第81部
第24章 第3宇宙空間
船に戻った一行は、大臣達が寄り添って寝ているのを見つけた。
「こいつらは、そのまま寝かせておこう。そのまま、第3宇宙空間へと飛ぶ事にしよう」
第3宇宙空間は第1宇宙空間と良く似ていた。しかし、全ての者達が敵同士と言う、とてつもない国だった。
「この国では、力がないとのし上がれない。そういう風な国なんだ。だから、みんな注意をしないといけない」
大臣は皆に言った。
「そして、この国の魔力の中心地は、大体一定の速度で回っているんだ。そこを目指して、いくつもの船団が向かっている。しかし、直接手にいれれたのは、歴史上誰もいない」
「自分らはそこに向かうんだな」
「そうだ」
"しばし待たれよ"
カオスの声が聞こえてきた。
"この宇宙にいるのは、サイン神だろう。その神は、悪をつかさどっている。人間の闘争本能を最大限以上に引き出すのだ。それを守りぬくために、これを授けよう"
風に乗って、いくつかの穴が開いた板がきた。その穴の数は、7つあったが、すでに2つ埋まっていた。それぞれの人達の前に来た時、形が変わっていった。
「これは?」
"これは、それぞれの魔力とそれらの形式によって、形を変えるものだ。これらの穴は、それぞれの神の結晶から得られたものが埋められる。それぞれの結晶はそれぞれ定められた場所に自動的に移動する"
「ありがとうございます」
「じゃあ、行こうか」
船は、その場所に向かい、動いていった。
その場所に到達したときには、あちこちで戦争が起こっていた。
「これらは…サイン神の影響か」
"そうだ。そして、我らはそれを受けなければ、先には行けないのだ"
'しかし、カオス神よ'
「あなたは?」
'私は、カオイン神。そなた達が選ばれし者だ'
「選ばれし者…」
'それらを、活用せよ。さすれば、未来の扉、開かれん'
「いったい、何の事か…」
'よい!さすれば、先に進めよ!運命は恒にそなたらの上で微笑むだろう'
「ならば、我らも行きましょう」
「そうだな」
船を動かし、慎重に歩を進めた。
突然、大臣がスタディンの胸倉をつかみ、叫んだ。
「なんで、こんなところまで連れてきたんだ!」
そして、暴力沙汰になるところだった。そのとき、神の声が響いた。
"止めよ!暴力ならば、その身を打ち滅ぼすだけだ!"
すぐに、静かになった。
「あれ?私は、いったい…」
「あなたは、おそらく、サイン神に操られていたんですよ」
スタディンが、咽ながら大臣に説明をした。
"そうだ。サイン神の力は、我らの結晶体となった中では最も強い。そして、それを従わせるには、さらに強き力が必要となる"
「自分達に出来るだろうか…」
'安心せよ、我ら神がついておる。気遣い無用。進み、サイン神の結晶を捕まえるのが良いだろう'
「そうだ。それが重要だ」
船は、そのとき、目標の物を補足した。
「あの黒いのが、サイン神の宝玉」
"そうだ"
'それを捕まえるのが重要。さすれば、真実の扉への道、近づかん'
「言っている意味が良く分からないな…」
「とりあえずは、あの結晶体を捕まえろっていう事だよ」
「そうだな。それがないと先には進めない」
「では、早速とりに行こう」
「でも、どうやって?相手は、自分達の闘争本能を掻き立てる奴だ。このまま皆でいったら、それぞれで殺し合いになりかねない」
"前渡した物を活用せよ"
'そうせねば、そなたらの命、ここで尽き果て、屍はその後いずこへ流れる'
「これか」
スタディンが、物置に置いてあったものを無造作にとろうとした。瞬間的に、はじかれた。
「あれ?どうしたんだ?なんだか、嫌われているんだけど」
"それらの武器は、それぞれの者にのみ憑く。他の者は、拒絶される"
「そうか。という事は、これではないと言う事だな」
'その通り。そなたの物は、そなたの心に聞くが良い'
「自分の心に従えと…これだ!」
つかんだ物は、すぐに自分の体と同化した。
「わわわっっっっっ」
「神よ。これはいったいどういう事なんですか」
イブが、スタディンにまとわりつく武器を見る事しかできずに、憤っていた。
"案ずるな。これこそがこの武器の効力"
'我らの力は増してゆく。而して、そなたらの力となり、力の糧となる'
そうこうしている内に、スタディンの上半身は、金色に輝くよろいに包まれた。
「神よ、これはどういう…?」
"これは、そなたらの精神を表面に出しているのだ。そして、それがそのまま反映される。必要ないときには、元の形に戻る"
'案ずるな。我らは常にともにある。そなたらの傍らに…'
「では、他の人達も、同じように…」
それぞれの武器を、手に取り、それぞれの形になった。
「自分は、よろいじゃなかった。これは、何だろう」
"それは、剣だ。そして、それらの武器は、我々の管轄をすでに離れている。いまや、そなたらの元に帰属している。すべては、そなたらと共にある…"
'さあ、いざゆけ。我らが友よ。我らの力を糧とし、サイン神の下へ行くのだ'
「よし、出発だ。このまま、最大速度で目標球体の近く、1万kmまで接近。その後、接近しつつ減速し、敵と邂逅した後、捕縛する」
「了解」
船はすべるように動き、漆黒の闇が目の前に来た。
「これは、いったい…」
漆黒の闇の中から、かすかな声が聞こえてくる。
"サイン神は、死を司る神。死者の魂を、選別する神"
'その後、アントイン神に引渡し、無垢な赤子とし再び世界に解き放つ神'
「それぞれ、役割があるんですか」
"当然"
'我らとて、役割がある'
「そんな事より、スタディン。敵が近づいてきたよ」
すでに、船を覆うかのように、漆黒の闇が目の前に立ちこめていた。
「この奥の星々の光すら吸い込む力」
「こいつが、サイン神」
"神々として死をつかさどるサイン神は、その力の一部を球に閉じ込めた。我らとて同じだが"
'そして、いま、復活の日が近づいている'
「復活の日?それは…」
船外には、闇しか見えなかった。
「スタディン。さあ、捕まえる時間だよ」
「ああ、そうか。では、行こう」
神を二人置いて、サイン神の下へ行った。
「この神自身は、とてつもない力を有している。みんな、気を引き締めてかかれよ」
「分かってるよ。しかし…」
そのとき、後ろから、宇宙服を着ていない二人の青年が浮かんできた。
「君達は?誰だい?」
一番近くにいて、はやくに気づいた、ネルソンが言った。そのもの達は、聞き覚えがある声で言った。
"我々は、この神を、捕まえる必要がある。そして、この世界からは、このような惨事を引き起こさない役目がある"
「カオス神よ。わざわざ手伝いに?」
"いや、我らは、船内にて、とてつもなく時をもてあそんでいた。その結果、このようにしたら最善の策だろうという結論に至った"
'我らとて、今やこの船の一員。我らも剣を取り合い、肩を並べ、戦おうぞという気で参った'
「そうですか。では」
前には、本当の闇があった。
「これが、サイン神の本体…」
袋をかぶせ、持ち帰ろうとした。そのときだった。ハッとしたような顔になり、神がもう一人増えていた。
{久しぶりだな。カオス、カオイン}
"そうだな。サイン神。そなたは今や我らの手の内…"
{さて、それはどうかな…それよりも、今、カオインがここにいると言う事は…。もう、1万年経ったという事か}
'そうだ。そして、時は来たのだ。われらは、次なる宇宙へと向かう。そなたはどうだ'
少しの沈黙があり、
{そうだな。このままここにいるよりも、お前らについて行った方が良さそうだ。じゃあ、ひとつ厄介になるかな}
「では、船へと向かいましょう」
スタディンが、袋を持ち、そのまま宇宙船へと戻った。
{おお、こんな中になっているのか}
"そうだ。我々は、この船で旅をしている"
'我々は、この船の居候だが、神でもある'
「神の御舟っていう事か…」
スタディンが、ポロリという。
"そういう事だ"
'そして、我らは、これより、別の宇宙へと向かう'
「別の宇宙?それはどこですか?」
「この宇宙空間とつながっているのは、2つだけ。さらに、片方入った事がある。という事は、消去法により…」
{第6宇宙空間}
「そう言う事になる。次の行き先は、第6宇宙空間だ」