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第19部

「今回は大きかったな。みんなー。生きているかー」

「大丈夫…なんとかね…」

高速道路は倒れなかった。とても頑丈らしい。それよりもスタディンは別のことが気になっていた。

「なぜ車が止まっていられたのですか?」

「これのおかげですよ」

彼はラジオをつけながら言った。彼の手の先には、スイッチがあった。それを押して、ネジ状の突起物が車から出ていた。それが、高速道路に刺さっていた。

「この高速は、震度10まで耐えられるように設計されています。実際、そのような地震はまだ起こっていないのですがね」

みんながウィオウスの車の周りに集まってくる。他の車は走っていなかった。あまり音質が良くなかったが、今の状況では仕方が無かった。

「…この地震についての情報です。今日…時ごろ、…地方などを震源とする、マグニチュード8.…が、発生しました。各地の震度は次の通りです。………」

車のラジオを叩いたが、うんともすんとも言わなくなった。

「ラジオが使えなくなった…」

「情報はどうやって仕入れるのですか?」

不安になってきた、みんなが聞いた。

「この近くに、自分の知り合いが住んでいるはずだから、そこへ行きましょう」

「分かりました。どのくらいかかるのですか?」

「普通なら約10分ぐらいですが、地震が発生した以上、どれだけかかるか、皆目見当もつきません」

「しかも、歩く必要があるのですね?」

「そうです。歩いていればたどり着きます。とにかく、先へ…」

「では、行きましょう」

そして、6人は、高速道路を目的地へ向けて歩きはじめた。他の人達は、近くの避難所を探しているようだった。


兄妹が旅立った年代でも、ある出来事が起こっていた。戦争が始まったのだ。

「相手が宣戦布告を正式に通達して来ました。どうしますか?大統領」

「そうだな…とにかく、戦況報告を頼む。今分かっている範囲で良いから」

「分かりました。現在本銀河のうち100%が連邦国の領土です。さらに、本銀河以外の地域における我が国の植民星について、1%弱が攻撃を受けていますが、今は持ちこたえています。他の同盟国については、現在受信中です」

大統領の画面の中では、2色の色に分かれており、どちらの領土かが分かるようになっていた。その下には、このように書かれていた。

「本宇宙空間の銀河の数→39・本国及び同盟国の所有銀河数→21・敵国及び同盟国の所有銀河数→18・侵略されている銀河の数→3・侵略している銀河の数→0」

「この最後の0はどうしてだ?」

「我々は、これから攻撃を加えるところです。必ずや、我々が勝利するでしょう」

「それならば良いのだが…」

そう言って、外の方へ歩きながら言った。

「我々が宇宙へはじめて出たときも、戦争後だった…いまや、宇宙航行種族の重要な地位を固めている我々でも、元をたどれば、ただの生命体でしかないのだ。さらには、科学技術の差もある、どのようにして埋めるのか…」

「大統領、そのように考えていてはいけません。あなたはこの国の大統領です。この国の元首です。そのような方がそのような考えではいけません。前向きに考えなくてはいけません」

「それもそうだな。宣戦布告は済んだそうだから、こちらが攻撃を加えても問題なかろう。これより、戦争を開始する。国会は略して、こちらも攻撃を加えろ。私が許可をする。国会承認は事後でも良かろう」

(大統領と言うのは、人の人格すら変えてしまうのだろうか。私が知っているときの人ではないようだ)

こうして、新暦363年宇宙戦争が始まった。始まりも唐突だったが、戦争とは唐突に終わるものである。


地震に遭遇した兄妹は、他の人と一緒に、知り合いの人の家にあがらせてもらっていた。

「で、どういう状態なんですか?この地震は」

「今回の地震は、恐れていた事が起こってしまった地震だよ」

「と言う事は、つまり?」

「その通り、南海・東南海・東海地震が起こったのだろう。ただ、今の状態では、どの地震が起こったかが分からない。とりあえず君達が来る事を携帯で聞いて、ずっと待っていたんだ。これから近くの公園の方へ移動するが、君達も来なさい。そこならばこの家よりも安全だから」

「すいませんが」

今まで黙っていた、スタディンが言った。

「ここからどれくらいかかりますか?」

「君達はそれを聞かなくてもいい。この家の目の前だから」

「でも、この近くに公園なんてありませんでしたけど?」

「それは君が不注意だからだ。とにかく、私についてくれば、そこへたどり着ける。ちょうど、広域避難所になっているからな」

「分かりました。とにかくあなたについて行くしかないようですね。このドタバタが収まったら、水族館の方へ連れて行ってくださいね」

「ああ、分かりました。しかしながら、このような地震は久しぶりです。いつ収まるか分かりません。それを良く覚えてください」

それだけ言うと、大人2人は、別の部屋に行って、非常食などを取りに行った。完全に姿が無くなってから、数秒たったときに、再び揺れはじめた。

「また、揺れているな」

少しずつ揺れが大きくなっていった。

「みんな伏せろ!」

奥の部屋から声が聞こえた。揺れに翻弄されながらも、皆、伏せる事に成功した。そして、再び揺れは収まった。

「今度は何?また余震?」

シュアンが言った。他のみんなも情報をほしがっているようだ。その時携帯が鳴った。


「船長。聞こえていますか。まだ生きていますよね」

「ああ、なんとかな。今、この町を案内すると言って、案内されていたところで地震が来て、その人の子供達と一緒に、その人の知り合いの家にいる。何か緊急の要件か?」

周りの子供達も興味深そうに見ている。

「いま、この星のネットワーク網にアクセスしたところですけど、とてつもない地震が起こりましたね。最初の地震は、東海地震、先ほどの地震は、その余震だそうです。ところでこの音声をみんなにも聞かせたいのですが、いいでしょうか?」

「ああ、ちょっと待ってくれ」

みんなに聞こえるような大きさに上げて、携帯を真ん中へ置いた。

「最初の東海地震によって、死傷者、推定300万人。被災家屋、推定1万5千棟。被災者、推定2800万人。震源、東海地震推定震源域と全て一致。マグニチュード、8.5。次の地震によって、死傷者、推定23万人。被災家屋、推定1万棟。被災者、推定200万人。それぞれ追加されたもよう。マグニチュード、8.2。そのぐらいですね」

「そうか」

そうつぶやいて、携帯の音量を元に戻し、一人壁の方へ歩いていた。

「彼らも我々の時代へつれて帰れるか?もし良かったら、いい人材になりそうなんだ」

「それはやめたほうが良いでしょう。彼らが良かったら別ですが」

「聞いてみよう。ありがとう。また連絡して来てくれ」

「分かりました」

携帯は切れた。

(そういえば、ここまで来る間に、ひとつも倒れている建物が無かったな)

「この国は、よくこのような地震が来るのですか?」

「この規模のはあまり無いけど、300年に1回とか、100年に1回とか来るよ。それがどうしたの?」

「いや、こんな地震ははじめてだから…」

「震度一ぐらいだったら、普通に起こるよ」

「そうなんだ。それよりも、この辺りの建物があれぐらいの揺れで、何も起こらないというのはどうしてなんだ?」

「この国に元々あった、法律をそのまま使っているの。それでこの建物はすごく丈夫に作られているんだよ」

「へぇ〜。すごいね〜」

これまであまり話していなかった、クシャトルが驚嘆の声を上げた。

「じゃあさ、この国の家はどれくらいまで耐えれるの?」

「だいたい、震度9〜12ぐらいを想定しているよ。ただ、そんな地震はまだ起こっていないけれどね」

「準備が出来たぞ!みんなこれから避難を開始する!出発!」

お父さんの号令でみんなが直立不動の体制を取り、家を出て行った。

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