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第17部

(また夢か。しかも前の続きだし)

錬金術をはじめてみた現場だった。目の前には、変な模様が描かれていた。

「さあさあ皆さんお立会い!これからするのは、錬金術だよ。しかもみんなの願いを叶えてしまうという物だよ。何がいいかは皆が決めてくれ。ただし、ここから持っていける物だよ」

皆は何も言わずに横のヒト達と話をしているところだった。そして唐突に、

「プリン!」

と誰かが叫んだ。

「プリン?分かった、じゃあプリンを出そう。ではこの模様に不思議な呪文を唱えて…」

そういった後に、何か唱えはじめた。すると、白い煙が立ち上りはじめて、何か光りだした。地面からほとばしる電気エネルギーが、具現化した様な感覚を覚えた。そして、白い煙が消えた後には、何の変哲も無いカスタードプリンが出来ていた。

「さっき、プリンを注文したのは誰かな?」

「私で〜す」

そう言って出てきたのは、自分と同い年ぐらいの女の子だった。しかもその子は、自分の知り合いだった。

(後で話を聞いてやろう)

その時は本当に思っていたが、その場を離れると、忘れていた。次に魔法を見に行った。魔法は、錬金術よりも高等なものだと言う認識が一般的であった。しかし、兄妹はそれが本当かどうかを、確かめるつもりでここに来ていた。

「あそこでやっているな」

お父さんが、人だかりを指差しながら言った。

「だけど、あそこはまだ人が多い。もっと少なくて、自分の知り合いがしているところを、知っているからそこへ行ってみよう」

お父さんに導かれるままに、家族は人通りの少ないところへ歩いて行った。

「ここは、人が極端に少ないんだ。ただ、その代わりに、面白いものを見られるけれどね」

「面白いもの?」

クシャトルがたずねた。

「うん、そうなんだ。この辺りに自分の知り合いがいたはずなのだが…」

ひたすら歩いて行って、この町唯一の、看板がかかっている、暗い路地を見つけた。

「ここだ、ここだ」

「お父さん大丈夫?何か出てきそうだけど…」

「大丈夫、大丈夫。お父さんに任せなさい」

(そんな事言って、何一つ大丈夫だった事が無いじゃないか)

案の定、このくらい路地をあるいて1分もしないうちに、周りから人が出てきた。

「お父さん、この人達は何?」

さすがに怖いのか、クシャトルはいつもの元気が無くなっていた。

「うん、それはとても良い質問だね。この人達は…」

お父さんが答えるよりも早く、周りの人達が、

「そこの家族よ、少し止まってくれねぇかなぁ」

「きみたちは?何者だ」

「俺達は、まあ、俗に追いはぎって言われている集団でよぉ。おめえらの身包みはがそって言うんだよぅ」

そして、ふと目線がクシャトルの方に向く。

「お、いいお譲ちゃんじゃねぇか。どうだ?俺達と遊ばないか?気持ち良いからよぅ」

「嫌!!」

鋭い叫びがこの路地を響く。するとお父さんが、

「家族に指を触れさせはしない。するのならまず自分と勝負して勝ってからだ」

と言い切った。

「お父さん…大丈夫?」

本気で心配をする兄妹とお母さん。しかし、お父さんは、

「大丈夫、大丈夫。こんなやつらは何てこと無いからさ」

そう言って、相手の懐へ走って行った。走る最中に、右手が光りだし、光が消えたと思うと、純白の光りを放つ剣が出てきた。何事も突き通すという精神の表れか、完全にまっすぐな少し幅広の剣。

「上等じゃねぇか。おい、野郎ども、やっちまいな」

リーダー格の男が言い放つ。しかし、お父さんは、ただ、リーダー格の男だけを狙い、剣を突き刺した。

「ぐふっ!」

声を出しながらゆっくりとした動作で、倒れてゆくリーダー。

「親分!」

あわてて皆が近づいてくる。

「俺の事より、この組の事を守れよな…」

そして息絶えた。

「きゃ!」

再び後ろから、叫び声が聞こえた。あわててお父さんが振り返ると、クシャトルが捕まっていた。

「クシャトル!」

お父さんが叫ぶ。

「お父さん!」

クシャトルも叫ぶ。その叫び声はこの路地一帯に聞こえていた。突然、一筋の光りが、クシャトルを捕まえていた腕を切り落とした。あわててクシャトルはスタディンたちの元へ走り出す。

「誰だ!」

皆が後ろを振り返ると、暗い路地の向こう側から、ゆっくりとした動作で一人のエルフが、出てきた。

「だめですよ。ここで暴れたりしたら。通報しますよ?」

「誰だてめぇは」

「私ですか?私は今の世界で最も魔法力がある5人の中の一人と言われています。さらに、この路地の自治会長と言えば、誰か分かりますよね」

ゆっくりとした口調で、話す一人のヒト。

「会長、魔力最高…と、いうことは…」

最後まで言い終わる前に、追いはぎ集団はどこかへ消えていた。

「間に会いましたね。ここ最近はここの治安も悪くなっていますからね」

スタディンの服の袖をしっかり抱き締めている、クシャトルに向かって言った。

「昔はここも良かったのだがな」

お父さんが続ける。

「お父さん知り合い?」

「この人を君達に会わそうとしていたんだよ。この人は、魔法最高評議会の5会長の内の一人であり、この路地の自治会長をしている、コンティンスタンスだよ」

「どうも、コンティンスタンスです。どうぞよろしくお願いします」

皆は狐に包まれたような顔をしていた。お母さんですらそのような顔をしていた。

「このお方が?」

「そうだよ」

「それよりも、あなたは、前あったときよりも成長しているようで。何よりだよ」

コンティンスタンスは、言った。

「それに、子供も出来ているみたいだしね。私はまだ…」

「いやいや、私もまだまだだよ。この剣を出せたのが精一杯だしね」

「そう言えばお父さんって、魔法使っていたよね」

クシャトルが確認するように聞いた。

「ああ、そうだよ。君達もちゃんと出来るようになるよ。その事で今回ここに来ているんだから」

「あなた、もしかしてこの子達に…」

「そのつもりだ。もし、この子達に魔法の力があれば、私の後継者となる。正式な」

お母さんと、お父さんの会話は、幼い兄妹にはよく分からなかった。


その後、スタディン達はコンティンスタンスの家に行き、魔力の検査を受けた。そして彼らは、無事に魔力かある事が分かった。

「この魔力は、私の魔力よりも、上かもしれないな。ただ、ここでしたことは、単なる簡単な検査だから、詳細検査は1日泊まる事になるが。別にかまわないかな?」

「いいですよ」

スタディンは、答えた。クシャトルは、うなずいた。

「これで決定だな。ところで君達はここで待っていなさい。私は、隣の部屋にいる、両親に話してこよう」

そう言って、部屋を出て行った。

「私達は、本当に何者なんだろうね」

「そうだね」

扉が開き、コンティンスタンスが入ってきた。

「両親には話しておいた。彼らもここに泊まるそうだ。君達の検査は君達が寝ている間にすべて終わるようになっている。だから君達はゆっくりと寝ていなさい」

そう言うと、まぶたが重くなってきた。


「せんちょう…船長…船長!」

遠くの方から聞こえていた声が、突然近くへ来るような感覚で起こされた。

「船長。もう朝ですよ」

「え?もう朝?」

少しづつ周りの風景の像が結んでくる。昨日と同じであった。

「そうですよ、朝ですよ」

「そうか…皆は?もう起きたのか?」

「まだ起きていない人もいますからこれから起こしに行くところです」

「そう。じゃあよろしく頼むぞ」

「はい。では」

扉が音も無く閉まる。横のベットでは、誰もいない。

「あれ?クシャトルは?」

ベットの下を見ると、まだ寝ていた。

「おい、起きろよ」

「むにゃむにゃむにゃ…もう食べれないよ…」

「何の夢を見ているんだ?とにかく起きろよ」

スタディンは、クシャトルの体を揺さぶって起こした。

「え?なに?あれ、おはよう。早いね」

床に横になったままで話しだすクシャトル。

「自分が早いんじゃなくて、お前が遅いんだ」

「え〜。私は遅くはないよ」

「そうかい。とにかく早くそこから出て来いよ」

「よいしょっと、あいてっ!」

「どうした?」

「腰のところが痛い…」

「それは、寝る場所が悪い」

きっぱりと言い切るスタディン。

「とにかく早く着替えろよ。今はちょうど、6時半だ」

「それよりもさ〜、お兄ちゃん、今日の夢の中に出てきた事って、私達が魔法を使えるということ?」

「まあ、そうなるよな。でも、考えてみろよ、自分達が魔法を使えるかって言う事を」

「うん、そうだよね。私達がまだ魔法を使えないと言うことだよね」

「魔法がどうしました?」

扉を背にして、一人もたれかかっていた。

「誰だ?」

「この世界での時の神の化身、と言えば分かりますか?」

「この世界での時の神の化身?あなたが?」

「そうですよ。私が、すべての宇宙の時間を支配しているときの王です」

単なる貧相な人がいた。ただ、目だけは野望に激しく燃え上がりすべての事を見通せそうな感じだった。

「私の名前は、東方大樹です。すいませんね。勝手に入ってしまって」

「いやいや、いいんですよ」

少し驚きながらも、表面上は冷静を保とうとする、スタディンだった。

「そちらの船員の中に、夢の王もいるのでしょう?」

「はい。確かにいますが?」

「彼と話したい事があるので、呼んでもらえたらありがたいのですが」

「分かりました。彼と連絡を取って、ここに来させましょう。少し待ってくれますか?」

「分かりました。少しだけ待ちましょう」

連絡を取ってすぐに彼はやって来た。

「来ました。この世界での時の神の化身が来ていると言っていましたが?」

「ああ、ここにいる」

「分かりました。では私も行かせてもらいます」

「行くって、どこへ?」

「夢の国に行くんですよ」

「眠らずに?」

「眠ってゆくのは、それはあまり行った事が無い人達だけです。私達のように、何度も行っていると、そのまま体ごとあちらの世界に行けるのです。ただ、そのためには、魔法の力もいりますが…」

「とにかくやって見せてよ」

クシャトルが言った。

「分かりました。船長、出来るだけ早く帰ってきますから、それまでよろしくお願いします」

「分かった。君は、寝ていることにしよう」

「ありがとうございます。それでは行ってきます」

「ああ、がんばってこいよ」

そして、体がゆっくりと透明になっていった。そして、何も無くなった。

「行ったんだね」

「ああ」

そして二人は、部屋を出た。

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