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第5部

「これは、すごいな…」

船に戻り上級士官を集めた際に、ジージョの惑星銀河大辞典に記載されていたことをみんなに伝えているところである。

「これは真実なのですか?信じられませんが…」

「恐らく真実だ」

そこにはこんなことが書いてあった。


「この分化した宇宙に星が出来始めたころに、アインシュタイン・ローゼンの橋、即ち「ワームホール」を通り、こちらに来たとされる、「超宇宙文明」が「知性化のサイクル」を開始させ、次々と、惑星が出来ていき、高等生命体ができていった。超宇宙文明は、知性化を繰り返していった。しかしそのうちに、初期の恒星が爆発を起こしていくようになった。超宇宙文明はそのころから戦乱の時代へ入り、分裂した。このころのことを「宇宙戦争」と呼ぶ種族もいる。複数の銀河を単位とする、「銀河文明」が誕生したのもこのころだと推測される。しかし、そのような次期も過ぎていき再び知性化が開始された。しかし、昔のような繁栄は再び手に入らなかった。超宇宙文明は分裂したまま今に至る。しかしながら、銀河文明は生き延びており、たいていの種族は、銀河文明に知性を与えてもらい成長する。この際に知性化された種族を「属種族」といい、知性化した種族を「主種族」ということになっている。さて、属種族は主種族に対し、千万年間主従の関係となる。その後、主種族の仲間入りをすることになる。その際は、大々的な祭りが開かれることになっている。だが、時に銀河文明に知性を与えられずに、知性を獲得する種族もいる。それらは一般的に「異種族」と呼ばれる。しかし、異種族は、銀河文明に知性化された種族と、外交的な関係を結べば、それで何も無かったかのような待遇を得られる。基本的には、主種族となり、知性化をしても良いことになっている。(知性化のプロセスについては、その項を参照されたい)さて、今のこの銀河文明は三種の巨大な勢力によって分けられている。その三種族の名前とは、「マイナロ」「インフラトン」「ベネトレート」である。三種族のうち、ベネトレートは非好戦的種族である。さて、今からおよそ30年前に、銀河文明のどれにも属さない宇宙船が見つかった。「アファール」といわれているその船には、自力で宇宙に出られるようになり、ほかの文明と接触しようとする異種族の船だと思われる。この船には、複数の種族の複数の乗員がおり、今は、ベネトレートの監視下にいる。この船がいる場所は、第4銀河団の第367星系の第6惑星である」

その下には、今の現在地とその場所が記載されている地図があった。

「今は、その種族の情報を広く募集しているところである。この異種族は非常に貴重な所属であり、できれば、自分の種族に収めたいと三種族とも思っている。さて、その三種族とも今はいない「始祖」と呼ばれる種族によって、知性化をされたといわれている。始祖はすでに別宇宙におり、この宇宙には始祖の遺産が残るだけである。その宇宙船は、アファールの構造と酷似しており、アファールを作った種族は始祖の末裔であろうという者もいるぐらいである」

ここで、みんなに呼びかけた。

「ここに出てくる、アファールという船に心当たりはある人はいるか?」

ここで、一人の士官が手を挙げた。あの縮空間で新たな仲間になった、医療副主任士官パリティ・チャートであった。

「私はその船を見ています」

みんなはどよめいた。

「見たって、いつ?どこで?」

「今から40年ぐらい前です。私があそこで助けを待つ間に、通っていった船です。そのまま、いなくなっていましたが…おそらく、あそこまで行くためには、Lv.10ぐらいの縮空間が必要になるでしょう」

「縮空間は、いろいろな種類があるのか?」

そういったのは、機関主任士官のリチャード・カオスだった。

「はいそうです。詳しくは、この惑星大辞典に載っているはずです」

そういわれてみんながあわてて、自分のところにある画面に向かって探し始めた。


「縮空間とはLv.1〜Lv.10が確認されている。この縮空間の出入り口には光り輝く何かが目視で確認できる。この中に入ると、複雑な地形が目に出来るようになる。ただしLv.5ぐらいまでは比較的安全に航行できるが、Lv.6以上になると非常に危険な種族が出るといわれており、今や誰も近づかない領域になっている。なお、宇宙文明に属さない宇宙船アファールは、縮空間のLv.10を通ってきたものと推測されている。この縮空間から出るためには、複数の通り方が開発されている。まず、この実空間と縮空間上に穴を開ける航法である。ただし、この後方には莫大なエネルギー(10^24kJ/s)が必要であり、あまり一般的ではない。次に考案された航法は、実空間と縮空間を通らずに行く航法である。この航法を「空間外航法」とよばれるのだが、今からおよそ300万年前に一つの巨大な船が崩壊し、その通路は閉ざされてしまった。いまや一般的なのは何もせずに縮空間を飛行する航法である。この航法は、時間がかかるが、安全である。しかし、今開発されつつある航法は、「タキオン粒子」を利用する航法である。(タキオン粒子についてはタキオン粒子の項を参照されたい)宇宙船アファール号の乗務員がこの航法を開発したことで有名である。銀河文明は、この情報を入手するやいなや、各自で開発を始めた。しかしこの船の乗務員意外にまだ開発に成功したことは今の所無い。この縮空間には、いまだ解明されていないものが多くあり、あまり近づきたくない存在となっている」

と書かれていた。次にみんなが開いたのは、知性化についてであった。


「知性化とは、知性を他種族に与えることである。この知性のひとつの基準になるのは、段階的に、言語を理解できる。他種族との交流がある。宇宙航行が出来る。ということになる。なお、知性化のプロセスにはいろいろな方法があるが、ここでは一般的に行われている事について記載しよう。知性化にはまず、脳自身を改造する事から始まる」

ここには脳の改変手術についてあったが、不必要と判断したために手元になかった。

「それが終われば、それを後世に伝えるように工作をする。ただしその方法は、基本的に種族によって異なるのでここには記載しない。こうして上記の条件のうちひとつ以上クリアすれば、準知性種として、本辞典に登録され、さらに上記の条件のすべてをクリアすると知性が完了したとされ、属種族として更新される。なお、新たな種族を発見した際は、本辞典を調べ、辞典に記載されていなければ、新規種族として、発見種族と、新規種族の名称が記載される。ただし、この種族の名称が過去につけられていることが判明すれば、そちらの名称を使用することになる」

次に開いたのは、タキオン粒子についてである。

「タキオン粒子は、光子と正反対の性質を持つ最近発見された新たな粒子である。この粒子にはなぞが多いが、アファールによって研究・開発されている。ただし、この粒子は始祖が使っていたことでも有名であり、この新種族が始祖の後継者であるという説の裏づけにもなっている」

とだけかかれていた。

「これで終わりだ。みんなはどう思う。この飛行は三惑星連邦以来初ではないが、この飛行はわれらの文明が崩壊しても永久に残ることになるだろう」

みんなは一同に頷いた。ただし、パリティ・チャートだけは怪訝そうな顔をしていた。

「私の種族については何か分かりましたか?」

「縮空間上に住む種族については何も記載がなかった」

「そうですか…」

何か悲しそうな顔をしているパリであるが、

「大丈夫だって、きっとどこかにはあるだろうから。それを目指してがんばろう」

と船長の励ましがあったせいか、すこしだけ楽になったようだ。


この船には三惑星連邦の本部と直接話せる特殊な機材が搭載されていた。この機材は長らく何が使われているか分からなかったが、恐らくタキオン粒子だろうと思うようになった。(この粒子はなぞだらけであるそうだが、この機材は何もない様に振舞っている。いや、これ自体が、タキオン粒子なのかもしれないな…)スタディンはここまで考えるとある決断をした。


「それは可能ですが…。本部との連絡はどのようにしてとるのですか?」

「本部との連絡は恐らく取らないだろう。本船がもし第3惑星時間で音信不通後5年後までに帰還しない場合は、自動的に、行方不明リストに名を連ねることになる」

機関主任士官との会話である。

「君はその覚悟でここにいるのではないのか?もしもその覚悟がないのなら君だけ返してもいいんだが?」

「やります!」

こう言い張ったものの、彼は何からはじめればいいのかわからなかった。しかし、まず行動派の彼は、機械の設計図を書き、機械を分解しては組み立てる日々が続いた。そしてそのような日が始まってから7日後。

「全上級士官、すぐに、船長室に来てくれ」

という、船長の放送がかかった。その機械ができたのだ。

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