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第2部

こちらの宇宙ステーションに着てから、すでに3年が流れた。その間に彼らは14歳と15歳になっていた。両親はいつの日にかこの環境につれてこようとしていたし、このまま地表へおろすのもためらわれたので、そのまま住まわせていた。そしてスタディン達は、前々から話そうと思っていた事を両親には話すときがきた。いつもと違う雰囲気の中、夕食を食べていた。突然、スタディンが言った。

「自分達は別の惑星が見てみたい」

クシャトル以外は一瞬と待ったように見えたが、何事もなかったかのように夕食を食べる。そして飲み込んだ後に、お父さんが、

「やはりか…」

とだけ声に出した。そして、お母さんが言った。

「行きなさい。好きなところへ」

兄妹は、すぐの了承に戸惑っていた。

「…止めないの?」

「なぜ止めるの?あなたたちもそんな年齢になったのだから。お金はこれをもっていきなさい」

そう言って差し出されたのは、一枚のカードだった。

「お金は有効に使うのよ」

「これは?」

「私たちが三惑星政府に言って特別に作ったものよ。このカードには国費の少しが入れられることになるの。私達はこのためにいろいろしてきたのよ」

「そんな大事なカードを私たちにくれてもいいの?」

「いいのよ、でもその代わりにね。ひとつだけ約束して」

「いいわよ。なんなの?」

「実は…」

横で黙っていたおとうさんが話し出した。

「実は政府のほうに言われていてな。このカードを渡す代わりに、人類が行ったこともないところへ行ってほしい、と」

「その代わりこの三惑星の中では何不自由なく暮らせるの」

お母さんはうれしそうな反面、悲しそうでもあった。しかし彼らはそれを見抜いており、

「大丈夫だよ。ちゃんと帰ってくるからね。約束だよ」

「それに、これは私たちの個人的なお願いなんだけどね、あなたたちには実はとても幼いときの友人がいたの。彼女は、あなたたちよりもずっと年上なの。でも、彼女はある実験のために宇宙に行かされたの。彼女は何も知らないまま行ってしまったの…」

「わかった。その友達も探してくるよ。そして必ずつれてここに戻ってくるから」

兄妹は両親に約束した。こうして翌日、家族と友達に見送られながら、この宇宙ステーションを後にした。


宇宙ステーションをあとにし、まず向かった場所は錬金術の宝庫である、第4惑星であった。この第4惑星は錬金術が非常にしやすい環境であり、実際にいくつもの錬金術の巨大な高炉が存在している。まず普通に定期便で行くことにした。そして、到着したところの観光案内所や、錬金術師の専用ギルドなどに足を運び、いくつかの高炉を聞いた。兄妹はその中のひとつであり、なおかつ最も古い高炉へ行くことにした。そこの事務所に説明をして、無事に入室をした後に、一緒に行くヒトを探すことにした。しかしこの惑星上にはヒト以外のいろんな種族がいたが、その中でも、ドワーフの一族はいかなる場所でも錬金術が使えることで有名であった。兄弟たちはドワーフを探した。そうして、いろいろした後に、二人のドワーフを連れて行くことになった。彼らの名前は、ルミテイスとマテリアルという名前であった。そして、再び定期便で第4惑星から第2惑星へ行くことになった。


第2惑星は、魔法が使えるようになる種族がすんでいた。基本的にはヒトが大多数であるが、少数民族である、エルフもすんでいた。エルフは魔法系統全般にわたる非常に高度な技術と、知識を有しており、とても有益だと考えたからである。魔法使いの商工会議所に出向き、事情を話した後に行きたい魔法使いを募集したところ、500名をはるかに超える人数が集まってしまったので、やむなく、面接により3人に抑えることができた。3人とは、医療系統の達人のフラッシュ、錬金術の補助および操縦手になるシアトス、そして、攻撃および防御においては右に出るものがいないというコミワギ。船を動かす上で必要な人員はそろった。こうして、出航の準備は整った。


再び第4惑星に戻り最終手続きをしてたら急に呼び出しのアナウンスが流れ出した。兄妹は惑星行政長官室へと出頭した。ノックをして、

「失礼します」

と、スタディンが言った。

「どうぞ」

中から機械的な声が響いてきた。二人は意を決して中に入った。自動扉が中へ誘い込む。二人が中へ入ると、入ってきたのと同じように音もなく閉まっていった。中にはいろいろと書類が置かれていた。横を見ても生活感がまったくない部屋。

「掛けたまえ」

突然書類の向こう側から声が出てきた。どうやら人のようである。

「僕たちに何か御用でしょうか?オロイラ・サイワ第4惑星行政長官」

書類の山の隙間から、こちらを見ている目を見つけた。

「君たちは、「銀河文明」というのを聞いたことがあるかね?」

「いいえまったくありません」

「銀河文明とは、この宇宙ができる前から存在していたと言われている種族なのだが…」

「その文明がどうしたのですか?僕たちにできることなら協力をします」

「そう言ってくれるとありがたい。実はな、君たちに特別任務を与えたい」

「どのような任務でしょうか?」

「この銀河文明に接触してきてほしいのだ。できれば安全条約や技術交換などをしてもらいたいのだ」

長官は疲れたような声でここまで話してきたのだが、突然立ち上がり、

「君たち二人を今日付けで、3惑星連邦宇宙軍の大佐に任命し、同時に君たちが乗ることになる宇宙船の船長と副船長をしてもらう。なお君たちが乗ることになる宇宙船の名前は、宇宙船「ベルジュラック」号だ」

「何故自分達なのでしょうか。他の優秀な人員もいらっしゃると思いますが」

「君達は、まだ気づいていないんだ。この任務は、君達以外の何者にも務まらない。特殊な任務なんだ。だから、君達に任せるんだ」

「分かりました。お任せください」

しかし彼らの胸にこのような大役ができるか自信がなかった。

(でも僕たちはやらなければならない)

心の中で無事に帰れることを祈りながら、長官室を去った。


宇宙船「ベルジュラック」号は長いのでみんなは、単に「ベル」と呼ぶことにした。同時に、全乗組員が宇宙軍の少佐以上の階級になったと発表された。この乗組員全員が新たな期待を胸に、ベルに乗り込んだ。全員が真新しい制服に着替えて、いろいろなことをしていくことになるみんなを期待を乗せて、ベルは第4惑星を出発した。


船に入り、船長が何も尋ねずに、何かの感覚が体の中を駆け抜けた。そのときに、この船に搭載されている量子的コンピューターが話し始めた。

「私の名前は量子的コンピューターの「シラノ・カノエ・ベルジュラック・2世」です。どうかこれからは「シラノ」か「ベル」とお呼び下さい」

「まずこの船を案内させてもらいます」

「あ、あぁ。ありがとう」

「まずこの船の構造ですが、横が300m、横が250mであり、高さが30階建てのビルに相当する高さであります。1つの階が16のブロックに分かれております。1ブロックずつすべて均等に分かれております」

「ここは何階の何ブロックだね?」

「23階の4ブロックです。なおエレベータで移動する際は、23-4とおっしゃってください。すぐに移動します。」

ここで一区切りをつく。この兄弟が理解するための時間を与えているようだが、この二人にはそのようなことは不要であった。

「シラノ、続きを言ってくれ。ただし、今度はずっと言い続けてくれ。自分たちを待つ必要はない」

「分かりました。では話させていただきます。横が300m、横が250mであり、移動の際はエレベータを利用ください。もしも運動が嫌いでしたら。なお、このエレベータには注意してください。このエレベータは移動の際は便利ですが、直角に曲がりますので曲がる際は壁に当たるかもしれません。このエレベータの出入り口は各ブロックにつき、10個ずつあります。なお、重要な場所については直接名称を言っていただければ、直接行くことができます。さらに、私のメモリーの中に場所の情報を記憶することにより、最も近くの場所までお連れすることができます。ほかにも、この船にはいろいろな施設が付属しております。例えば、重要である指揮室や、エンジンを入れている機関室などがあります。壁に向かって行きたい場所をおっしゃってくださえば、そこまで安全にご案内させていただきます。…」

ほかにもいろいろなことを言っていたが、一通りの説明が終わった。

「…以上です」

「ありがとう。そういえば君を呼び出す際はなんと言えばいいのかな?」

「シラノかベル、とお呼びください。それで私の声が聞こえます。その際に指示をいただければ大丈夫です」

「分かった。以上だ」

音もなく感覚が消えていった。


シラノとの会談が終わり、外を見てみると、ちょうど冥王星を通過するときだった。

「いままで、長かったね」

「あぁ」

「これから誰も見ていないんだね」

「長官はそう言っていたな…」

ついに、冥王星を通り過ぎ、太陽系外へ出てきた。太陽系外有人飛行は有史以後初めてではなかった。しかし、その記憶は誰の脳裏からも消されていたのだ。

「これからは、誰も直接見たことがない世界、か…」

「いまいち実感がないね」

しかしそうは言っても、実際にこの先に何があるかは分からないのである。突然静寂なこの船内に警報が響き渡った。

「船長、副船長。今すぐ指揮室に戻ってください。目の前に何かがいます」

「了解!」

二人とも元気よく返事をして、船長として、副船長として、恥じない行為をしに、指揮室へ行った。


「どうしたんだ?」

「あ、船長。これをご覧ください」

そう言って目の前の100インチのスクリーンには、不思議なものが浮かんでいた。

「あれは?」

「よく分かりませんが、何らかのエネルギーを保有しております。このエネルギー量ならば、恐らく空間自体に穴を開けて別の空間へいけるでしょう」

「そんなことが可能なのか?」

「しかし、ほかに考えられません。とりあえずどうしますか?」

「微速前進!あの天体に注意しながら接近するのだ」

「了解しました。微速前進します」

突然、引っ張られるような感覚を覚えた。そして、

「引きずられていきます!」

「全速後退!」

「だめです!中へ突入します!」

そして白くまぶしい光を見た直後に、意識を失った。

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