'アダムよ、そう考えるのは、いささか間違いが含まれる'

船は、第6宇宙空間を航行中だった。このときには、何一つ存在していない空虚な空間が広がっていた。

「それは何ですか?」

{我々とて、人間と変わりがないのだ。なにせ、我々の遺伝子を持つ種族が存在するのがそのいい例ではないか。そして、人間以外にもその遺伝子を持つ者も居る}

「それは?」

'この世の種族ならば、程度の差はあれど、全ての種族が持っておる。それこそが、この宇宙同士、元々はひとつだったという証拠…'

「全ては、ひとつだった…」

"そうだ。しかし、我々は、それらを、分けてしまった…"

`我々は、何時の日にか、ひとつにならねばならない。それが、宿命…`

今まで聴いた事がない声が聞こえてきた。

「誰だ!」

"来たか。案ずる事はない。スタディンよ。あの声は、この宇宙の神であるガイエン神だ"

突然、周りが青くなり、動転しかけた。しかし、突然、落ち着き始めた。

「これは?何にも感じないのに、なんだか落ち着く…」

`古来、人は海より作られた。しかし、海より作られし者達は、不平を言う事となり、世界は滅ぼされた。その後、幾度となく作り変えられた世界に、神の球が光臨し、その後、平穏が保たれている`

"海は、青。雄大であり、聡明なる母親。全てを包み込む父親。いかなる者をも拒絶する息子。いかなる者をも歓迎する娘。そして、それを見た者は、全てを忘れ、心の平穏を取り戻す"

`その通り。私は、ガイエン神。この地が嫌になってきた。なにせ、生命が多くなりすぎた`

「いま、この宇宙空間には、私達を除いて、どれだけの惑星や、生命があるのですか?」

`一応、居住可能惑星は、大きさを問わず、39京個あり、そのうちの、99%に、何らかの動植物が存在している。そして、ほぼ半分の割合で、動植物が繁栄をしている。今の総数は、約(3.51*10^41)の魂がある`

「半端じゃない量ですね。しかし、それらの魂はどうするのですか?あなたがこの地より去ったあとは」

`あんずるな。すでに策は講じておる。全ては、流れとそのままに`

船は、ガイエン神の宝玉を手にいれ、すぐにこの宇宙空間から去った。


第26章 第5宇宙空間


「この空間には、エクセウン神がいるはずだ」

「魔力がこの船以外で一番高いところは…あの惑星系ですね。おそらく、恒星の核になっているはずです」

「ややこしい所に行ったなあ。まったく」

"この船の耐熱温度は?"

「約2900度。ただ、魔力によって、耐熱バリアを張れば、30秒以内ならば10万度までいける。ただ、30秒たった時点で、一気に耐熱温度は下がり始める。それまでの間にとってこないと、自分達は、一瞬で黒焦げになる」

'それは避けたい'

{まあ、自分自身は、絶対助かるけどね}

`さすがに神となれば…`

「しかし、何故このような熱いところに入ったのだろうか」

"エクセウン神は、臆病者の神、外界から遮断するには、これが最も有効"

「なるほど」

'彼が、そのままならば、恐らくは、非常に知恵の回る者でもあった。されども、この地より離れるわけにも行くまいと、だがしかし、彼は自ずからここに来るだろう'

{その自信は、どこから来るのか?}

'どこからでもいいだろう。このまま、一週間、待つがいいだろう。そうすれば、すでに相手は見つけているはず。どういう意図かが分かるはず'


そして、1週間そのまま待ち続けた。変化があったのは、偶然窓の外に目をやったときだった。船の中に、光が入ってきた。そして、コトンという音と共に、ひとつの結晶があった。

"出てきたようじゃな。エクセウン神よ"


"ああ、長い月日だった…しかし、おぬしはよくこのような恒星に住んでおったな。普通なら、熔けておろうが"


「どうやら、この世界の神も来たみたいだし、そろそろ次の宇宙へ行きますよ」

「えっと、次の宇宙はどこだ?」

"次の宇宙は、第7宇宙空間だ。そこには、誠実の神であるアントイン神がいるはずだ"


第27章 第7宇宙空間


「これで、全ての宇宙空間を行った事になるんだね」

「ここが終わったら、いったん、第3宇宙空間を経由して帰るから」

「そして、イフニ神の宝玉を探すという事だね」

「そう。で、この宇宙空間の、どこにいる?」

「ここから、約30光年はなれたところにある、惑星上からですね」

「どうやったら、そこまで詳しく分かるんだ?」

「まあ、いろいろと使っているんですよ。ここのAIが」

船は、そこを目指して、航行した。


「ここが、その惑星か」

「第7宇宙空間の、第34銀河系/5腕/第357惑星系/第2惑星です。そして、この惑星上の、ある家に、それはあります」

「よし。ならば、降り立って、その家に行こう。そして、譲り受けれるように、交渉してみよう」

"もし出来なければどうするのだ?"

「そのときは…まあ、どうにかなるでしょう」

「場当たり的だね」

しかし、スタディンはその発言を受け流した。そして船は、降下し、その家の近くの飛行場へと降り立った。


「あなた達は、何者ですか?」

今回は、神自身もついていく事にした。そして、半分は、船に残り、半分は、船から出て行った。

「私達は、学術調査をしています。第1と第2宇宙空間の者です。いま、この近くの家から、調査対象の物が見つかったので、それを探しに行くところです」

「証明できるものは?」

「これでいかがでしょうか」

大臣が見せたのは、ずいぶん前に第2宇宙で使ったきり一回も使わないままだった、第2宇宙空間国第392代皇帝の直筆署名付きの特別許可証だった。それをみただけで、相手の顔色が変わり、

「失礼致しました。どうぞ、お通り下さい」

と、急に態度を変えた。そのまま、深く頭を下げたままの彼をおいて、スタディンたちは、どんどん中へと入って行った。


「この家だな?」

「うん」

スタディンは、船からの送信機を持っている、瑛久郎に聞いた。

「この家の中にあるよ」

"しかし、この家は、相当豪華だな。よほどの財力があると見た"

「それほど、金の力というのは、強いものだよ」

扉を叩き、来客がきた事を中の人達に告げる。30秒もしないうちに、

「何方様でしょうか」

「すいません、第2宇宙空間から来た、学術調査隊なんですが、我々の研究対象が、この家にあるらしいので、入らせてもらってもよろしいでしょうか?」

「ええ、いいですよ」

扉が開かれ、中へ招き入れられた。


家の中には、あちこちの宇宙空間から取り寄せたであろう、数々の財宝が眠っていた。その中で、ひときわ厳重に守られている物があった。

「これだな」

"ああ、これだ"

'間違いない'

ひときわ異彩を放つ、特殊な光の玉が中には入っていた。

「これが、この宇宙の…」

そのとき、ひときわ白く光り輝いた。

[そなたらは何者だ…幾千年にも連なる系譜の者達か…]

"我を、忘れたのか。アントイン神よ"

少し間が空く。

[懐かしの声よ。旧友よ。今何故再び我の下へ?]

"既に時は満ちた。我々は一つの星の下に集う"

[時が満ちたか…]

'古の約束を、果たすときが来た'

[遥かなる過去の話…今とは違う世界の事…]

`さりとて、忘れたとは言うまい。過去の事とはいえ、我々、神にとっては、昨日の事…`


[既にパーツは揃ったか…ならば、行かせてもらおう]

さらに光が増し、ついに、アントイン神の宝玉を覆っていたガラスが、跡形もなく一瞬で融けた。そして、煙と共に、宝玉が出てきた。それは、スタディンたちが持っているあの武器に引っ付き、そして、穴は最後の一つとなった。

「最後の宝玉は…」

スタディンが、最後の穴となったところを見ながら言った。

「私達がいた最初の宇宙空間、第1宇宙空間ね」

相手が気絶している間に、船に乗り込み、そのまますぐに出航していった。

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