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第79部

第22章 第2宇宙空間


さっきまでいた第1宇宙空間と呼ばれる惑星がたくさんあるのとは裏腹に、この第2宇宙空間は一つの銀河系しか存在しなかった。そして、その銀河系は一つの国が統治していた。その国の名前は、第2宇宙空間国と言う名前だった。


船では、この国の名前についての論議が行われていたが、おそらく、最初の人達が名前を考えるのに嫌気がさして適当に付けたのがそのまま残ったのだろうと言う結論に達した。


「さて、着いたよ。この銀河系の中に、その宝玉があるんだね」

「そう。そして、この銀河系の中で、最も魔力が強い所を目指す。そこに、恐らく宝玉があるはずだ」

そしてスタディンたちは、数日間をかけ、ゆっくりと精査していった。


「ここだな、間違いなく」

「ああ、そうだね」

そして、スタディンたちは最も魔力が強い所を見つけた。そこは、この国の神官達が聖地として崇めている場所だった。

「これは、個人的な考えだが、おそらくこの国の人達も、この場所の特異性にはすでに気づいていたんだと思う。そして、それを利用する形で聖地とした」

「多分ね。でも、そこへ行かないといけない。そして、この国では、軍自体が否定されている」

「だから、他の国では軍人でも、この国では単なる一般人だ。だから、この聖地に入るのも苦労すると思う」

「フッフッフッ、そういう事もあろうかと、すでに、仲間を作っておいたのさ」

「ああ、アダム、それは、誰だい?」

「この国の教育担当大臣だよ。ついでに、この人は、教育だけでなく、文化財や、宗教関係の分野にも精通していてね、それを利用したんだ」

「どんな手を使ったんだ?」

「それは、聞かないでくれ。すでに彼はこちらに向かっている。私は彼と何回か会った事があるのでね、それで…」

「そうか。まあ、いいんだ。学術調査としてでも、その宝玉を取れば良いんだから」

「最後には返すんだしね」

「……………………」

「え?何その沈黙」

「クシャトル、今回は返す見込みは無い。しかし、そのままトンズラとはいかないからな、まったく同じ偽物をすでに作ってある。それを代わりに置く事になっている。それで、全てが丸く収まる。そして、一般人はその事すら知らない」

「そうか、でも…」

クシャトルの発言は、船のAIが接近船がある事を告げるアナウンスにより掻き消えた。


「お久しぶりですね。第2宇宙空間国教育担当大臣」

「ああ、アダムか、そうだな。この前は…」

「ああ、その話は今回は…。お願いします」

「そうか、まあ、それよりも本題に入ろう。さて、学術調査に関係して神殿の宝が借りたいと、そう聞いているがそれは本当なのか?」

「その通りです。そして、その時に渡す偽物もすでにこちらが作りました。その宝と寸分違わぬ形のものです。これを、代わりに置きます。そして、誰も知らぬまに取り替えられます。もちろん、関係者には知らせますが、一般人には伏せます。なにせ、学術調査と言う名目ですら、長い間禁止されていた場所です。なにかあれば…」

「そうか、まあ君達に任すよ。それと、これを渡しに来た。これがないと、絶対に宝には触れれない」

長細い箱を彼は渡してきた。

「これには、何が入っているのですか?」

とても軽かった。

「この中には、この国の国家元首である第392代皇帝の直筆署名がされた特別許可書が入っている。これを見せると、どんな場所にも自由に出入りが出来るという仕組みだ。そして、その神殿はこの皇帝が支配下に置いている。その事からも分かるだろう?」

つまりはこの皇帝が、この国の宗教を支配しているのだった。

「あなたはどうするのですか?この計画に加担している以上…」

「いや、皇帝は私にもそれらを全て見てこいと言われたのだ。だから、私もよろしければこの船に乗り、君達とどこまでもついてく。いいかな?」

スタディンたちは、それぞれ別々のことを考えた。しかし、答えは、

「ええ、いいですよ」

と、答えた。

「分かりました。ありがとうございます。では、早速その場所へと行きましょうか」


その神殿は、一つの惑星系全てにまたがっていた。それぞれの惑星にそれぞれの役割があり、それぞれが個別に動いていた。そのなかで、最も恒星に近い第1惑星のところに、その宝玉はあった。スタディンたちは、そこにたどり着くまでに、何回も警戒している警察関係に捕まった。そのたびに、その許可証を見せて追い散らしていた。


「この第1惑星は常に太陽面に半球を当て続け、さらに反対側には氷結した大陸があります。その温度差は、約2000度に達します」

大臣は説明した。

「そして、その大陸に私達が行く神殿があります」

船は、その神殿の前に止まった。

「だれだ!」

すぐにこの神殿の警備員が駆け寄ってくる。船から降りてくると、

「あっ、大臣閣下!」

すぐに敬礼をした。

「まあまあ、楽にしなさい」

「閣下、いかがなご用件でありますか!」

絶対楽では無い姿勢のまま、警備員がいった。

「学術調査のために彼らに協力をしてもらいたい。目的は、すでに皇帝陛下の裁可も済んでおる」

そして、荘厳な手つきで、

「これが、その許可証だ」

隅々まで警備員達は目を通した。そして、

「申し訳ありませんでした。この件は他言無用と致します。さ、こちらへどうぞ」

待合室のような部屋から、奥へと続く廊下へを案内された。


宝玉の間につくまでの間、案内をしている警備員の人が、この神殿の概略をしてくれた。


「この神殿はもともと別の神を祭っていたようなのですが、その神をつき破るような形でその宝玉が出てきたと伝わっています。ちょうど今年は1万年目の節目の年になります。そして、昔の伝説はどうやら実現されるようです」

「昔の伝説とは?」

「昔、神がこの世界をつくりちょうど1万年後、つまり今年ですね、ある者達が宝玉を手にいれ、真実の神々と出会い新たなる神になると言う伝説です」

「はてさて、それが事実となるかどうかは別として、そのような伝承はこの宇宙空間だけでは無いんです。他の場所にも似たような伝承は残っています。ただ違うのは、空間のみと言うぐらい精確に同じなのです。しかし、これらの伝承は、数万年前と言う時代から存在しているものもあり、明らかに他宇宙とは関係が無かった時代から連綿と続いているのです。何か関係があると思いますか?」

「さあ、私は、一介の神殿の警備員にしか過ぎませんから…さ、ここが、宝玉の間です。年間100人来るかどうかと言うぐらい人気がない場所です」

宝玉の間の扉は、あまりにも質素なものだった。そして、その扉を開け、彼らは中へ入っていった。


「これが、宝玉です」

すこし淡い赤色をした球状の玉が入っていた。

「カオイン神ですね」

「そうです。そのエネルギーが入っている球状の物質です」

大きさは、ちょうどサッカーボールぐらいで、真球をしていた。

「これだけですら、とてつもないエネルギーを有している。いったい、神本体のエネルギーとなると…」

「我々には想像もつきません。しかしながら、これと同じような形をした物は、全ての宇宙に一つづつあるという事は聞いた事があります」

「そうか、という事は、やはり…」

「では、これをお持ちください。そして、必ず返してくださいね」

警備員の人が、スタディンたちが持ってきた特殊な加工をした袋に球をいれ、それをスタディンに渡した。

「ああ、分かっているよ」

袋は想像以上に重くなった。

「この球はどれだけの重さがあるんだ?」

「さあ、はっきりとは分かりませんが、10kg以上は最低でもあるでしょう」

「そうか。では、確かに預かった。その代わりにこれを置いといてくれ。これで、宝玉の間に来た時に、実物が見れるわけだ」

「そうですね」

アダムは、この神殿の警備員の人に偽物の球を渡し、それを同じように安置した。

「では、これで失礼するよ。あと、6つあるからね」

「では、お送りしましょう」

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