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第15部

エレベータに乗り込むと、すでに誰か乗っていた。

「どうしたのですか?顔色が悪いですが?何かあれば相談に乗りますよ」

「君の名前は?」

「私の名前は、大島良行と言うんです。初代連邦大統領の子孫です」

その言葉でクシャトルが振り向いた。

「連邦大統領?しかも初代?」

「そうです。私の先祖が、元の世界の連邦憲法の草案を作ったのです。そのまま初代大統領になり、歴史に残る人となりました。私もその人を目標にしているのです」

「そうか…。それはすばらしいな。そう言えば自分の名前について何か知っている事はあるか?」

「船長の名前ですか?船長の名前の元となった神の遺伝子自体は、私にも流れているのですよ。私の先祖にも、イフニの名前を持つ人はいます。しかし、あなた達のように名前は残らず、日系として生きていますが」

その言葉に二人とも振り向いた。

「では、君は…」

「あなた達と同じです。私もあなた達の夢の中に出てきているのですよ。しかし、私は、夢の王として出てきていますが」

「あなたが夢の王…では、この世界での時の神の化身は…」

エレベータの扉が開き、指揮室へ来た。

「また後で話をしましょう。船長」

扉が閉まった。


「船長。少し遅かったですね。どうしたのですか?」

「いや、なんでもない」

「そうですか。早速ですが、相手から電信文が来ています」

「そうか。聞かせてくれ」

「はい。「君達を歓迎する。私は初代連邦大統領の大島仁人だ。君達に対して何も出来ないかも知れないが、出来るだけ仲良くしてもらいたい」以上です」

「寄港申請は?」

「すでに受理されました。旧日本領の神戸宇宙港に、着陸しても良いと言うことです。連邦大統領が出迎えてくれるようです」

「分かった。でも少し待ってくれ。連邦大統領の本名は?もしかして…」

「そのもしかしてです。私達は、元の世界の、昔の時間にいるのです」

「では私達は彼らからすると未来から着た事になるのか」

「その通りです。恐らく、途中で、タキオン粒子になった事が原因のひとつだと思います。ただ、ほかの原因も考えられない事もないのですが…」

「そうか、とにかくこの機会を逃してはいられない。寄港準備、進めてくれ。私はこれより、惑星地球に対して協定もしくは同盟の準備をする。ただし、この惑星が本当に過去の惑星ならば、未来が変わってしまうが、それは、伝説ぐらいにしかならないだろう。カンルーガン側の船長にも伝えてくれ」

「分かりました。伝えます」

「ベル、何分後に寄港できるか計算」

一瞬の間。

「約30分後には寄港完了できます。その後、下船には、約15分かかるでしょう」

「分かった。ところで、あの海の真ん中から出てきているレーザー光線は何か分かるか?」

確かに、海の真ん中の島から光り輝く光線が出てきているように見える。画面の右下にはその部分を拡大した映像が見える。少し時間がかかる。

「あのレーザー光線はこの星の情報によると、我々の基準ではかなり古い探査技術です。あのレーザー光線を基にして、星の距離を測るのです」

「その望遠鏡の種類と、性能や原理、それに、代表的な望遠鏡は?」

「望遠鏡の種類は可視光望遠鏡。性能は10億画素のデジタルカメラを搭載。さらに分解能0.03秒角を実現。現在でも、その性能を上回る機械を開発中。原理は補償工学を利用しており、その適応範囲は全天の内4分の3以上。代表的な望遠鏡は、ハワイ、マウナケヤ山の山頂付近にある、旧日本国が建設した「すばる望遠鏡」。現在も旧主要国及び現主要国が、建設を進めている」

「分かった。ところで補償工学とはなんだ」

「補償工学とは、観測したい星や銀河などの近くに、明るい星を人為的に作り、その星の明るさとの差を、一瞬一瞬計算をしてゆき、望遠鏡の鏡の形状を変え、大気でゆがめられた星の明るさや形などを、きれいな状態に戻すことである」

「ありがとう」

「どういたしまして」

音声は切れた。

「船内連絡、船内連絡。両船の乗組員全員に告ぐ。これより地球に着陸する。予定は30分後。繰り返す。これより地球に着陸する。予定は30分後。以上だ。ほかに連絡すべき事があれば連絡する」

「では船長、あなたが最も重要ですよ。この船の印象はあなたにかかっているのですから」

「そうか、さすがに船長は大変だな」

「普通は、このような時間旅行とかはやりませんからね。すべての宇宙の中でも我々が最初でしょう」

「だろうな。ハハハ」

笑うスタディン。横ではクシャトルも笑っていた。

「それはそうと皆も準備をしないといけないぞ。何せ失われた時間の中にいるからな」

「そうですね。失われた時間ですよね」

「お兄ちゃん、失われた時間って何?」

「お前、もしかして、授業まじめに受けてなかっただろう。失われた時間っていうのは、1980年代から2140年代あたりの、知識のことだよ。2150年から2170年の、連邦政府クーデター事件の間に、その年代の書物がすべて失われてしまって、あるのは伝説だけという時間のことだよ」

「そんな時代もあったんだね。私、歴史駄目だし〜」

「でも授業はちゃんと受けないと駄目だよ。こんなときに重要だよ。そういえば、この地球の年代はいつなんだろう。ベル、この星の年月日と、政府の数、それと今の政府の元首の名前を教えてくれ」

「この星は、新暦10年、西暦2020年。政府は、全地球統合連邦国のみ。政府の元首は連邦大統領で、名前は、大島仁人」

「ありがとう」

「どういたしまして」

「やはりここは…」

シアトスが、スタディンに言った。

「そうだ。ここは、我々の世界の過去の失われた歴史の中にある。両船の乗組員に言わないといけないな。ここは過去の世界だと…」

「そうですね。その事は、私がやります。船長達は、下船準備をしてください」

「そうか、すまないな」

「いいですよ。それよりも船長はやっぱりすごいですよね。まだ、15歳ですよね。なのにこれほど立派にひとつの船を操るのは、大変じゃありませんか?」

「いやいや、皆がいないと、自分ひとりじゃ絶対出来ないよ。それに守る必要がある人もいるしな」

「もしかして、好きな人がいるとか?」

「い、いないよ!」

「ハハハ、冗談ですよ。この船で、あなたと同年代の女子は、あなたの妹だけですからね」

「そうか」

(ほ〜。よかった。実はこの船ではなくて、元の世界の幼馴染が好きなんだが。あいつは元気かな)

エレベータに乗り、自室に戻るなり、クシャトルがいった。

「お兄ちゃんの好きな人って、私知ってるよ」

「え?誰?」

「幼馴染の、エア・イブでしょ」

図星だった。

「どうして分かった?あの会話だけで…」

「本人に前聞いたの、出発する直前に。そしたら、イブが、私に、お兄ちゃんの事が好きだって言ってきたの。それに、イブのお兄さんのアダムも、私の事が好きらしいし」

「で、お前はその事について、どう思ったんだ?」

「私も、前からアダムはいい男だと思っていたから、もしも無事に帰ってきて、結婚を一回もしていなかったら、私と結婚してもかまわないって言っといた。お兄ちゃんの事も同じように言っといたから。彼らの両親はそれでいいって思っているみたいだよ」

「そうか。それはよかった。でも、この世界から出れたら結婚できるな。それに、まだ、両親に会わしたい人もいるし」

「そうだね。彼女は元気にしているよね」

「しているとも!この船の1等客室に泊めているからね」

「そうだね」

その時、ベルが船内放送をはじめた。

「ただいまより、降下いたします。すべての乗組員は、準備をしてください。繰り返します。ただいまより、…」

「いこうか」

「うん」

二人とも指揮室へ向かった。


「船長。来ましたね」

「ああ、来たよ」

「ベル。降下開始」

「了解しました」

操縦手のシアトスが、手慣れた手つきで、船をミリ単位で動かしてゆく。少しづつ、船が下がってゆく。新たなる世界を目指して。元の世界の失われた時を求めて。


その頃元の世界では、後1日で宣戦布告をするところまで来ていた。

「大統領。今でも遅くありません。あの2種族に対して詫び状を送付するべきです」

そう言ったのは、宇宙関係総合省大臣だった。大臣は続けた。

「このままでは負ける可能性の方が高いです。大統領。どうか決断を!」

「その確率は、負ける確率は、どれ位なんだ?」

「99.99999999%です」

「ゼロでは無い限り、勝算はある。私の高校の入試のときもそれで行ったのだ」

「結果はどうでしたか?」

「落ちたよ」

一同は嫌な予感を胸に閉まって、閣議を終わらせた。


すでに連邦国の植民星や同盟国などに対して、戒厳令が布告されていた。同時に、宇宙軍により、戒厳令出動指令が全部隊に布告されていた。同時に、全区域に対して、避難誘導指示が布告されていた。しかし、それでも、力の差は圧倒的であった。だが、この星系内には、相手は入れないのであった。あの現象が読まれるまでは…

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