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第52部

建物の外へでると、宇宙船が置いてあった。

「これが今から君達が乗る宇宙船だ。名前は…なんだっけ?」

「この船の名前は、パトリシアと言います。このAIから名前を取りました」

合成音声が聞こえてくる。

「よろしくお願いします。イフニ兄妹さん」

「すまんな。まだ調整がうまくなくて」

司令官がスタディンとクシャトルに言った。

「大丈夫です。何とかしましょう」

クシャトルが答えた。

「では、早速出発しましょう。それでは、掃討作戦を開始します」

「よろしい。作戦を許可する。作戦の詳細情報はこのAIのコンピューターに乗せてあるから」

「分かりました」

すっと後ろ向きになり、歩きはじめた。自動的にスロープが降りてきて、人を乗せた。全員乗り終わると、スロープは元の位置に戻り、出発した。司令官達は、その光景を見送り、建物の中へ入っていった。


「とりあえず、修行の前に、この作戦の概要だけでも説明しておこう」

スタディンが言うと、すっと、スクリーンが降りてきて、画像が出てきた。

「この惑星が今回の作戦目標だ。第3銀河/35腕/第364惑星系/第5惑星。この惑星の事を本作戦中のみ、目標惑星とする。この星系を、目標星系とする。この目標惑星は、革命の機運が高まっている。その芽をつぶすのが我々の作戦だ。人口約25億人、山岳地帯が少なく、穏やかな人柄だ。すでに、目標としている、部隊の所在は分かっている。その部隊の事を本作戦中のみ、目標部隊とする。そこを集中的に叩く。だが、出来るだけ、一般人は傷つける事を避ける必要がある。なぜなら、それが他の惑星の革命の機運を高める事になるからだ。これから表示するのが、目標部隊だ。それを頭の中にいれといて欲しい。では、これより、魔法の修行を開始する。しかし、目標星系に到達する時間は、一週間。それまでに、上級魔法試験合格レベルまで魔法の技術を引き上げてもらう。質問は?」

誰も何も言わなかった。

「では、解散」

静かに言った。


この船の形状は、底面を除き球体で、中央に17mの空間がある。この部屋の事を体育館という事にする。その空間の周りに5個の部屋があり、各部屋からこの船を操縦する事が出来る。しかし、するためには、船長の権限が必要である。各部屋に各会長の弟子達が集まり、荷物を解きはじめた。

「よし。これでいいだろう」

スタディンが一息つく。

「そうだね。とりあえず、体育館に行こうか」

イブがそれを受けて言う。

「皆も待ってるし」

シュアンが言った。扉を開けて、体育館へ向かった。


「何してたの?」

アダムが尋ねてきた。

「荷解きだよ」

スタディンが答える。

「それよりも早くはじめるぞ。ここを、無重量状態に出来るか?」

コンティンスタンスさんから注文が来た。

「出来ますよ」

そう言った途端に、体がふわりと浮いた。

「これより、目標星系内に入るまでの間、この空間は、無重量状態になります」

合成音声が聞こえてくる。

「上出来じゃ、これからは、この無重量状態が修行の舞台となる。みな、心してする事」

「了解!」


それから、瞬く間に1週間たった。いつもどおり、魔法の修行をしていると、体が重くなってきた。

「これより、30秒間の猶予期間の後、無重量状態を解除します」

「修行は中止、底辺の所に集合」

コンティンスタンスさんの号令が飛ぶ。速やかに全員が集合する。体重が完全に戻った。

「これより、指揮権は、君にある。スタディン、クシャトル。君達は今回の作戦の隊長だからな」

皆が見守る。

「では、今回の作戦を、決行する。まず、目標部隊は…」


1時間近くかけ、作戦は出来上がった。

「では、この作戦で行きましょう」

スタディンが皆に同意を求めた。

「何か質問は?無いようなので、この作戦で行きます。本作戦をこれより、正式に反政府組織臨時掃討作戦と命名する」

外では惑星が見えてきた。

「ここが、目標星域です。目標惑星は、ここの第5惑星だから、恒星側から数えて5つ目ですね」

瑛久郎が言う。

「みんな知っているぞ、そのくらい」

愛華に突っ込まれる。

「みんな作戦は覚えてるね。この作戦では、全ての動きが重要になってくる。気を抜かずに、がんばってくれ」

スタディンが激を飛ばす。

「これより、本作戦を開始する」


本作戦は、まず、公式に認められた惑星政府に対し、現在の状況を聞くことから始まる。しかし、普通は教えてくれない上に、この作戦を教えてしまったら、確実に攻撃されるので、軍関係者として惑星に侵入する。飛行場の着陸ロビーのところにいた係の人に確認を取られた。胸にはマッキン・トシュと書かれていた。

「どうぞ。えっと〜、イフニ・スタディン様と、イフニ・クシャトル様ですね」

「そうです」

この宇宙港でのやり取りは普通である。テロ関係者がいる場所の上に、この場所は辺境惑星に分類される。

「どうぞ、いらっしゃいました。公務ですか?」

「まあ、そうだな。ここの司令部に赴任する事になったから、公務になるな」

無論うそである。

「では、こちらへどうぞ」

通された部屋は、軍関係者のみとかかれた扉によって、阻まれていた。その扉が内側へ開き、明かりがほとんどない通路がまっすぐに伸びていた。

「この通路をずっと進んでください。イフニ少将相当官様」

最後の言葉は、兄妹には聞こえなかった。


通路を着き辺りまで来ると、また、扉があった。扉を開けると、部屋があり、人がいた。

「誰だ?空港からの秘密通路を通ってここへ来た人は」

くるりとこちらを振り向き、その人は言った。

「私はここの軍部総司令官、雨宮龍保陸軍佐長だ。君達は誰だ」

「私達は、宇宙軍将補の、イフニ兄妹と言えば何故ここに着たか分かるか?」

「あなた達でしたか。お話は、総本部より伺っております。先の無礼をお詫びします」

「いやいや、いいんだ。それよりも、情報提供を求めたい」

「はい、何でも提供いたしましょう」

「ここの地形図と、あと、自分達が乗ってきた船の保護。それに、掃討すべき部隊の名称と正確な位置と人数。今すぐ出来るかな?」

「はい。用意いたしましょう。しかし、その前に本人だと言う証明が必要なんですが…」

「ああ、この徽章でいいかな?」

「はい。それで十分です。では、早速用意しましょう」

すっと、机に向かい、なにやら指示を打ちはじめた。

「あと、30秒ほどお待ちください」

きっかり30秒後、秘書らしき人がやってきて、書類を置いていった。胸のところには、多幸雫とかかれた名札がぶら下がっていた。

「この書類が、注文されたものです。何かありましたら、またお申し付けください」

二人は、書類を持って、元の道を歩いて船に戻った。


「これがその書類です」

スタディンがコンティンスタンスさん達に書類を渡した。

「これで全員を同時に掃討できる。この船の周りに2週間の間、結界を張ってくれ。それだけで、君達の最終試験も同時に課す。最終試験の内容は、この書類に書かれている者達を、同時に倒すことだ」

「軽々と言われますが、どうやってこんなに大人数を同時に倒せるんですか」

一郎がピチタスオに聞く。

「それも含めた最終試験だ。ま、がんばってくれたまえ。もし、出来なければ、陸軍が直接抗争に出る事になるな」

「そうなれば、内戦は必至」

「私達は、手伝わないからね」

「皆で力を合わせてがんばれ」

「そういえば、この近くに、いい店があったんだが、いってみるか?」

「おお、それはいいな。行く必要があるだろ」

5人が、色々言って、船の外へ出て行った。その後、この船は、特殊な結界により、全てのエネルギーが外より中へ入る事はなかった。


「どうするよ。このままだと、2週間なんてあっという間だよ」

「ここは、複数の敵を同時に倒すと言う魔法がどんなものがあったかという事を確認してみよう」

「しかも、100万人規模で」

「それはないな。知る限り」

「いや、一つだけある」

「なに?それは」

「時間の法第34番、スピードを上げるために使うものだ。それなら、少しの力ですむ。場所はここに載っているから、使えるぞ」

「でも、どうやって、100万人もの人を、同時にするの。それこそ大量の魔力が必要になる」

「その点は大丈夫。この船には、特殊な機能がある。その一つに、魔力を溜めると言うのがあるんだ。でも、それを出すためには、一人を、この船に一時的に脳波を同調させる必要がある。それを誰がやるか…」

「あなた達はする必要はない。私が直接全ての人達と同調させ、全ての魔力を共有する事が出来る」

合成音声が聞こえてきた。それを聞いてスタディンが言った。

「でも、それならば、私達はどうやってこの場から魔力を放出し、倒せばいいのか」

「私がいる。経由して倒すほう法が一番有効的だ」

「では、そうやって行こう。今すぐ出来るか?」

「今すぐやらねば、意味がなくなる」


決行された。2週間の間に、この惑星系の全ての反政府組織は無くなった。5会長達が帰ってきたときには、全て終わっていた。

「おつかれさま。さて、時間速度上昇の法を使うとは、予測出来なかった」

「あれ?師匠たちでも、予測出来ない事ってあるのですか?」

「それは持ち上げすぎだ。私達だって、周りから見れば、すごい人かもしれないが、まだまだ、不完全な人間の一人だよ。だからこそ、弟子により多くの事を教え込み、学ばそうとする。そして、自分が予測出来ない事を弟子達がすると、その全てを逆に教えてもらうんだ。最後に、おめでとう。君達、全員は最終試験に合格した。上級魔法取得者選抜試験も同様の結果である。これからは、正式な手続きを踏んだ上で、魔法使いとして世界中に行く事になる。自分達が教える事はもうないよ」

最後に見せたのは、これまで見た事がないほどの笑顔だった。

「現時点を持って、本作戦を終了する事を宣言する。なお、本船はこれより、母港へ向かい出発する」

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