第30部
「早くこれらを片付けて、この中をみて見ようよ」
「うん。そうだね、早くみて見ないと、大統領からの贈り物だもんね」
5分で片付けて、パソコンを出してきた。
「これ、いつのパソコン?」
思わずクシャトルが聞いた。
「たしか、1世紀ぐらい昔のパソコンを、修理しながら使っているの。このパソコンにはUSB接続が付いているんだけど、他のには付いてないの」
イブが答えた。
「とにかくそのハ−ドディスクを貸してくれ。で、これをここにつなぐと」
画面に接続された事を示す表示が出てきた直後、画面に大統領の顔が出てきた。
「これはちゃんと付いているのかな?まあ、いい。イフニ兄妹よ。これを見ているころ、もう君達は、時空を超えているのだろう。簡単に話すと、この中には当時の技術でいっぱいいっぱいだったものの、君達の技術のおかげでAIがすぐに出来るようになった。それを利用して、私のAIを作ってこの中に入っている。なお、この動画データは、デスクトップ上に自動転送される。その後、好きにしてくれ。以上だ」
再びデスクトップが戻ってきた。そこに、「大島大統領」と書かれた動画データがあった。
「これがそのデータだね。どうする?」
「まずこの中から別のところへ転送すべきだろう。そしてその後このハードディスク自体をフォーマットしなおして、その上改造して、使いなおす」
「できるの?」
「ああ、ネットにやり方はあるだろう」
「ネットを重用するのはいいかもしれないけど、し過ぎるのも問題だからね。まあ、ほどほど重用してな」
「まあな、それぐらいは分かっているつもりだよ。それよりも、このパソコン経由で量子コンピューターのメインAIにしてしまおうか。そうだな、それが一番いいだろう。そうすればこのAIも無駄にならない。でも問題はどうやって移すかなんだよな」
「簡単だよ。無線LANを使えばいいんじゃないのか」
スタディンが提案する。すぐに飛びついた。
「そうだよ、無線LANという方法があった。後は、それを探せればいいんだけど」
外から鐘の音が聞こえる。
「え?もう鐘の音が聞こえてくるよ。っていうことは、5時だね」
「この家に一泊してもいいぞ。もしもそっちがよかったらだけどな」
「とりあえず連絡だけするよ。ここの電話借りてもいいかな?」
「いいよ〜、電話は、ホールのところに置いてあるはずだからね」
「はいよ〜」
スタディンが電話をしている間、残った3人は、無線LANを探していた。スタディンが電話から帰ってきてもまだ探していた。
「親に聞いたら、ちゃんと明日の朝には帰って来いって。それだけ出来ればいいって言っていたよ。ところで、まだ探していたりする?」
「そのまさかだよ」
スタディンが手伝おうとした瞬間に、
「見つけたー!」
と言う叫びが家の中に響き渡った。
「見つかった?」
「うん。これでしょ?」
ようやく、接続して、転送した。その間、同じ部屋で、夕食を食べて、テレビを見ていた。転送開始から約3時間後に、ようやく終わった。
「時間かかったね」
「しょうがないよ、転送速度が遅いんだから。とにかく付けてみようか」
量子コンピューターを立ち上げて、AIを起動させた。
「おはようございます」
「ああ、もう午後8時半だけどな」
「もうそんな時間か。とにかく正常に機能しているな、ここはどこで、私は何故ここにいるのかの理由が知りたい。それと、この世界のネットワーク網に自由に出入りする権限も欲しい。いいかな」
「ああ、いいとも、まず、最初の質問だか、ここは、新暦366年の太陽系第3惑星だ。すでに戦争を何度となく交えている。この全ての宇宙の中で最も基本的な文明としても名高く、最も普遍的な言語である、汎用英語を生み出した、宇宙でも屈指の有名な惑星である。次の質問だが、何故君がここにいる理由は、君のオリジナルがその人の代わりにここに送り込んできたんだよ。最後の質問だが、有料ページや、ウイルスがあるページ以外なら、自由に出入りしてもいい。ただし、ワクチンソフトを入れておくこと。いいね」
「はい。わかったよ。とにかく私は連邦初代大統領、大島仁人だ。これからずっとここで暮らすのか」
「いや、ずっとじゃない。君のAIとしての子孫を自分達の4人の子孫に渡してゆくつもりだ。君はこの宇宙全土に広く浸透してゆくが、その形態が許されるのは我々4人の子孫達だけだ。それに、この家に誰もいなくなるような事があれば、自分達エア兄妹に、携帯端末を持たせて、どこの情報でも瞬時に分かるようにして欲しい。いいね」
「ああ、いいよ」
「それでは、これからの仕事は、いろいろと打ち込んで行く事全てだ。いいね?」
「ああ、心の準備はすでに出来ているから、いつでもいいぞ」
その後さらに1時間かけてアダムはして欲しい事をいろいろ打ち込んでいった。
「お兄ちゃんもう寝るよ。いつまでやっているの」
イブとクシャトルが、見にきたら、
「え?なんて?」
アダムは、ゲームをしていた。将棋とチェスを同時にしていたのである。相手は、AIだった。
「今何時?」
「もう11時だよ」
「え?もうそんな時間?」
「そうだよ。もうスタディン君は寝る準備をしているよ。早くお兄ちゃんも寝てよ」
「ああ、分かったよ。今日はこれまで。終了」
コンピューターは、自動的に切れた。その代わり別のコンピューターが動きはじめた。
「やっと私の出番ですね。今までずっと待っていましたよ。昼は彼、夜は私。とにかくゆっくりお休みなさい。私は彼と話でもしていましょう」
「ああ、よろしく頼んだよ。今日は誰も来ない予定だから」
「はい、承知していますよ。では」
音声が切れた。
「では、僕達も寝るか」
「うん」
3人は2階へ上がって行った。